インプラントコラム
COLUMN
インプラント治療中に気をつけたい生活習慣とは?治療成功のために知っておくべきポイント
25.11.30
インプラント治療は、人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に被せ物をして歯を失った部分の機能を回復させる治療です。
成功率は高いものの、治療期間中の生活習慣によっては、治癒が遅れたり思わぬトラブルにつながったりすることもあります。
とくにインプラント埋入直後から骨と結合するまでの期間は、とても慎重な管理が必要です。
この時期の過ごし方が、インプラントの長期的な安定に影響があります。
そこで今回は、インプラント治療中に気をつけたい生活習慣を、治療前後のポイントとあわせて解説します。
治療後の生活習慣がインプラントの安定を決める
インプラントは、顎の骨としっかり結合することで安定します。
しかし、毎日の生活の中で行っている何気ない習慣が、治癒を妨げたり、炎症や痛みの原因になることがあります。
よくある生活習慣によるトラブル
・インプラント周囲炎の発症
・傷口の治癒が遅い
・出血・腫れの長期化
・骨結合を妨げる
・痛みの増加
こうしたトラブルは、ほとんどが正しい生活習慣を知っていれば、予防しやすくなります。
インプラント治療中に気をつけたい生活習慣10選

1 喫煙(タバコ)は控える
インプラント治療において、喫煙はさまざまな悪影響を及ぼす要因です。
・血流が悪くなり、酸素や影響を十分に供給できなくなってしまうため、傷の治りが遅れる
・骨とインプラントの結合力が弱くなる
・喫煙すると、お口の中が乾燥しやすくなり、細菌感染のリスクが2〜3倍に増加します。
・細菌の増加に加えて、ベトベトしやすくなるため、汚れが残りやすい環境になり、インプラント周囲炎の発症率が高まります。
最低でも手術前後の2週間は禁煙をしましょう。
できれば治療期間を通して禁煙することをおすすめします。
2 アルコールの摂りすぎに注意
手術直後の飲酒は血流を促進し、腫れや出血を悪化させることがあります。
【注意すべきポイント】
・術後2〜3日は飲酒を控えましょう
・抜糸までは量を控えめに
・大量飲酒は治癒の妨げになる場合があります。
少量なら問題ありませんが、術後早期は慎重に過ごしましょう。
3 激しい運動は避ける
運動によって血圧が上昇すると、再出血やズキズキする痛みが出やすくなります。
【避けたい運動】
・ランニング
・筋トレ
・サウナ・岩盤浴
・長時間の熱い入浴
術後1週間は軽い運動にとどめ、体に負担がかからないよう注意しましょう。
4 傷口を触らない
傷口を舌で触ると刺激になる場合があります。
また、強いうがい、ストローで吸う動作は傷口に負担をかける可能性があるため、控えましょう。
【避けるべき理由】
・血餅(保護膜)が取れて治癒が遅れる
・細菌が入りやすくなる
・傷が開く可能性がある
特に手術当日は、軽くすすぐ程度にとどめてください。
5 早期に硬いものを噛まない
インプラントが骨と結合するには2〜3ヶ月ほど必要です。
この期間に強い力が加わると初期固定不良の原因になる場合があります。
負担のかかりにくいやわらかい物からスタートし、徐々に慣らしていきましょう。
【避けたい食品の例】
・せんべい
・ナッツ類
・フランスパン
・スルメ
・固い肉
また、インプラント手術した部分と反対で噛める場合には、患部を避けて噛むようにしましょう。
6 歯磨きをおろそかにしない
歯垢(プラーク)が溜まると細菌が増え、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。
インプラント手術後は、患部以外の部分は歯磨きすることができるため、丁寧にセルフケアを行いましょう。
また、手術した部分に関しても歯磨きしても問題ないようになったら、全体的に細かく磨きましょう。
【正しいセルフケア】
歯ブラシだけでは、歯ぐきの境目や歯と歯の間など、細かい部分に汚れが残りやすくなります。
そのため、
・歯間ブラシを毎日使う
・すき間が小さい時にはデンタルフロスを使用しましょう
・抗菌性の洗口液を使用
インプラント手術後も可能な範囲で口腔内を清潔に保つことが重要です。
7 寝不足・ストレスをためない
インプラント手術後の傷の治りは、免疫力も影響します。
そのため、十分な睡眠をとって、リラックスして過ごすことが大切です。
【よくあるケース】
・寝不足が続くと腫れが引かない
・ストレスによる食いしばりで負担が増える
・免疫力が落ちて感染しやすくなる
特にインプラント手術をした直後はゆったりと過ごし、規則正しい生活を意識しましょう。
8 歯ぎしり・食いしばりに注意
インプラントは天然歯と異なり、衝撃を吸収する「歯根膜」という部分がありません。
そのため、強い力が加わると、ダメージを受けやすくなります。
【過剰な力が及ぼす影響】
・骨吸収が進みやすい
・被せ物が欠ける・外れる
・インプラントが揺れる
歯ぎしりや食いしばりは、無意識に行っていることも多いため、就寝中は「ナイトガード」というマウスピースを使用して、強い力からインプラントを守りましょう。
9 糖尿病などの全身疾患を適切に管理する
糖尿病は血糖値が上がると、免疫力が低下する疾患です。
そのため、インプラント治療においては、「傷の治りが悪くなる」「骨とインプラントとの結合が悪くなる」「インプラント周囲炎のリスクが高くなる」など注意が必要です。
そのため、血糖をコントロールできている状態でインプラント治療をすることが大切になります。
【注意点】
・血糖のコントロール
・適度な運動
・食事の管理
・内科での定期フォロー
全身状態が整っていることは、インプラント成功の重要な条件です。
10 歯科医院でのメンテナンスを欠かさない
インプラントは、被せ物が入ったら終わりではなく、定期的な検診が長持ちさせるための大切なポイントです。
【メンテナンス内容】
・インプラント周囲炎の診査
・プロによるクリーニング
・噛み合わせの確認と調整
・スクリューの緩みチェック
・レントゲンで骨の状態を確認
来院目安は3〜6ヶ月程度に1回です。
継続することでインプラントトラブルの早期発見・早期対処が可能になります。
【まとめ】

日々の生活習慣でインプラントの予後は大きく変わります。
インプラント治療中は、日々の生活習慣が治癒の進み具合や長期的な安定性に大きな影響を与えます。
とくに意識したいポイントは、
・過度な飲酒や激しい運動を避ける
・喫煙を控える
・傷口を刺激しない
・硬い食品を早期に噛まない
・丁寧なブラッシングと歯間清掃
・定期的なメンテナンスの継続
・睡眠不足やストレスの軽減
といった基本的な行動です。
これらを守ることで、インプラントはより長く安定し、快適に使い続けることができます。
少しでも不安や疑問があれば、自己判断せず歯科医師に相談しましょう。
当院は、多くのインプラント治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。






