基礎知識

入れ歯とは一味違う?インプラントの噛み心地と比較しよう!

20.01.14

「入れ歯の噛み心地と、インプラントの噛み心地はどう違うの?」と、患者さまよりご質問を頂くことがあります。インプラント治療をお考えの患者さまにとって、入れ歯の噛み心地とインプラントの噛み心地の違いは重要なものとなり、インプラント治療へと踏み出すきっかけにもなりえる重要なポイントとなります。そこで今回は、インプラントと入れ歯の噛み心地の違いなどについて、詳しくご紹介して参りましょう。

インプラントと入れ歯の違いは?

まずは入れ歯とインプラントはどのような違いがあるのか、おさらいしましょう。
入れ歯は歯を失った際の治療の選択肢として一般的であり、多くの人が活用する人工臓器の1つであります。人間にとって歯は食べ物を噛んで咀嚼し、口から栄養を摂取する上で欠かせないものであり、入れ歯は歯を失った機能を補う役割を果たします。
インプラントは外科手術を必要としますが、入れ歯の場合は残っている天然歯にクラスプと呼ばれる金属の引っ掛けで固定する部分入れ歯と、歯を全て失った場合には、歯肉(粘膜)だけで固定する総入れ歯があり、保険診療適応となるために患者さまの負担は少ないとされています。
入れ歯は取り外しができるため、普段の歯磨きと同時に入れ歯のお手入れが必要となります。

入れ歯の特徴

・取り外しが可能

・日々のお手入れが必要不可欠

・比較的修理が容易

・健康保険適応となるため治療費は安価になる

一方、インプラント治療では、歯を支える歯槽骨にインプラントを直接埋め込むための外科手術が必要となり、心臓病、血液疾患、糖尿病などの持病を持っている場合には行えないケースもあり、誰でも簡単に治療が受けられるものではありません。また、健康保険も適応されず全額自己負担となることからも、治療費は高価になる傾向となります。

インプラント最大の特徴は、顎の骨にインプラントを埋め込むために、自分の歯のように人工歯を活用することができることです。入れ歯のように歯磨きの他にお手入れが必要であったり、当然外れたりする心配はなく、毎日の歯磨きと同様に自身の歯と同じケアを行うだけで問題ありません。

しかし、インプラントは一生ものではなく寿命があるために、末永くインプラントを維持するためには定期的なメインテナンスが必要となります。

インプラントの特徴

・外科手術が必要

・持病がある場合には受けられないケースもある

・定期的なメインテナンスが必要

・全額自己負担となるため治療費が高価になる

噛み心地の違いは?

入れ歯とインプラントの基本的な違いを確認した上で、噛み心地の違いを確認していきましょう。まず、前述でもご紹介した通り入れ歯は総入れ歯と部分入れ歯の2種類のタイプに分類されます。

総入れ歯は顎堤とよばれる歯を失った歯肉(粘膜)のみで総入れ歯を支えるために、噛む力は天然歯の半分にも及ばないとも言われており、噛み心地も天然歯と比べると心地が良いとは言い切れない部分もあり、必ずしも否定することはできません。

部分入れ歯の場合には、失った歯の数や部位によってもその噛み心地は異なっていき、総入れ歯と比べると天然歯にクラスプで固定している分、噛み心地は比較的良いとされていますが、天然歯と比べると、その噛み心地は天然歯に及ばないとされています。

一方インプラントは歯を支える役割のある歯槽骨に直接埋め込み、骨とインプラントを結合させて維持するために、天然歯と同じような食生活を送れるとされており、その噛み心地も天然歯に引けを取らないと考えられています。

しかし、インプラントの場合には外部衝撃から守るクッション的な役割を果たす歯根膜が存在しないために、あまり強い力が加わると、周囲の歯や組織にダメージを与えかねないために注意が必要となります。

※歯根膜は天然の歯に付着するように存在する薄い膜であるために、天然歯を消失すると歯根膜も同時に失うことになります。

インプラントはなんでも噛める?

インプラントは部分入れ歯、総入れ歯と比較すると噛み心地は優れているとされていますが、硬い食べ物、粘着質な食べ物、柔らかい食べ物など、種類を問わず心地よく噛むことはできるのでしょうか。インプラントと入れ歯を比較してご紹介しましょう。

入れ歯で食べるのを避けたいもの

硬い食べ物・・・氷・飴・おせんべいなど極端に硬い食べ物は、入れ歯の破損の恐れもあるために、なるべく避けることがマストと考えられています。

熱い食べ物・・・保険診療で作製する入れ歯は歯科用プラスチック製であるために、食べ物の温度を感じにくい傾向にあります。火傷をしないためにも、入れ歯に慣れるまでは、熱いスープやコーヒーなどの飲み物などは避けると良いでしょう。

食べ辛い食べ物・・・ステーキやナッツ類は意外に食べ辛く、入れ歯に慣れるまで避けたいと考える人も多く見受けられます。

インプラントで食べるのを避けたいもの

硬い食べ物・・・氷や飴、おせんべい類などの極端に硬い食べ物は、インプラントであっても上層構造である補綴物などに負担が掛かり破損の恐れも否定できないため、なるべく避けるべきと考えられています。

天然歯とは異なり入れ歯やインプラントは人工歯であるために、その噛み心地は入れ歯・インプラント共に状況に応じて様々であります。入れ歯はインプラントに比べると若干噛み心地が劣る傾向にあるとされていますが、それぞれの特徴を理解した上で、治療を受けることが重要となります。

まとめ

以上、今回はインプラントの噛み心地、入れ歯の噛み心地について詳しくご紹介して参りました。人間誰しもが「美味しく食事を楽しみたい」「味わいたい」と考えるように、食べ物を口から摂取することが当たり前と認識されていますが、自身の歯を失った場合には、入れ歯やインプラントなどの補綴物で機能を補う必要があります。

噛み心地は、治療方法を選択する上で考慮するポイントでもあり、重要となります。インプラント治療をお考えの際には、お気軽にご相談ください。