インプラントコラム
COLUMN
インプラント治療中の生活習慣で注意するポイントとは?
24.05.31
インプラント治療中は、顎の骨にインプラント体が定着するための大切な期間です。
その期間の過ごし方で、予後の治りも変わってきます。
そこで今回は、インプラント手術後の回復がよくなるためにも生活習慣で注意するポイントをご紹介します。
インプラントとは
インプラントは、顎の骨に「インプラント体」を埋め込んでその上に土台になるアバットメントをつけて、人工歯の被せ物をする治療です。
保険の入れ歯の場合には、金属のばねをかけるため、見た目が目立ってしまいますが、インプラントは自然な見た目を手に入れることができます。
また、ブリッジの場合には、左右を削ってその歯を土台にし、橋渡しのようにするためほかの歯を削る必要がありますが、インプラントはその部分だけで治療ができるため、ほかの歯の寿命を縮めることがありません。
・メリット
その部分だけで治療ができるため、ほかに歯に負担をかけることなく治療することができます。
また、インプラントのほとんどが自由診療のため、人工歯の被せ物には、セラミックを選択することができ、天然歯のような透明感があり自然な被せ物にすることができます。
固定式の治療のため、安定感があり、天然歯のような噛み心地を実感していただけます。
・デメリット
外科手術が必要なため、全身疾患のある方は症状が安定していないと治療が難しい場合があります。
自由診療のため、費用が高くなります。
インプラントはメリットの多い治療ですが、患者さまの考え方によって大きく異なります。
インプラント治療のメリット・デメリットをお伝えした上で治療の選択をしていただきます。
インプラント治療中に生活習慣で注意するポイント
・喫煙について
たばこの中には「ニコチン」と「タール」が含まれており、血管が収縮して酸素や栄養が十分に運ばれにくくなります。
そうすると、傷の治りが遅くなってしまったり、炎症を引き起こしたりするリスクが上がります。
また、インプラント手術をした後は、顎の骨とインプラント体が初期固定をする大切な時期ですが、顎の骨との定着が悪くなってしまうことがあります。
さらに、インプラント周囲炎のリスクも高くなってしまうため、インプラントを長持ちさせるためにも禁煙することをおすすめします。
・手術後の食事開始について
インプラント手術後も麻酔が切れてからは食事しても問題ありません。
ただし、麻酔が効いている間は、感覚がないため頬を咬んでしまったりする場合があります。
口の横から飲み物がこぼれてしまったりすることもありますので、麻酔が完全に切れてから食事することをおすすめします。
・傷口がある間の食事について
インプラント手術した部分はできるだけ触れない方がよいため、傷口と反対側で食べるようにしましょう。
また、傷口の負担になるような刺激の強い「辛い物」や「熱い物」は避けましょう。
キムチやからし、わさびなどを控えてください。
固い物は負担になってしまうため、やわらかめの食事からスタートするとよいでしょう。
「うどん」「おかゆ」「シチュー」などの食べやすい物がおすすめです。
ただし、やわらかい物でも傷口で噛むと傷口の負担になってしまうことがあるため、傷口は触らないようにしましょう。
手術当日の生活のポイント
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お風呂は控えましょう
インプラント手術の傷口は縫合していますが、血流が良くなることをすると腫れや痛みの原因になります。
お風呂に入ると血行がよくなるため、シャワ―で汗を流す程度にしましょう。
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飲酒は控えましょう
飲酒も同様に血流が良くなってしまうため、腫れや痛みの原因になります。
また、飲酒後はお口の中を清潔にせずに寝てしまうこともあるため、飲酒は控えましょう。
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激しい運動は控えましょう
激しい運動は、傷口の負担になってしまうだけではなく、腫れなどを伴うこともあります。
手術当日は安静にして、十分な休養を取りましょう。
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睡眠
免疫力を高めるためには、十分な睡眠が必要です。
特にインプラント手術当日は、いつもと違う環境で疲れなども出ているため、早めに就寝することをおすすめします。
お口の中のケア方法
インプラントの傷口部分は指示があるまで歯ブラシを当てない方が良いですが、ほかの部分は汚れが残ったままになってしまうと、むし歯や歯周病のリスクが高くなってしまうため、いつも通りケアをしましょう。
ただし、うがいをする時に強くうがいをすると傷口がかさぶたになりかけている時に治りが悪くなってしまうため、軽めのうがいをしましょう。
お薬について
インプラント手術後は「抗菌薬」と「痛み止め」が処方されます。
抗菌薬は必ず指示された分飲みきってください。
自己判断で止めてしまうと耐性菌ができてしまい、今後お薬が効きにくくなる可能性があります。
痛み止めに関しては痛みが落ち着いている場合には、服用しなくてもよいでしょう。
お口の状況を確認しながら、痛み止めを飲んでください。
痛みが出た場合
痛みは、2~3日程度をピークに徐々に落ち着いてきます。
多くの場合、痛み止めを服用すると落ち着くことが多くなります。
ただし、手術後に強い痛みを感じて、痛み止めも効かない場合には一度歯医者に相談しましょう。
腫れが強い場合の対処法
インプラント手術の後は腫れなどが一時的に出る場合がありますが、通常の回復過程なので、問題ないことが多いでしょう。
しかし、骨造成の手術などをした場合などでは、腫れが出ることもあります。
その場合には、冷却シートや濡れたタオルを使って頬から冷やしましょう。
患部を直接冷やすのは刺激が強すぎるため、必ず頬から冷やしてください。
また、冷やし過ぎるのも傷口に負担がかかってしまうため、様子を見ながら冷やしましょう。
【まとめ】
インプラントは外科手術なので、インプラント手術後は安静にしましょう。
特に血流が良くなることをすると、腫れや痛みの原因になりますので、熱いお風呂、飲酒、激しい運動などを控えましょう。
また、処方されたお薬はきちんと指示を守って飲みましょう。
抗菌薬は必ず飲みきることなどをきちんと守って、インプラント手術後の生活を送りましょう。
この時期は、インプラントと顎の骨が定着するための初期固定がある大切な時期です。
ポイントを守って、インプラントの治癒がスムーズにいくようにしましょう。