基礎知識

インプラントの寿命は治療後の「メンテナンス」が重要ポイント!

19.07.17

失ってしまった歯を修復する治療法の中で、機能性・審美性・耐久性と優れているインプラント治療。生涯お使いいただける装置ではありますが、人工物である以上使い方によっては装置の寿命は短くなります。患者様の治療期間や金額のご負担を考えても、生涯通じて長くお付き合いいただくためには治療後の「メンテナンス」がとても重要です。

なぜ、メンテナンスが必要なのか

インプラントが他の修復方法に比べて一番のメリットは、「天然歯と変わらない機能を取り戻せること」です。入れ歯やブリッジは、どうしても周辺の健康な歯に負担をかけてしまいますが、インプラントは人工歯根を埋入して顎の骨や周辺組織と結合させ人工歯を支えるため、自然な噛み心地を取り戻すことができます。この機能を損なわないようにするため、定期的なメンテナンスをおこない、不具合が起こっていないか早期発見・早期修復をすることが必要なのです。

インプラント周囲炎を予防するため

インプラント自体は人工物ですが、メンテナンスを怠り口腔環境が悪いと、支える顎の骨や周辺組織は歯周病と同様に歯ぐきの腫れや出血を起こすようになります。これを「インプラント周囲炎」といい、悪化すると顎の骨を破壊してインプラントを支えられなくなり脱落してしまうこともあるのです。日々のセルフメンテナンスも大切ですが、歯科医院の定期検診で、口腔内環境もチェックを受けましょう。また、最大のセルフケアである「歯みがき」が正しく出来ているかもチェックしてもらえます。日常的なセルフメンテナンスは、慣れてくるとおろそかになる方もいます。セルフメンテナンスの管理も、歯科医院に定期的に通うことで良い状態を継続するためのモチベーションアップにつながります。

インプラント自体に不具合が起きていないかチェックするため

インプラントの人工歯根に使われるインプラント体の素材は、生体親和性の高い「チタン」が使われることが多く、よほどのことが無い限り結合しないということはありません。
しかし、中には何らかの要因によって無理な力がかかることでインプラントの不具合を起こすことがあります。
初期に発見されれば対処できることもありますが、自身で初期症状に気付くのはなかなか難しいものです。細かな噛み合わせのズレや装置の破損、ぐらつきなどは歯科医院の定期検診で発見されることがあります。

歯科医院でおこなわれるメンテナンス

では実際に、施術後のインプラントはどのようなメンテナンスが必要なのか。歯科医院で受けるメンテナンス内容をご紹介します。

定期検診で歯科医師によるチェック

埋入したインプラントの噛み合わせの高さは正常か、ぐらつきはないか、虫歯や歯周病は起こっていないかなど、口腔内をトータル的に観察します。必要であればレントゲンやCT画像撮影をおこない、埋入して見えない部分のインプラント体や顎の骨、周辺組織に異常はないかチェックをおこないます。

歯のクリーニング(PMTC)

定期的なメンテナンスでは、インプラント周辺は勿論お口全体の口腔内環境を整えるためにも、歯全体のクリーニングをおこなっています。どうしても歯ブラシでは落しきれない、歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去したり、人工歯に付きやすい着色汚れなどを磨いたりする処置を、専用の器械や器具を用いておこないます。これにより口腔内環境の度合いや、歯ぐきの状態なども解りますし、インプラント周囲炎の予防や早期改善にもつながります。

歯科衛生士による歯磨き指導(TBI)

定期的なメンテナンスでは、インプラント周辺は勿論お口全体の口腔内環境を整えるためにも、歯全体のクリーニングをおこなっています。どうしても歯ブラシでは落しきれない、歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去したり、人工歯に付きやすい着色汚れなどを磨いたりする処置を、専用の器械や器具を用いておこないます。これにより口腔内環境の度合いや、歯ぐきの状態なども解りますし、インプラント周囲炎の予防や早期改善にもつながります。

自宅でおこなうセルフメンテナンス

日々のセルフメンテナンス。インプラントの寿命はこれに尽きると思います。そもそも歯を失った原因が「歯周病の悪化」であった方は要注意!せっかく治療しても、メンテナンスを怠りインプラント周囲炎を起こしてしまうと、インプラントも失うことになりかねないのです。インプラントは「入れたら終わり」ではなく、末永く使えるように大切にメンテナンスしてあげましょう。

毎日の歯磨きを丁寧に!

歯科衛生士に教わったポイントを思い出しながら、効率の良い歯磨きを日々おこないましょう。特に人工歯とインプラント体の境目に汚れが残りやすいので、歯のくびれあたりを狙うことを意識すると効果的です。歯ブラシは通常の歯ブラシに加えて、細かい部分を磨きやすい「ワンタフトブラシ」や、歯と歯の間のすき間にデンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシなどの清掃補助具をうまく活用してくださいね。補助具の選び方に関しては、歯や隙間の大きさによって違いますので、歯科衛生士にご相談ください。間違ったサイズを使っていると、歯茎を傷つけたり、隙間を広げてしまうなど不具合の原因になってしまいます。

口腔内環境を整えるグッズを使ってみる

インプラント周囲炎対策として、口腔内常在菌を増やさないために「歯磨き剤」、「マウスウォッシュ」、「舌ブラシ」などを活用することも効果的です。
抗菌作用や歯周病の原因菌対策につながりますが、用法・容量などを守って使うようにしましょう。とはいえ、あくまでも「補助」の役割ですので、これらで歯垢や歯石は落ちません。まずは歯磨きで歯を清潔にすることを心掛けてくださいね。

まとめ


インプラントの寿命を長く保つためには、メンテナンスが欠かせないということ、胃解りいただけたでしょうか。それには日々のセルフメンテナンスをしっかりおこなうことは勿論ですが、定期的に歯科医院で「プロの目」でのチェックとケアも欠かせない要素で、どちらもおろそかにできません。
生涯美味しい食事ができ、若々しく美しい口元を保つためにも、インプラント治療後のメンテナンスはぜひ継続していただきたいと思います。