インプラントコラム
COLUMN
今までと同じで良いの?インプラント治療後の歯磨きのポイントとは
24.10.01
インプラント治療をして被せ物が入った後は、しっかり噛めるようになり、食生活や会話がしやすくなりますが、治療後に気をつけていただきたいのが毎日のセルフケアです。
インプラントの周りに汚れがついたままになっていると、インプラント周囲炎になってしまい、インプラントのトラブルになってしまいます。
そのような状態にならないようにインプラント治療後の歯磨きは大切です。
そこで今回は、インプラント治療後の歯磨きのポイントについてご紹介します。
インプラント治療後に歯磨きをしないとどうなる?
インプラントは、歯周病菌が歯ぐきに炎症を引き起こすと、「インプラント周囲炎」になります。
インプラント周囲炎は、インプラントのトラブルにつながりやすい疾患で、歯ぐきに炎症を引き起こすだけでなく、顎の骨にまで炎症が広がると顎の骨が減ってしまいます。
インプラントは顎の骨で支えられているため、顎の骨が減ってしまうとインプラントがグラグラして、安定しなくなります。
さらに悪化すると、グラグラして抜け落ちてしまうことも。
また、歯周病による炎症は自覚症状が少なく、気づきにくい疾患です。
特に、インプラント周囲炎は天然歯にある「歯根膜」という部分がありません。
天然歯の場合には衝撃をやわらげてくれる部分ですが、この部分がない事により、インプラント周囲炎は急速に進みます。
インプラント治療後の歯磨きのポイントとは?
インプラント手術直後は患部を磨かない
インプラント当日は、患部は傷口になっています。
その部分に歯ブラシを当ててしまうと刺激が強すぎて、傷口に負担がかかる場合があります。
ほかの部分は、普段通り歯磨きしても問題ないため、丁寧に歯磨きをしましょう。
また、強いうがいをすると、傷口が治っているところに負担がかかります。
手術当日は、軽くうがいする程度にしておきましょう。
インプラントの患部は、傷口が落ち着いてきたら歯ブラシを当てることができますので、歯科医院で歯ブラシを当てて良いか確認しましょう。
歯ぐきの境目を細かく磨く
歯ぐきの境目に汚れが残っていると、歯周ポケットが深くなります。
そうすると、歯周ポケットの中に汚れが入りこみやすなり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
そのため、歯ぐきの境目に汚れが残らないように、歯ブラシの毛先を歯ぐきの境目の斜めに当てて(45度位)1~2本ずつ細かく動かしましょう。
この時、毛先が入り込みやすいように毛先が細くなっていて、やわらかめの歯ブラシが良いでしょう。
デンタルフロスや歯間ブラシを併用する
歯ブラシの毛先が届きにくいため、歯と歯の間も汚れが残りやすい部分です。
そのため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して汚れを落としましょう。
デンタルフロスは糸巻タイプとホルダータイプがあります。
糸巻タイプは慣れるまでコツが必要ですが、コストを軽減できます。
ホルダータイプは、フロスを入れやすいため、初めての方でもスムーズにフロスを使いやすくなります。
タフトブラシを使用する
歯ブラシの毛先が当たりにくい部分は、毛束が1つになっているタフトブラシがおすすめです。
汚れが落ちにくい部分にピンポイントでブラシを当てることができます。
歯磨き粉で気をつけることとは?
・研磨剤が粗い物は控えましょう
着色を除去する目的がある歯磨き粉の中には、荒い研磨剤が入っている物もあります。
しかし、荒い研磨剤は、歯の表面に細かい傷を作ってしまい、汚れが残りやすくなってしまう場合があります。
また、インプラント治療をした歯ぐきの境目に粒子が入り込んでしまうと、歯ぐきが腫れてしまうことがあります。
舌で触って、粒子の粗いザラザラした歯磨き粉は天然歯もインプラントにも悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、研磨剤の入っていない歯磨きを選びましょう。
どの歯磨き粉が良いか分からない場合には、歯医者で確認していただくと、患者様のお口の状況に合わせて歯磨き粉をご紹介します。
・フッ素入りの歯磨き粉は使っても良い?
インプラントは、歯科で塗布する高濃度のフッ素は腐食する可能性が報告されています。
しかし、歯科で塗布するフッ素は9000ppmと濃度が高く、歯磨き粉に含まれているフッ素は最大でも1450ppm程度です。
そのため、日常的に使用するフッ素入り歯磨き粉は使用しても良いとされています。
歯科で塗布するフッ素に関しては、インプラント部分は控えるなど配慮されていますので、ご安心ください。
フッ素には、むし歯を予防する効果が見込めます。
インプラント部分以外の残っている歯に対して、むし歯菌の働きを抑制する、歯の再石灰化を促進する、歯の質を強化する働きが見込めます。
口内環境を整えるために効果的なため、フッ素入り歯磨き粉は取り入れて問題ありません。
インプラントを維持するためにはメンテンスも大切
毎日セルフケアをしていても、苦手な所は汚れが残ってしまうこともあります。
そのままにしていると、インプラント周囲炎のリスクが上がってしまいます。
そのため、定期的にメンテナンスをすることが重要です。
汚れが残っている部分はクリーニングで衛生環境を整えます。
また、インプラント部分もレントゲン撮影や視診で確認します。
レントゲン撮影をすることで、インプラントや顎の骨の状態をチェックしてインプラントに不具合が起きていないか診断することができます。
定期的にメンテナンスをすることで、インプラントトラブルが起きないように未然に防ぐことができます。
インプラントを良い状態で維持するためには、毎日の正しいセルフケアと定期的のメンテナンスが大切です。
【まとめ】
インプラント治療後のセルフケアは大切で、歯ブラシを細かく動かしたりデンタルフロスや歯間ブラシなどのデンタルグッズを併用したりして、歯と歯の間の汚れを落としましょう。
また、荒い研磨剤が入っている歯磨き粉は歯ぐきの境目に研磨剤が入り込んで、歯ぐきの腫れにつながってしまうこともあるため、控えましょう。
研磨剤の入っていない物や低研磨の物がおすすめです。
歯医者で確認していただくと、患者様に合った物をご提案しますので、お気軽にご相談ください。