基礎知識

インプラントで失敗しないためには?失敗例と対策について

19.04.23

どの治療法にもリスクはつきものです。インプラントにおいては外科手術を伴うため、失敗を伴う場合があります。ではインプラントはどのような失敗が起こるのでしょうか。また失敗しないための対策についてもお話をいたします。

インプラントで起こりうる失敗とは

ではどんな失敗が起こるのでしょうか。失敗例をご紹介しましょう。

CT撮影が行われていないなど、術前検査が不十分

治療には精密な診断が欠かせません。特にCT画像では、平面のパノラマレントゲンではわかりにくい部分も詳細に把握することが出来ます。特に下顎には血管や神経がたくさん通っており、ひとつ間違えると取り返しがつかないことが起こることもあります。
術前検査をしっかりと行われていない治療は、大きな失敗を招いてしまいます。

治療後に続く痛みや痺れ

インプラントは顎の骨に穴を開け、そこへインプラント体を埋め込んで骨と結合させます。顎の骨には血管や神経が通っており、インプラントが適切な角度や位置へ埋め込まれなかったことによって神経を損傷してしまうことがあります。また他の歯の根の部分にインプラントが触れて痛みが起こることがあります。
そして痛みの他に、痺れを感じるケースも存在します。
このように、治療後にいつまでも痛みが続く、激しい痛みが起こる場合、インプラント本体の埋入に問題があると考えられます。

細菌感染による痛み

衛生環境に問題がある場合、インプラント部分に細菌感染が起こることがあります。細菌感染が起こると、痛みや腫れなどが起こります。これは滅菌が徹底されていない環境で外科処置を行われたことが考えられます。このように衛生環境が悪いと、細菌感染リスクが高まってしまいます。

インプラントと骨の結合がうまくいっていない

なぜインプラントでしっかり噛めるようになるのかと言うと、それは顎の骨とインプラント体がしっかり結合するからです。この結合を「オッセオインテグレーション」と言い、オッセオインテグレーションが確認されたのちに人工歯を取り付けて噛む機能を取り戻します。
ところが顎の骨とインプラント体の結合がうまくいかなければインプラントは脱落し、噛むことはできなくなります。この原因として、まずインプラントが適切な位置に埋入されていないことが挙げられます。
そしてもうひとつの原因は、ドリルで顎の骨に穴を開けた際に顎の骨にダメージが加わったことが挙げられます。緻密なドリリングによりインプラントが適切な位置に埋め込まなければ、オッセオインテグレーションを得ることが出来ません。

インプラント周囲炎による痛み、腫れ、インプラント体の脱離

これは患者様側に気をつけていただければならないことです。インプラント周囲炎とは、歯周病に似た症状で、歯周病菌によってインプラント周囲の歯周組織に炎症が起こり、歯ぐきの腫れや出血が見られます。症状が悪化すると歯周病菌が顎の骨を吸収し始め、インプラントのぐらつき、そして最終的にインプラントが抜け落ちてしまいます。
インプラント治療後は定期的なメンテナンスが欠かせません。家庭でのセルフケアだけでなく、歯科医院できちんとメンテナンスがインプラント治療の成功のカギを握っているとも言えます。
しかしメンテナンスを怠っているとインプラント周囲が細菌感染を起こし、インプラントが脱落するなど深刻な影響が出てしまいます。

人工歯の破損や脱離

セラミッククラウンなどの人工歯とインプラントは、アバットメントというネジのような連結部品によって繋げられています。人工歯が外れてしまうのは、アバットメントの締め付けが不十分であることが考えられます。
また人工歯が欠けてしまうなど、人工歯そのものに影響が起こってしまうこともあります。これは噛み合わせの調整がきちんと行われていないこと、または歯ぎしりなどで歯に過度な負担がかかってしまうことなどが推測できます。

治療を成功させるための対策

インプラントは自分の歯に近い感覚でしっかりと噛むことができる優れた治療法です。しかし同時に失敗をすると、入れ歯やブリッジよりも深刻な影響が出てしまうことがあるのも事実です。では成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。次に治療で失敗しないための対策をご紹介しましょう。

治療の実績や経験が豊富な歯科医院を選ぶ

インプラントの成功は、歯科医院選びで全て決まります。ではどのような歯科医院を選べばよいのでしょうか。それは、治療実績が豊富な歯科医院であることを基準に選んでください。治療本数が多く、様々な症例を治療している歯科医院は、インプラントのエキスパートです。よく調べて、ここなら安心して治療が受けられると思えるような歯科医院を選ぶことが第一です。

CTなど設備が整っている歯科医院であること

治療には精密な診断が欠かせません。そのためにはCT撮影が不可欠です。歯科医院のホームページを見ると、設備が載っていますが、そこにCTが完備されているかどうかを確認しましょう。
最新機器が備えられていることで全てのリスクを回避できるわけではありませんが、万が一のことが起きた場合も対処ができるため、安全性が高い環境で治療することが望ましいでしょう。

オペ専用の部屋が完備されており、滅菌対策がきちんと行われていること

細菌感染はインプラント周囲炎の大敵です。クリーンな部屋で治療を受けることが、細菌感染対策となります。
また治療に使う器具がきちんと滅菌できていること、使い捨てのものは患者様ごとに新しいものに取り替えられているなど、衛生環境に力を入れている歯科医院であることも重要です。

予防治療やメンテナンスに力を入れていること

治療の成功は、定期的なメンテナンスが大きく関わります。定期的なメンテナンスをきちんと案内し、予防治療に力を入れている歯科医院であることは、患者様のお口の健康を考えている歯科医院です。治療後はもちろん、いつまでもご自身の歯で食事を楽しんでいただくために、メンテナンスに力を入れているかどうかも大きな判断基準と言えます。

治療のリスクをしっかりと理解し、安心して治療を受けることができる歯科医院を選ぶこと

インプラントは機能性、審美性、そして他の歯の健康維持に優れた治療法です。しかし一歩間違えると大変なことになってしまう治療法でもあるため、まずはインプラントの持つリスクをきちんと理解しておきましょう。
そして治療を成功させるためには歯科医院選びが最も重要です。ご自身が納得の行く治療を受けるためにも、インプラント治療成功の対策として、まずは実績が豊富な歯科医院を選ぶようにして下さい。