インプラントコラム
COLUMN
インプラントの長所と短所を把握してから治療を受けよう!
20.05.11
インプラントと言えば、自身の歯のように食べ物を食べられる画期的な治療法として
、近年では広くしられています。しかし、インプラントに限らず、どの治療においても長
所だけではなく、短所があるため、治療を受ける前に長所と合わせて短所も十分に理解す
ることが重要です。そこで今回は、インプラントの長所と短所についてご紹介しましょう。
インプラントの基本知識
インプラントは、入れ歯やブリッジと並ぶ虫歯などで失った歯の機能を補う治療法の
一つとして、近年注目されている治療の1つです。入れ歯は着脱式、ブリッジは両隣の歯
を土台にした補綴物であり、インプラントは顎の骨である歯槽骨に直接埋め込み、インプ
ラントと歯槽骨を結合させてお口の中で維持させる治療法です。
インプラントの長所
まずは、インプラントの長所を確認していきましょう。
▼他の歯を削る必要がない
ブリッジは両隣の歯を削って土台にし、橋を架けるようにして人工歯を維持しますが、健
康な歯を削る必要性があります。一方、インプラントは健康な歯を削る必要性がなく、他
の歯などに負担を掛けることなく、1本からインプラントを歯槽骨に埋め込めることがで
きます。
▼入れ歯やブリッジより咀嚼力に優れている
インプラントは、従来の治療法である入れ歯やブリッジに比べると咀嚼力に勝り、天然歯
の咀嚼力を100%とすると、入れ歯は約30%、ブリッジは約60%、インプラントは70~85%
であると言われています。
天然歯の咀嚼力には劣ってしまいますが、インプラントは補綴物の中では、最も咀嚼力に
長けており、食事や会話などを気兼ねなく楽しむことが可能となります。
▼外れる心配がない
部分入れ歯や総入れ歯などは、お口の中に維持するために、既存の歯にクラスプを引っ掛
ける、または粘膜に吸着させていますが、ふとした瞬間に入れ歯が外れてしまうケースも
あり、外れてしまうことを恐れ、心から食事や会話を楽しめない人も少なくありません。
一方、インプラントは入れ歯とは異なり、歯槽骨とインプラントが強固に結合されるため、会話や食事中に外れる心配をする必要がありません。
▼歯槽骨の吸収を防げる
歯を支える役割を担う歯槽骨でありますが、支える歯を失ってしまうと、外部から刺激を
受けることができなくなり、歯槽骨が吸収される恐れがあります。
外部からの刺激を受けられなくなった歯槽骨はだんだんと痩せていき、いざインプラント
を埋入したいと考えたときには、歯槽骨にインプラントを埋め込めるだけの骨量を確保で
きず、インプラント治療を受けられない、あるいは骨造成の治療が必要となります。
一方、歯を失ってから適切な時期にインプラントを歯槽骨に埋入した場合には、インプラ
ントから伝わる刺激に触発され、歯槽骨が吸収されるのを抑制します。
その他にも歯槽骨が吸収されてしまうと、顔の輪郭が変化してシワの原因にもなりかねな
いため、アンチエイジングの観点からも歯槽骨の吸収は避けることが賢明だと考えられて
います。
▼審美性に優れている
部分入れ歯の場合は、残存歯にクラスプと呼ばれる金属の引っ掛けをかけて、お口の中で
維持させるため、場合によっては口元からクラスプが見えてしまうこともあり、審美性に
欠けてしまう恐れもあり、人によってはコンプレックスの原因となってしまうケースもあ
ります。
一方インプラントは、人工歯根であるインプラントを直接歯槽骨に埋め込み、その上から
天然歯と見分けのつかないほどに審美性に優れた人工歯(補綴物)を装着するため、人の
目を気にする必要がありません。
インプラントの短所
長所の次は、短所も把握していきましょう。
▼費用がかかる
インプラントは失った機能を補うための治療法の1つでありますが、先天性的に1/3以上歯
がない場合や事故などで歯を失った場合には、保険診療の対象外となりますが、虫歯や歯
周病で歯を失った場合には、保険診療は適応されず、自費診療となります。
自費診療の場合は、歯科医院ごとに必要となる費用が異なるために、どのくらいの費用が
かかるのか、確認しましょう。
▼外科手術が必要
インプラントは入れ歯やブリッジと異なり、専用ドリルで歯槽骨に穴を開けて、インプラ
ントを直接埋め込む外科手術が必要となるため、リスクをともないます。麻酔はもちろん
のこと、血の流れを促す薬を服用している場合には、注意が必要です。
▼治療期間が長期
インプラントは入れ歯やブリッジに比べると治療期間は長期的であり、お口の中の状況に
応じて治療時間は異なります。一般的にインプラントと歯槽骨が結合するまでには数カ月
の期間を要し、上層構造部である人工歯(補綴物)の装着を含めると、4ヶ月~6ヶ月の治
療期間が必要とされています。
▼術後に傷口が痛む・腫れる
インプラント治療では、歯肉を切開し、歯槽骨に穴を開ける処置が必要となるため、術後
に傷口が痛む・腫れる場合があります。少量の出血をともなうケースも多くありますが、
それらの症状は2、3日をピークにだんだんと治まっていきます。
▼術前・術後には注意が必要
インプラント手術前にはしっかりと睡眠をとり、来院する時には車の運転は避けましょう
また術後のお酒や喫煙、激しい運動、入浴(シャワー可)は傷口の治りを妨げる原因と
なりかねないため2~3日は控えるなど、生活に制限があります。
▼術後のメインテナンス
インプラント周囲の歯肉が歯周炎になってしまうと、通常の歯肉炎よりも数倍の速さで周
囲の組織が溶かされインプラントが脱落してしまう恐れがあります。このようにインプラ
ント周囲に生じる歯周炎を『インプラント周囲炎』と呼び、定期的に歯科医院で受けるメ
インテナンスをおこない、インプラント周囲炎を未然に防ぐことが大切です。
まとめ
インプラントには長所はもちろんのこと短所があり、短所を確認しないまま、治療を
受けてしまった場合には、「こんなはずじゃなかった」「想像と違う」と困惑してしまう
恐れもあるため、インプラント治療を受ける前には必ず長所とあわせて、短所も確認しま
しょう。インプラント治療をお考えの際には、必ず短所も把握することが治療への第一歩
となります。