インプラントコラム
COLUMN
むし歯や歯周病があったらインプラントとどちらを先に治療をするの?
24.04.30
インプラントをする部分とは別にむし歯や歯周病がある場合には、どちらを先に治療をするか気になる方もいるのではないでしょうか。
インプラントは、お口の中を清潔に保たないと「インプラント周囲炎」を引き起こし、インプラントのトラブルになってしまうことも。
そこで今回はむし歯や歯周病とインプラントはどちらを先に治療するかについて詳しくご紹介します。
インプラント周囲炎とは?
インプラントは汚れが残ったままの状態になると、歯ぐきに炎症を引き起こします。
そのまま放置して、悪化すると歯ぐきだけでなく、歯を支えている組織にも炎症が広がり、顎の骨が減少します。
顎の骨が減ってしまうと、インプラントを支えている部分が少なくなってしまうため、インプラントがグラグラしたり、最悪の場合には抜け落ちてしまったりすることも。
さらに、インプラントは天然の歯と異なり、「歯根膜」というクッションの役割をする部分がありません。
天然歯は歯根膜に覆われているため、噛んだ時の力を和らげる働きがあります。
インプラントには、この歯根膜がないため、ダメージをダイレクトに受けてしまい、進行が早い特徴があります。
また、インプラント周囲炎は自覚症状が少ないため、いつの間にか進行してしまうことも少なくありません。
そのため、定期的にメンテナンスをして、お口の中を清潔にインプラントに不具合がないか確認することが大切です。
むし歯があったらどうするの?
むし歯は、むし歯菌による細菌感染症です。
汚れの中にひそんでいるむし歯菌は、お口の中に糖分があると酸を発生し、歯を溶かします。
ただし、唾液には歯の再石灰化を促す働きがあるため、修復をします。
お口の中に汚れが残っていて、頻繁に糖分がある状態だと、再石灰化が追い付かずむし歯が発生します。
むし歯をそのまま放置していると、お口の中に細菌があるため、感染症のリスクが高くなります。
そのため、インプラント手術をする前にむし歯の治療をして、お口の中の環境を整えておく必要があります。
歯周病があったらどうするの?
歯周病は、お口の中の汚れの中にひそんでいる歯周病菌が原因で歯ぐきに炎症を引き起こします。
歯と歯ぐきの境目に汚れが残っていると、歯周病菌が増殖して、歯ぐきやその周りの組織にダメージを与えます。
さらに進行をすると、歯を支えている骨にまで炎症が広がり、顎の骨を溶かしてしまいます。
顎の骨が減少すると自然に戻ることは少なく、歯がグラグラしたり、抜け落ちてしまったりするケースもあります。
インプラント治療を希望している時に歯周病がある場合には、歯周病が安定していることが大切です。
重度の歯周病の場合には、炎症が強く、歯周病菌が増殖しています。
そうすると、インプラント手術をした部分に歯周病に似た「インプラント周囲炎」になる可能性があります。
そのため、歯周病がある方はインプラント手術をする前に、治療をして、お口の中の環境を清潔にします。
歯周病は、お口の中の汚れの中の歯周病菌が原因のため、汚れが残らないようにセルフケアを行い、歯医者でもプロケアを行いましょう。
インプラント手術前にお口の中を清潔にする習慣を身につけると、インプラントが長持ちするだけではなく、ほかの歯の寿命を延ばすことにもつながります。
毎日のセルフケアもしっかり行いましょう
インプラントは、細菌感染に弱いため、毎日のセルフケアを十分に行いましょう。
歯ブラシだけでは、十分に磨けていないというデータがあります。
そのため、歯と歯の間をキレイにする「歯間ブラシ」や「デンタルフロス」などを併用しましょう。
また、歯ブラシでは落としにくい部分は、毛束が1つになっている「タフトブラシ」もおすすめです。
デンタルグッズの使い方もお伝えできますので、分からないことがありましたらお気軽いにご相談ください。
定期的に検診を受けましょう
毎日磨いていても、苦手な部分や磨きにくいところは汚れが残ってしまいがちです。
苦手な部分をそのままにしていると、その部分からトラブルが起きてしまいます。
そのため、定期的に検診を受けてお口の中に汚れがついていないか確認しましょう。
定期検診では、クリーニングをするため、お口の中を清潔に保ちやすくなります。
インプラントの手術をする前に、むし歯や歯周病は治療をして、汚れが残っていない状態にすることが大切です。
インプラント手術をした後は、汚れが残っていると細菌感染を引き起こしてしまう可能性があります。
インプラントをよい状態で保ち続けるためにも、お口の中のトラブルがなく、清潔にしておくことが重要です。
また、インプラントだけでなく、ほかの歯を長持ちさせることにもつながるため、インプラントをきっかけにお口の中を整えましょう。
インプラント治療後は、定期的にメンテナンスをする必要があります。
噛み合わせのバランスが崩れてインプラントに負担がかかっていないか、汚れが残っていてインプラント周囲炎になっていないか、顎の骨の状態は問題ないかなど確認します。
不具合があってから対処をするのではなく、定期的にメンテナンスをすることで、不具合が起きないような環境を維持することが大切です。
インプラントは、「ほかの歯に負担をかけない」「天然歯と同じような噛み心地を実感できる」「審美的な見た目も優れている」などのメリットの多い治療ですが、一度インプラント周囲炎になると、安定せずトラブルにつながってしまうことも。
そのような状態にならないために、毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスを必ず受診しましょう。
インプラント治療は全身状態も大切
インプラント治療を行った後は、傷が治るために免疫力や抵抗力を高める必要があります。
十分な休養と栄養バランスの取れた食事をして免疫力を高めましょう。
また、全身疾患がある方は、症状が安定していることが大切なため、歯科医師と相談してください。
糖尿病や高血圧、心臓疾患がある方は症状が安定するように生活習慣なども見直しましょう。
正しい生活習慣を維持することで、全身の健康にもつながります。
【まとめ】
むし歯や歯周病は、細菌感染症のため、インプラント手術前にきちんと治療しておく必要があります。
また、インプラントが細菌感染をしないためだけでなく、お口の中の環境を整えるメリットもあります。
むし歯や歯周病を放置してしまうと、悪化して大切な歯の寿命を縮めてしまうことにもつながります。
できるだけ早い段階で治療をすると、歯を削る量も最小限にすることができ、顎の骨まで炎症が広がらない段階で対処することが大切です。
今ある大切な歯を守るためにも、むし歯や歯周病を治療してお口の健康を守りましょう。
インプラントは定期的にメンテナンスが必要になりますが、ほかの歯の健康を維持することにもつながります。