基礎知識

自分の歯よりインプラントの方が歯周病になりやすい? インプラント維持のためにできることとは

24.10.31

インプラント治療をして、被せ物が入ると天然歯と同じような噛み心地を実感することができます。

また、セラミックの被せ物を選択できるため、透明感があり、変色しない審美性の高い被せ物を入れられます。

ただし、インプラントは汚れが残っているとトラブルを起こしやすく、天然歯よりインプラントの方が歯周病になりやすい特徴があります。

そこで今回は、せっかく治療したインプラントを維持するためにできることをご紹介します。

 

歯周病とは?

歯周病は、汚れの中にひそむ歯周病菌が感染して起きる細菌感染症です。

歯茎の深さである「歯周ポケット」の内部に付着しやすく、歯茎に炎症を引き起こします。

ただし、初期の段階では自覚症状が少なく、歯磨きの時に出血する、歯茎が腫れる程度なので、見過ごしてしまうことも少なくありません。

 

そのまま放置して、歯周病が悪化すると歯茎の炎症だけにとどまらず、歯を支えている骨にまで炎症が及び、顎の骨を溶かしてしまいます。

そうすると、歯を支える力が弱くなり、グラグラしたり、最終的には抜け落ちてしまったりすることもある怖い疾患です。

 

歯周病は、歯を失う原因第1位になっており、身近な疾患です。

早い段階で対処して、悪化しないようにすることが重要です。

 

自分の歯とインプラントの歯周病のリスクの違い

ご自分の歯の場合、歯の周りに「歯根膜」という歯に力が加わった時に衝撃を吸収する部分があります。

この膜は、血液を供給するなど、大切な働きをしています。

一方、インプラントの場合には、この歯根膜がないため、ダメージを受けるとダイレクトに伝わってしまい、症状進みやすい特徴があります。

また、インプラントは血液の供給ができないため、免疫力が低下します。

歯周病菌への抵抗力が弱いため、症状が進行しやすいです。

 

そのため、歯周病菌が感染して、炎症が起きるとインプラントの場合には、急速に悪化することがあります。

インプラントを良い状態で保ち続けるためには、歯周病菌の直接の原因である「歯垢」を取り除くことが大切です。

 

そのためには、毎日の歯磨きで磨き残しを減らして、キレイな口内環境を維持しましょう。

 

インプラントをした後に歯周病になるとどうなる?

インプラント治療をして、被せ物が入っても、汚れがついたままになっていると歯周病菌が感染してインプラント周囲炎を発症します。

 

初期の段階では、歯茎が腫れる、歯磨きの時に出血するなどの症状ですが、天然歯と比較すると急速に症状が進行します。

天然歯と比較すると、抵抗力が弱いこともあり、10倍程度も進行が早いともいわれています。

 

そのため、インプラント治療が終わった後も歯周病の予防をすることが大切です。

歯周病の原因である歯周病菌が多くすみついている歯石や歯垢を口の中に残さないようにして、清潔な口内環境を維持することが重要です。

 

インプラントを長持ちさせることはもちろん、ほかの歯の虫歯や歯周病を予防するためににも、口内環境を整えることは大切です。

 

歯周病を予防するためには

・正しいセルフケアを毎日行う

毎日歯磨きをしていても、磨きにくい場所や苦手な部分は汚れが残ってしまいがちです。

歯医者のブラッシング指導で磨きにくい所を確認しましょう。

汚れが残っている部分を教えてくれて、その部分の汚れの落とし方を確認してくれます。

歯ブラシの当て方によって細かい部分に汚れが残ってしまうことがあります。

その部分の汚れの落とし方を知って、毎日のセルフケアに役立てましょう。

 

・デンタルフロスや歯間ブラシを併用する

歯と歯の間は汚れが残りやすい部分です。

その部分の汚れが残っていると、歯周ポケットの内部にも汚れが残りやすく、歯周病のリスクが高くなります。

歯ブラシだけでは汚れが落とせない部分は、デンタルフロスや歯間ブラシを使って汚れを落としましょう。

 

デンタルフロスは柄がついているタイプと糸巻きタイプがあります。

柄がついている物は、初めての方でも歯と歯の間に通しやすい形態です。

糸巻タイプは少しコツが必要ですが、費用を抑えられるメリットがあります。

デンタルフロスのやり方が分からない時は、メンテナンスの時にお声がけいただくとやり方やコツをお伝えすることができます。

 

歯間ブラシは4sからLLまで幅広いサイズが展開されています。

歯茎のサイズより大きい物を入れてしまうと歯茎を傷つけてしまう可能性あるため、気をつけましょう。

 

・定期的にメンテナンスを受ける

インプラント治療を行った後は定期メンテナンスが重要です。

定期メンテナンスでは、レントゲン撮影をして顎の骨やインプラントの状態を確認します。

また、歯茎の状態や汚れがついていないかなどもチェックして、クリーニングをします。

クリーニングをすると歯石や歯垢を除去して、歯の面がツルツルになるため、汚れが着きにくくなります。

 

・禁煙をする

たばこはインプラントのリスクファクターです。

たばこの中のニコチンには、血流を妨げる働きがあるため、酸素や栄養が十分に運べなくなります。

そうすると免疫力が低下して歯周病菌に対する抵抗が弱くなります。

 

また、たばこのヤニはベトベトしており、その部分に汚れが着きやすくなります。

さらに、口の中が乾燥しやすくなるため、細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。

 

たばこは、歯周病のリスクファクターのため、歯周病を予防するためには禁煙が望ましいでしょう。

 

・健康的な生活習慣

歯周病を予防するためには、十分な休養とバランスのよい食生活が大切です。

体調が悪い時など、免疫力が低下した時に歯茎の炎症を引き起こしやすくなります。

そのため、免疫力をアップするために健康的な生活習慣を身につけることが歯周病の予防にもつながります。

 

【まとめ】

インプラントは審美的にも機能的にもメリットの多い治療ですが、毎日のセルフケアを怠ってしまうと、インプラントの歯周病になってしまいます。

インプラント周囲炎を予防するためには、毎日の正しいセルフケアと定期的な検診が重要です。

口内環境を整えることにもつながりますので、ほかの歯の寿命を長くすることもできます。

治療をしたインプラントを長持ちさせるために、歯周病を予防して口内環境を整えましょう。