インプラントコラム
COLUMN
インプラント周囲炎はなぜ起こる?歯磨きだけでは防げない理由
26.01.26
「インプラント周囲炎になったのは、歯磨きがうまくできていないから?」
と心配になる患者様も多いのではないでしょうか。
たしかに、毎日のセルフケアはインプラントを長く安定して使うために欠かせません。
しかし、インプラント周囲炎は「歯磨きが下手だから起こる」というわけではありません。
そこで今回は、インプラント周囲炎が起こる要因とともに、「しっかり磨いているつもりなのに不安」「自分だけの問題なのでは」と感じている方へ向けて、インプラント周囲炎の知識と予防の考え方を解説します。
インプラント周囲炎とはどんな病気?

インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲に細菌感染が起こり、歯ぐきや顎の骨が少しずつダメージを受けていく疾患です。
症状は天然歯の「歯周病」に似ていますが、インプラントには歯根膜が存在しないため、炎症が広がりやすく、気づかないうちに進行しやすいという特徴があります。
初期の段階では、歯ぐきの腫れ・ブラッシング時の出血・違和感などの症状にとどまることも多く、自覚がないまま骨吸収が進行してしまうケースも少なくありません。
なぜ「歯磨きのせい」と思われやすいのか
インプラント周囲炎の原因としてよく知られているのが、プラーク(歯垢)や細菌の付着です。
そのため、
「汚れが残っているのは歯磨きが不十分」
「インプラント周囲炎はセルフケアが足りない」
と結びつけて考えられやすい傾向があります。
しかし、これらは数ある要因のひとつの可能性があります。
そのため、ほかの要因が関係している場合には、毎日の歯磨きを丁寧に行っている方であっても、インプラント周囲炎を発症するケースはあります。
インプラント周囲炎を引き起こす可能性がある主な要因

噛み合わせの影響
インプラントは天然歯に比べて感覚が鈍く、無意識のうちに強い力が加わっていることがあります。
噛み合わせのわずかなズレや、歯ぎしり・食いしばりが続くことで、歯ぐきや骨に負担が蓄積し、炎症が起こりやすくなります。
もともとの歯周病リスク
過去に歯周病が原因で歯を失った方は、インプラント治療後も歯周病菌の影響を受けやすい傾向があります。
これは「歯磨きができていない」という問題だけではなく、体質や口腔内の細菌環境といった背景が関係しています。
定期的なメンテナンス不足
毎日のセルフケアだけでは、インプラント周囲の細かな汚れや噛み合わせの微妙な変化を完全に管理することは難しいです。
そのため、定期的なメンテナンスで専門的なクリーニング・噛み合わせのチェック・炎症の早期発見を行います。
メンテナンスでこれらを継続することがインプラント周囲炎の予防の大切なポイントです。
インプラント周囲は構造的に汚れが残りやすい
インプラントは天然歯とは構造が異なり、歯と歯ぐきの境目に細菌が入り込みやすい特徴があります。
一見きれいに磨けているように見えても、被せ物の縁やインプラントのネジ周囲、歯ぐきの内側など、歯ブラシだけでは清掃が難しい部分に汚れが蓄積しやすいでしょう。
インプラント周囲炎を防ぐためにできること

インプラント周囲炎を予防するために、大切なのは、自分の口の状態に合ったケアを理解し、正しく・継続して行うことです。
日々のセルフケアと歯科医院での管理を組み合わせることで、インプラントは長期的に安定しやすくなります。
自己流ではない正しい掃方法を身につける
インプラントは、歯並びや埋入位置、被せ物の形によって、汚れが溜まりやすいポイントが一人ひとり異なります。
見た目はきれいに磨けていても、歯ぐきの中や被せ物の縁、ネジ周囲など、歯ブラシだけでは十分に清掃できていないケースも少なくありません。
歯科医院では、インプラント周囲の状態を確認したうえで、ブラッシング方法や清掃時の注意点を具体的にお伝えできます。
自己流のケアを続けるのではなく、定期的にプロの視点で確認してもらうことが大切です。
歯ブラシだけに頼らない補助清掃用具の活用
歯ブラシのみでインプラント周囲の汚れを完全に除去することには限界があります。
歯間ブラシやデンタルフロスを適切に使用することで、歯ぐきの境目や被せ物の縁など、歯ブラシが届きにくい部分の清掃がしやすくなります。
補助清掃用具は、サイズや使い方が合っていないと効果が十分に発揮されません。
自分に合った種類や使用方法を歯科医院で確認し、無理なく続けられる形で取り入れることが大切です。
定期的な歯科医院でのチェックとメンテナンス
インプラント周囲炎は、初期段階では自覚症状が分かりにくい病気です。
そのため、症状が出てから対応するのではなく、定期的な歯科医院でのチェックによって早期発見・早期対応を行うことが重要になります。
専門的なクリーニングによる汚れの除去に加え、噛み合わせの変化や歯ぐきの状態を継続的に確認することで、インプラント周囲炎のリスクを下げることが期待できます。
噛み合わせや生活習慣にも目を向ける
インプラントは天然歯に比べて感覚がやや鈍いため、知らないうちに強い力がかかっていることがあります。
噛み合わせのズレや、歯ぎしり・食いしばりが続くと、歯ぐきや周囲の骨に負担が蓄積し、炎症が起こりやすくなります。
必要に応じて噛み合わせの調整を行ったり、就寝中にマウスピースを使用したりすることで、インプラントへの負担を軽減することが期待できます。
継続することがインプラントを守るポイント
インプラント周囲炎の予防で大切なのは、一時的に頑張ることではなく、無理なく続けることです。
正しい知識と歯科医院のサポートを活用することで、インプラントは10年後も安定して使い続けることが十分に可能になります。
【まとめ】
インプラント周囲炎は総合的な管理が重要です。
インプラント周囲炎は、歯磨きが上手かどうかだけで起こる病気ではありません。
インプラントの構造や噛み合わせ、もともとの体質、定期的なメンテナンスの有無など、複数の要素が重なって発症します。
少しでも不安を感じた場合は、「まだ大丈夫」と自己判断せず、早めに歯科医院へ相談することが大切です。
正しい知識と継続的なケアこそが、インプラントを長く安定して守るための近道になります。






