お悩み

インプラントで後遺症にならないために気をつけることとは

22.06.26

どの治療もそうですが、インプラント治療にもリスクがあり、少ないケースではありますが後遺症が出ることがあります。
ただ、どんな失敗にも理由があり、防ぐことは可能だと考えています。
当院では事前にどのようなリスクがあるか知って納得していただいた上で治療をスタートさせていただいています。
今回はインプラントで後遺症にならないために気をつけることや対策について解説させていただきます。

【リスク1 血管や神経を傷つける可能性がある】


インプラントの手術はドリルで穴を開けてインプラントを埋入します。
その時に大きな事故につながりやすいのが、動脈や神経を傷つけることです。
上あごに比べて下あごには大きな神経や血管が通っているため、もし神経を傷つけると、麻痺を起こす可能性があります。
そうすると、唇や頬の感覚が鈍くなったり、しびれた感じが残ったりすることがあります。

動脈を傷つけた場合には、大量出血を引きおこし、呼吸困難になったことが生命の危険になった事例もあります。

このようなことが起きないためにも、インプラントの精密な治療計画を立てるために当院では次の対策を行っています。

〈歯科用CT撮影を行う〉

従来の歯科治療では、レントゲン撮影をして平面でお口の状態を把握します。
ただ、インプラント治療の場合には「血管の位置」「神経の位置」「骨の量」などを把握する必要があります。
そのために、立体的な画像を確認できるCTの撮影での診断が欠かせません。

〈サージカルガイドを使用する〉

より精密で安全なインプラント手術を行うために、マウスピースの形をした「サージカルガイド」を使用します。
このガイドは、あらかじめCT撮影をしたデータを元にシミュレーションをして、インプラントの埋入位置や角度を決めたものをマウスピースに再現して、ドリルの位置をより正確にする手術用のテンプレートです。
埋入位置をシミュレーション通りにできるため、骨の状態が良ければ、歯ぐきを切開しない「フラップレスインプラント」にも使用されることがあります。
この方法は歯ぐきを切開せず、ガイドを使うことで手術時間の短縮、傷の回復が早いなどメリットの多い治療です。

【リスク2 痛みや腫れ、しびれが長期間続く】


インプラントの治療後は一般的に2~3日程度痛みや腫れの症状が出ることがあります。
骨の状態や骨の再生治療を行った場合など、手術内容によって症状が出る期間が変わることはありますが、通常は痛み止めや化膿止めを指示通りに服用すると落ち着くことが多いです。
痛みや腫れ、しびれが痛み止めを飲んでも落ち着かず、期間も長引いているようでしたら問題がある可能性があります。

考えられる原因
1 細菌感染している

インプラント手術の時に清潔な環境が確保できていないと細菌感染を起こしてしまうことがあります。
また、インプラント部分は指示が出るまで磨くことができませんが、ほかの部分は歯磨きをして汚れを落とし、お口の中を清潔な環境にすることが大切です。
自宅でのケアが不十分で汚れによる細菌感染の可能性も考えられます。
インプラント手術直後のケアは軽くうがいをしたり、ほかの部分は通常通り磨いたりするなど注意点があり、手術後までにお話させていただきます。
痛みや腫れを防ぐためにきれいなお口の環境を保ちましょう。

2 あごの骨に適切に埋め込まれていない

インプラント手術の時に、適切なインプラントの角度や位置、深さで埋入されていないと神経や血管を傷つけてしまう可能性があります。

【リスク3 埋入したインプラントのぐらつきや脱落】

骨を増やす
いくつかの原因が考えられますが、インプラントの埋入が上手くいかないとグラグラしたり、抜け落ちたりすることがあります。

通常インプラントは、あごの骨によくなじむ「チタン」が使用されているため、あごの骨に埋め込むと3~6カ月の期間をかけて少しずつあごの骨と結合していきます。
しかし、次のような原因でインプラントのぐらつきや脱落が考えられます。

・手術の時のドリルの摩擦熱で骨が火傷してしまった
・インプラントや周りの歯ぐきが細菌感染した
・喫煙で血流が悪くなり、あごの骨と定着が悪くなった
・インプラントを埋め込む位置や角度が不適切だった

インプラントが細菌感染しないために、当院では感染対策を徹底しています。
不潔な器具や環境で手術をすると、インプラントが細菌感染をして炎症が広がると、インプラントのトラブルにつながっていく可能性が高くなります。
そのため、当院では次のような感染対策を行っています。

感染予防策1 歯を削るバーの使い捨て

歯を削る器具の使いまわしが問題になったことがありますが、このバーの使いまわしは不衛生なだけでなく、切れ味が悪くなり、骨の火傷のリスクが出ているため、当院では毎回新しい器具を使用しています。
また、そのほかの手袋、手術着、顔にかける布、コップなど滅菌ができないものは使い捨てのものを使用しています。

感染予防策2 完全個室でインプラント治療

プライバシーの配慮や感染対策のために完全個室でインプラント治療を受けることができます。
インプラントの埋入手術を行うためには、器具や機械がすべて滅菌されていて清潔であることが求められます。
そのため、完全個室のお部屋なので、ほかの患者様の飛沫などのリスクもありません。

感染対策3 治療器具の滅菌

治療に使われる器具のすべてを滅菌していて、ほぼすべての細菌を死滅させることが可能です。
高圧で高温のオートクレーブという機械を使用していて、滅菌する素材によって温度を変えて滅菌をして、器具を清潔に保っています。

【まとめ】

インプラントの後遺症の可能性は残念ながらゼロではありません。
ただ、対策を取ることで多くの失敗を防げると考えています。
当院では、インプラントを埋め込む際にトラブルが起きないように精密な検査を行い、診断して治療計画を実施しています。
また、細菌感染によるトラブルを予防するために、感染対策を徹底しています。
患者様に納得と安心をして治療していただけるようスタッフ一同取り組んでいますので気になったことはどのようなことでもご相談ください。