基礎知識

インプラントはいつまで使える?寿命が短くなってしまうケースとは

24.11.30

インプラント治療を迷っている方は、インプラント治療はいつまで使えるか気になる方もいるのではないでしょうか。

歯を失った時の治療は、インプラントとブリッジと入れ歯が主な治療ですが、その3つの治療の中では一番寿命が長い治療です。

ただし、口の中の環境によって寿命が左右されてしまうこともあるため、日常の生活習慣も大切です。

そこで今回は、インプラントの寿命が短くなってしまうケースと対処法について詳しくご紹介します。

 

インプラント治療の平均的な寿命とは?

インプラントの平均寿命は、口の中の状況によっても変わります。

10年後に使用できている方の9割がその後もインプラントを使用できています。

ブリッジの平均寿命が7~8年程度、入れ歯の寿命が4~5年程度とされているため、比較すると10年以上使えている方が多数のため、寿命の長い治療といえます。

 

インプラントは、自由診療のため治療にかかるコストはかかりますが、寿命も長くメリットの多い治療です。

ほかの歯に負担をかける必要が無く、顎の骨にインプラント体を埋め込んでその上に被せ物をするため、安定していて天然歯と同様に噛むことができます。

 

また、セラミックの被せ物も選択することができるため、透明感があり、天然歯になじむ被せ物を入れることができます。

そんなメリットの多いインプラントですが、口の中の状況によっては寿命を短くしてしまうケースもあるため、ご紹介します。

 

インプラントの寿命が短くなってしまうケースとは

CASE1 インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、インプラントを支えている歯周組織が炎症を起こす疾患です。

その主な原因が、磨き残しの中にひそんでいる細菌が関係しています。

初期の段階では、歯茎が腫れる程度の症状ですが、インプラントは天然歯と違い「歯根膜」というクッションの役割をする膜がありません。

 

そのため、進行が早く顎の骨を溶かしてしまい、インプラントがグラグラしてしまったり、悪化すると抜け落ちてしまったりすることもあります。

 

【予防法】

インプラント周囲炎を防ぐためには、汚れを残さないことが大切です。

毎日のセルフケアで丁寧に汚れを落としましょう。

歯ブラシだけでは落とし切れない汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して汚れを落とすと良いですね。

 

CASE2 定期メンテナンスに通っていない

定期的なメンテナンスでは、見た目では見えない部分をレントゲン撮影して確認することができます。

インプラントは、顎の骨の状態も重要なため、顎の骨が減っていないか、炎症を引き起こしていないか確認します。

 

また、不具合が起きる前に対処することで、インプラントにトラブルを引き起こすことを防ぐことができます。

 

【対策】

定期メンテナンスは、決められた期間で受診して受けましょう。

インプラントの状態を確認するのはもちろん、セルフケアでは落とし切れない汚れをクリーニングで除去します。

また、汚れが着いている部分は、その部分に汚れの落とし方をお伝えして毎日のセルフケアに役立てていただけます。

 

CASE3 かみ合わせの悪さ

先ほども少しお話しましたが、インプラントは歯根膜がありません。

そのため、顎の骨に対する伝わり方が少し異なります。

インプラント治療をした際には、インプラントに負担がかからないようにかみ合わせのバランスも考慮して調整をしますが、かみ合わせが口の中の環境によって少しずつ変わることがあります。

 

【対策】

治療後にかみ合わせもチェックして、必要であれば調整をする必要があります。

かみ合わせは繊細ですが、自分では気づきにくい部分でもあります。

定期的なメンテナンスでは、噛み合わせも確認できます。

 

CASE4 歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは非常に強い力がかかっている場合が多いですが、寝ている間に歯ぎしりしていることも多いため、意識して改善しにくい悪習癖です。

しかし、そのまま放置してしまうと、体重以上の強い力がかかっていることもあり、インプラントに負担がかかったり、ほかの歯が割れてしまったりすることもあります。

 

【対策】

日中の食いしばりは、意識して改善できることが多いため、食いしばりを止めるようにしましょう。

どうしても食いしばりをしてしまう方は、食いしばりをしやすいタイミングの時は、マウスピースを装着しましょう。

 

スポーツなどで瞬間的に強い力を発揮する方は食いしばりをしやすい傾向になります。

また、寝ている時は意識的に改善することがむずかしいため、マウスピースを装着して、インプラント、天然歯、顎の負担を軽減しましょう。

 

CASE5 喫煙している

タバコに含まれるタールやニコチンは、血流を悪くして傷の治りを悪くします。

インプラント手術後に喫煙をしていると傷口の治りが悪かったり、定着を遅らせてしまったりする可能性があります。

 

また、喫煙をしていると、口の中が乾燥して唾液の働きが弱くなります。

唾液には、細菌を洗い流す働きや口の中が酸性に傾いた時に中性に戻そうとする働きがあり、口の中の環境を整える大切な役割があります。

 

そのため、その働きが弱くなると、細菌が増殖しやすくなり、インプラント周囲炎のリスクが高くなります。

 

【対策】

喫煙はインプラント治療のリスクファクターです。

身体にも悪影響を及ぼすことが分かっているため、喫煙を控えていただくことをおすすめします。

ご自分で禁煙が難しい場合には、禁煙外来などもありますので、利用する方法もあります。

 

【まとめ】

インプラントは、ブリッジや入れ歯と比較すると、平均しても寿命が長い治療方法です。

ただし、お口の中の環境次第ではインプラントの寿命を縮めてしまう可能性があります。

そのため、インプラントの寿命を延ばすために、定期的なメンテナンスを受けてお口の環境を整えましょう。

また、インプラント周囲炎のためには、毎日のセルフケアが重要です。

歯ブラシだけで磨きにくい部分はデンタルフロスや歯間ブラシを併用して汚れを落としてくださいね。

 

当院は、インプラント治療の被せ物が入った後もメンテナンスに力を入れて、インプラントをより長く使っていただけるようにサポートいたします。

歯を失った時の治療でインプラントをご希望の方はお気軽にご相談ください。