基礎知識

インプラント手術を受けていただく前の体調管理について

20.03.29

インプラント治療は手術を伴うため、体調を整えておくことが大切です。インプラント治
療を安全に受けていただくためにも、今回は体調管理を中心とした、インプラント手術前
に気を付けておくべきことについてお話をいたします。

緊張感に包まれるインプラント手術

インプラント治療の歯科医院の選び方

歯科治療において、緊張感を伴う場面と言えば、まず抜歯でしょう。歯を抜くことに緊張
感や恐怖を覚える方はとても多く、緊張感から解放された後は、どっと疲れが出ると思い
ます。
さらにインプラント手術となると、より緊張感が増すものと想像がつきます。「手術」と
いう文字は、抜歯以上に怖い印象を与えると思いますが、インプラント手術で大切なこと
のひとつに、安全管理があります。安全管理とは、トラブルがなく手術を終えることです。
安全なインプラント手術は、歯科医院側が提供する技術はもちろんですが、患者様ご自身
の体調管理によるところも関係しているのです。

例えば疲れがたまって体調が優れない、睡眠不足で頭が痛いなどといった状態で麻酔をす
ると、体調によっては気分が悪くなり、ふらつきや頭痛、吐き気や嘔吐を引き起こすこと
があります。これは抜歯でも同じですが、麻酔によって気分が悪くなると、インプラント
手術ができません。さらに嘔吐などが起きると歯科治療の範囲外になり、すぐに医療機関
へ行っていただくか、救急搬送となる可能性も否定できません。
また風邪をひいて熱が出てしまった場合も、インプラント手術は難しくなります。熱がな
く、少々の咳や鼻水程度なら大丈夫ですが、手術の最中は口を開けなければいけないため
、咳込むようなタイプの風邪は辛い思いをするかもしれません。
このように、安全なインプラント手術は技術を提供する側だけでなく、患者様ご本人の体
調管理にも関わります。インプラント手術前は体調管理が非常に大切です。風邪やインフ
ルエンザ、胃腸炎などが流行っているシーズンではこういった感染症にならないよう、手
洗いやうがいをこまめに行って予防をするなど、ご自身での体調管理の意識を高めておく
ことが重要です。
手術前に体調を崩さないよう、規則正しい生活を送ることが大切です。

インプラント前日は、緊張せずに過ごすことも大切です

「手術」と聞くと、やはり緊張感は拭えないものです。日が近づくにつれ、不安と緊張が
増していくものです。特に前日になると落ち着かず、ついソワソワしたり、緊張で眠れな
いという声もよく聞こえます。まずは平常心で過ごすように心がけましょう。
前の日は早めに寝て、睡眠不足にならないようにして下さい。お仕事などで疲れがたまっ
ている方も、前日はできるだけ早く寝ることを心がけましょう。

もしインプラント手術の何日か前に風邪をひいて薬を飲んでいる、というようなことがあ
れば、インプラント手術までに歯科医院へ相談して下さい。

インプラント手術当日の流れ

即日できる治療法

ではインプラント手術当日の流れを簡単にご説明しましょう。お食事は普段通り召し上が
っていただいても大丈夫ですが、あまり直前だと緊張感と麻酔で気分が悪くなることがあ
ります。少し早めに食事を済ませてから来院してください。

①手術部位に麻酔の注射をする。患者様の全身状態によっては、静脈内鎮静法や笑気麻酔
を行うことがあります。
②麻酔が十分に効いていることを確認後、歯ぐきを切開する。フラップレス術式の場合、
歯ぐきの切開は行われません。
③顎の骨にドリルを使って穴を開け、インプラント体を埋め込む。
④インプラントが正確な位置に埋め込まれたことを確認し、歯ぐきを縫合して手術を終え
ます。一回法の場合は縫合が省略されます。またインプラントの本数が多い場合やオール
オン4などは仮歯の作製と装着が必要となります。ここから数か月間、インプラント体と
顎の骨の結合期間に入ります。

インプラント手術後の注意点

インプラント手術を無事に終え、一気に緊張感から解放されることと思います。ここで、
術後の注意点についても簡単に触れておきましょう。
通常の抜歯と過ごし方はほとんど変わりません。手術した部位を指や舌で触ると、歯ぐき
の治りが悪くなることがあるため触らないようにしましょう。
また手術当日は熱いお風呂や飲酒、激しい運動は避けて下さい。傷口からの出血が止まり
にくくなる恐れがあります。手術後は安静に過ごし、シャワーでさっと済ますようにして
下さい。
なおタバコは厳禁です。インプラント手術前後は禁煙し、できればインプラント手術を機
に禁煙に励むことをお勧めします。
麻酔の効果が切れたあと、痛みがあるかもしれません。痛み止めを飲んで対処してくださ
い。術後の腫れや痛みはだんだん良くなっていきますが、数日経っても痛みが引かず、逆
に痛みがどんどん強くなる場合や、顔が腫れるほどひどい腫れが生じた場合は、すぐに手
術を行った歯科医院を受診して下さい。

実は抜歯よりもインプラント手術の方が楽・・・!?

「抜歯」と「手術」という言葉を並べると、「手術」という言葉のほうが重く感じてしま
います。しかし、抜歯よりもインプラント一次手術のほうが楽だった、という意外な声が
多いのをご存じでしょうか。
インプラントは手術と言え、決まった位置にインプラントを埋め込むためそれほど大変で
はないのです。反対に抜歯は、生えているところから無理に引き抜くので、場合によって
はとても大変な治療となります。例えば根っこだけになった歯を抜く場合、虫歯で歯がポ
ロポロ崩れて時間がかかる、根が曲がっていてなかなか抜けない、親知らず全て抜く
・・・このように、抜歯の方がはるかに時間がかかり、負担が大きくなるケースもあるの
です。
またインプラント手術を受ける方は、既に抜歯を行っているため、術後にインプラントの
ほうがずっと楽だった、と感じるのでしょう。
手術という重みがある分、インプラントは大変に思えるかもしれませんが、緊張せずに体
調管理を行い、安心して手術に臨んでください。

体調管理をしっかりと行って、安心してインプラント手術に臨みましょう

インプラント手術は特別なように思えますが、体調管理をしっかりと行っておけばそれほ
ど怖いものではありません。また不安を抱えたまま手術を受けると気分が悪くなることが
あります。できるだけリラックスしておくこと、また手術に関して不安点があれば、事前
にスタッフに相談しましょう。どんな小さな些細な事でも、不安があると安心して手術に
臨めません。どんなことでも恥ずかしがらずに相談し、安心してインプラント手術に臨ん
でください。