インプラントコラム
COLUMN
インプラント後も唾液を増やしてお口の環境を整えましょう!
24.05.31
インプラント治療をすると、しっかり噛むことができるようになり、審美性も優れている治療です。
多くのメリットのあるインプラントですが、お口の中に汚れが残っていると、インプラントトラブルを引き起こしてしまうことがあります。
唾液には、お口の中を整えるさまざまな働きはあるため、唾液の分泌を増やして、お口の環境を整えましょう。
インプラント後は特にお口の環境を整えることが大切
・インプラント周囲炎の予防
インプラントの治療をしても、お口の環境が悪化するとインプラントトラブルにつながることがあります。
インプラントはむし歯になることはありませんが、お口の中に汚れが残っていると、その中にひそんでいる細菌が歯ぐきに炎症を引き起こします。
インプラントの周りの組織が炎症を引き起こしている状態を「インプラント周囲炎」といいます。
インプラント周囲炎は歯周病と同様に、歯ぐきの周りの組織が炎症を起こすと顎の骨も溶かしてしまいます。
インプラントは、顎の骨に支えられているため、顎の骨が減少してしまうとインプラントがグラグラしたり、症状が悪化すると抜け落ちてしまったりする場合もあります。
特に、インプラントは天然歯と異なり、「歯根膜」というクッションになる膜がありません。
そのため、ダイレクトにダメージを受けてしまい、進行が早い特徴があります。
そのようなことにならないように、インプラントをよい状態で長持ちさせるためには、お口の中を清潔に維持することが重要です。
唾液の6つの働きとは
唾液はいつでもお口の中にあり、1日に1~1.5ℓもの唾液が分泌されています。
ただし、寝ている時は唾液が減少したり、生活環境などによっても分泌量が変化したりする場合があります。
それでは、唾液の働きについてご紹介します。
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抗菌作用
お口の中は、食事やお話しをする際に細菌やウイルスを吸い込む場合もあります。
唾液には、さまざまな抗菌をする働きがあるため、細菌やウイルスが侵入しようとした時に抑制することができます。
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再石灰化作用
唾液には「リン」や「カルシウム」などのミネラルが含まれています。
これらの成分が、むし歯菌が酸で歯を溶かした時に修復する働きがあります。
そうすると、初期のむし歯になりかけていた歯でも、再び強い構造に戻ることが可能です。
この働きを再石灰化と呼び、歯を維持するために大切な働きです。
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口臭予防
口臭の原因は、汚れの中にひそんでいる細菌の増殖です。
唾液は、口臭の原因になる細菌を殺菌する働きがあります。
朝起きた時口臭が強くなっていると感じるのは、就寝中は唾液が減少しているためです。
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緩衝作用
お口の中は基本的に中性ですが、食事や糖分の多いおかしを食べると酸性に傾きます。
酸性の状態が長く継続されると、歯は少しずつ溶かされてしまいます。
そうならないように、お口の中を中性に戻そうとする働きを「緩衝作用」といい、唾液にはこの働きがあります。
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自浄作用
食事をすると、歯と歯の間や歯ぐきの逆目に汚れが残りやすくなります。
この汚れをそのままにしておくと、細菌が増えてむし歯のリスクが高くなってしまいます。
これを防ぐために、唾液には汚れを洗い流す働きがあります。
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粘膜の保護
唾液がお口の中にあることで、食事をスムーズに飲み込みやすくなります。
また、舌をスムーズに動かしやすくなり、話やすくなります。
そのほかには、歯を失った時の治療で「入れ歯」がありますが、粘膜に入れ歯がつきやすくする働きや摩擦から守る効果も期待できます。
唾液が少なくなった時に起きること
唾液が少なくなると、様々なデメリットがあります。
唾液の働きが弱くなってしまうため、「虫歯のリスクが上がる」「食事がしにくい」「口臭が強くなる」「口の中がネバネバする」などが起こります。
唾液が減少するとお口の環境が悪化してしまうため、唾液の分泌を促して、お口の環境を整えましょう。
唾液が少なくなるケース
唾液の分泌量は加齢やストレス、薬の影響、全身疾患などで減少します。
お口の中がネバネバしやすかったり、口臭が気になるようになったら唾液が少なくなってしまったりする可能性があります。
全身疾患のために薬を服用している場合もあるため、その場合にはお口の中が乾燥しやすなります。
唾液の分泌を促すようにしましょう。
唾液の分泌を促すために
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キシリトールガムを噛む
唾液は「噛む」ことで唾液腺が刺激されて唾液の分泌を促します。
そのため、キシリトールガムを噛むことで唾液が出やすくなります。
キシリトールガムには、むし歯菌の働きを抑制する効果も期待できるため、お口の環境を整えるためにもおすすめです。
また、食事の際にも「しっかり噛む」ことを意識すると、唾液の分泌につながります。
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唾液腺マッサージをする
・耳下腺マッサージ
耳たぶの下あたりの部分に一指し指を当てて、後ろから前に回すようにゆっくりマッサージをします。
・舌下線マッサージ
両手の親指を顎の下に当てて、舌を押し上げるようにゆっくり押します。
繰り返し10回程度を目安に押しましょう。
・顎下腺マッサージ
親指を顎の下のやわらかい部分に当てて、耳の方向に順番に押していきます。
4か所程度を目安にマッサージをしましょう。
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水分補給をする
お口が乾燥していると、細菌が増殖しやすい環境になってしまうため、こまめに水分補給をしてお口の中を潤わせることが大切です。
朝起きた時の口臭対策にも水分補給をしたり歯磨きをしたりすると、口臭は改善しやすくなります。
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歯ごたえのある食材を増やす
やわらかい食事ばかり食べていると、噛む回数が少なくなりやすいといわれています。
しっかり噛むために、歯ごたえのある食材を増やしましょう。
和食には、ごぼうや漬物、などしっかり噛む必要がある食材が多い傾向になります。
【まとめ】
唾液には、お口の環境を整える働きが数多くあります。
インプラント治療後は、特にお口の環境を整えることで、インプラントをよい状態で保ちやすくなるため、せっかく治療したインプラントを長持ちさせるためにも唾液に分泌を促しましょう。
また、毎日の丁寧なセルフケアも大切です。
汚れをしっかり落としてお口の健康を維持して、インプラントを保ちましょう。