インプラントコラム
COLUMN
「リーズナブルなインプラント」に潜むリスクについて
20.03.04
インプラント治療は保険適用外のため、どうしても高額な治療費が必要になります。その
ため少しでも費用を安く抑えたいと考える中、「リーズナブル」「激安」などという文字
につい目が行ってしまうのではないでしょうか。しかしリーズナブルという文字の裏には
、色々なリスクが隠れているのです。
他院との比較が難しいインプラントの費用
インプラントは保険が効く入れ歯やブリッジと異なり、より高い機能と審美性を追求した
治療のため、保険適用外となります。つまり保険で決まった点数で治療費が決まるのでは
なく、歯科医院側が自由に価格を設定できる自由診療であることから、費用も歯科医院に
より違います。相場はある程度決まっていますが、それでも価格の差が大きく、比較が難
しいと思います。
また症例や本数により費用も異なります。一本の歯を失った場合と、3本あるいは全て歯
を失った場合など、失った歯の本数と、症状に応じたインプラント本数により、価格は大
きく異なり、当然インプラント本数が増えるほど、費用も高くなります。
インプラント治療を選択される方が増えていることに比例するように、インプラント治療
の技術も向上しています。インプラント治療も日進月歩、常に新しい素材や最新技術が取
り入れられており、患者様のあらゆるニーズに応えられる歯科医院が非常に多く見られま
す。
しかし、患者様の頭を悩ませるのは、やはり費用でしょう。どんなに最新技術を提供して
も、おもてなしのような接遇を行っても、患者様の考えはシビアです。「いくらでもお金
を出すから最新治療をしてほしい」よりも、「やっぱり少しでも安いほうが・・・」と言
う考えは、決して間違いではありません。
そんな中「リーズナブルな価格でインプラントを行います」「激安インプラント!他院と
是非比較してみてください」という文面が目の中に入ってきたら、患者様はついそちらへ
心を奪われるのではないでしょうか。確かに同じインプラント治療を受けるなら、少しで
も安いところで行いたいのもわかります。
しかし、この文面の裏側には色々なリスクが潜んでいるのです。
リーズナブルなインプラントに潜むリスクとは?
では高額な費用が必要とされるインプラントにおいて、安い価格が魅力と思われるリーズ
ナブルなインプラントには、どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。
①素材そのものに問題がある場合
まず心配されるのは、インプラント体の素材です。インプラント体の素材のほとんどは、
純チタンまたはチタン合金です。最近ではジルコニアを使ったジルコニアインプラントも
普及しており、いずれも体に害のない、安心な素材です。チタンは人工関節にも使われて
おり、アレルギーを引き起こしにくい素材です。ジルコニアも、金属アレルギーを引き起
こす可能性がほとんどない素材で、スイスなど海外ではチタンに次ぐ次世代インプラント
体として、注目を集めています。
また顎の骨との結合性に優れているのも、チタンやジルコニアの特徴です。しっかり結合
しないと、インプラントがグラグラするため、骨との結合性が良いことはインプラントに
おいて欠かすことができません。
インプラント治療は、顎の骨にインプラント体を埋め込んで人工歯根の役目を担うため、
安全性が何よりも重視されなければいけません。と言うのも、チタンやジルコニア以外の
素材が使われているインプラント体を使用すると、金属アレルギーを引き起こしたり、イ
ンプラント体と顎の骨の結合がうまくできずにインプラントがグラグラするなど、様々な
問題が起こる可能性があるからです。激安をうたったインプラント体は、チタン以外の不
純物が混ざっている可能性があり、インプラントの失敗やトラブルを招く原因となります
。
②価格設定に問題がある場合
リーズナブルな価格を売りにしている場合、まず気を付けたいことは「価格に何が含まれ
ているか」です。安い価格はインプラント手術における全ての項目が含まれているのか、
それともインプラント本体価格なのか。ここで大きく差が出てきます。
インプラント治療に必要な費用は、インプラント本体だけではありません。レントゲンや
CT撮影など各種検査代、手術代、インプラントの上に被せる上部構造代、静脈内鎮静法な
ど特殊な麻酔の費用など、インプラント一本の手術には色々な費用が必要となります。あ
まりにも安い費用を提示された場合、こういった各種費用が含まれていない可能性があり
ます。
最初にインプラント代だけを格安で提示し、いざ手術直前になってから色々な費用が必要
であると言う歯科医院は、実は少なくありません。気が付けば、一本10万もしないインプ
ラント代金が最終的には相場を大きく超えるケースもなくはないのです。
また歯周病などで顎の骨が薄くなった場合、サイナスリフトやGBRなど骨造成の治療が必
要になることもあります。しかしインプラント治療代には含まれておらず、別途費用が必
要になります。
このような治療が必要になった際、きちんと費用に入っているかどうか、安い価格だけで
済まないというリスクが含まれているのです。
大切なことは、「適正価格範囲内かどうか」の見極め
自費治療は高額になることが、大きなデメリットです。それでも自費治療を選択するとい
うことは、保険治療にはないメリットを得るからです。特にインプラント治療はホワイト
ニングなどと違って「噛む機能を回復させる」ことがメインであり、日常生活における不
便さを取り戻すことが目的です。
そのためにはインプラント治療が高額になるのも当然です。しかしやはり少しでも価格は
抑えたいものというお考えもとてもわかります。そのため「リーズナブル」「格安」とい
った文字に惹かれるのも無理はありません。
しかし、インプラント治療には相場があり、その範囲内での安い、高いというところで判
断しなければいけません。インプラント治療の成功の秘訣は、歯科医院選びです。高度な
技術、最新の設備、丁寧なカウンセリング、インプラントのメリットデメリットの説明な
ど、基本的な部分がきちんと行われているかどうか、そして費用に関しては、提示された
料金に何が含まれているかをきちんと把握しておかなければいけません。
また費用で疑問に思ったことは、臆せずに質問をする心構えも大切です。
このように、リーズナブルなインプラント治療にはリスクが潜む場合があります。高額な
費用が必要なインプラント治療で失敗しないためにも、うたい文句だけで判断しないよう
、慎重に歯科医院を選ぶようにして下さい。