基礎知識

インプラント治療の疑問 仕事はすぐにできる?できない?

20.10.25

インプラントは土台として人工歯根を埋め込むための外科手術をおこなう必要があります。
また、1度の治療では終わらず、治療完了までに数工程か必要なため、お仕事に支障が出ないか不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回、インプラントの術後の仕事についてご紹介します。お仕事の再開をどうしようとお悩みの方はぜひ参考になさってください。

インプラント埋入手術後は仕事を休んだほうがいい?

インプラントは外科的な手術となります。虫歯の治療などとは違い、治療が終わってすぐ
日常活動ができるわけではありません。手術当日はもちろん、できれば次の日も安静にお
休みできるのであればしていただいたほうが、早期回復のためにはおすすめです。

インプラント埋入手術は時間がかかる処置です

インプラントの土台を埋入する手術は外科的な手術です。インプラントを埋入する部分の
歯茎を切開し、その下の顎の骨を削り、金属の人工歯根(インプラント体)を埋入します。
手術にかかる時間は約1~2時間と長い時間がかかります。埋め込む本数が多ければさらに
時間がかかり、患者さまは長時間仰向けで口を開けたままの体勢をとることになり、身体
的・精神的負担も他の治療よりもかかります。また、麻酔下で施術していますので、麻酔
が切れるまでは車の運転なども控えていただきたい事項です。そこで、当日は術後のお仕
事は休んでいただきたいと思います。

インプラント埋入手術後は腫れや痛みを伴うことがあります

インプラント治療は外科的手術ということで、術後はどうしても若干の出血が起こったり、
傷口が回復するための腫れや痛みが起こりがちです。これらは回復と共に徐々に終息します。
程度としては個人差がありますが、大抵2、3日で落ち着き始め、1週間程度で回復
します。術後麻酔が切れて痛い場合には、痛み止めを飲んで対処していただく程度の痛み
です。また出血や腫れに関しても、生活に支障をきたすような度合ではありません。ただ
し、術後すぐに激しい運動をしたり、熱いお風呂に入ったりすると症状が落ち着かなくな
ることもありますので、早く傷を治すためにも術後はできるだけ安静にされたほうが治り
を早めてくれます。

インプラント埋入手術は麻酔が必要です

インプラントの土台埋入手術は、歯茎を切開して顎の骨に埋入するための穴を開けるため
に専用の機械を用いて切削作業をおこないます。麻酔も虫歯の治療などで使用する麻酔よ
りも長時間効く麻酔を施します。全身麻酔をおこなう場合もありますので、切れてくるま
でに時間がかかり、術後しばらくは安静にしていただく必要があります。
車の運転が必要であったり、体力の必要なお仕事は術後すぐ戻ることは難しいと思われま
すので、前もってお休みを取っておかれることをおすすめします。

どんな仕事だったら術後でも可能?

一概に「術後でもできる仕事」という線引きはありません。インプラントは患者様ごとに
場所や本数、口腔内の環境も違います。これらによって手術にかかる時間や治療期間も違
います。そのため、術後すぐや次の日から仕事ができるかどうかは、仕事の内容や患者様
の回復状態によって違います。
当日はできるだけお休みいただき、翌日は激しい動きや口を使う作業があるお仕事でなけ
れば大丈夫だと思われます。また、簡単なデスクワークや自宅でのテレワーク程度でした
ら、体調に問題が無ければおこなっていただけるのではないでしょうか。

インプラント治療後に避けておいたほうがよいこと

仕事の他にも、インプラント術後に避けておいたほうがよいことがいくつかあります。傷
口の早期回復や予後が良好に進むよう、ぜひ気を付けていただければと思います。また、
術後の禁忌事項は歯科医院からもお知らせがあります。守っていないとインプラントがな
かなか安定せず不具合につながることもあるので注意しましょう。

喫煙は予後不良を招く恐れがあるのでNGです

インプラント術後も喫煙を継続している人は、非喫煙者よりもインプラントの失敗例が2
倍というデータもあるほどで、インプラント術後にもっとも避けていただきたい行為のひとつです。
喫煙するとニコチンの作用で骨とインプラントの土台が結合するのを阻害してしまうため、インプラントの土台が安定しません。そうなれば上部の人工歯を被せる次の工程に進めず、治療も長引いてしまいます。
また最悪の場合には、インプラントのぐらつきが止まらず、せっかく受けた手術の失敗を招くことにもなりかねません。

入浴や激しい運動は出血が止まりにくくなります

インプラントの土台を埋め込んだ日は、傷口から出血を伴います。
入浴や激しい運動をおこなうと血行が促進されて出血しやすくなり、傷口がなかなか塞がりません。
お風呂は熱い湯舟に浸かるのを控え、短時間のシャワー程度にしていただければと思います。
また、走り回るような激しい運動も同様です。その日は術後安静にお過ごしください。

飲酒は不具合に気づきにくくなります

飲酒も同様に、血行を促す作用があります。また、飲酒によって痛みに鈍感になってしまい、不用意に傷口を触ってしまったり、出血に気づかないなど、その日の予後に気づきにくくなってしまうことも考えられます。
術後の状況に敏感に気づけるよう、当日の飲酒は控えていただきたいと思います。

硬いものや刺激物を食べるのは控えておきましょう

術後の食事は普通通りできますが、術後すぐにあまり硬いものをインプラント側で噛んで
しまうと傷口に負担をかけてしまいます。また、出血を止めるためにできる血餅が剥がれ
てしまったりすることも考えられます。
そして辛い食べ物なども傷口に沁みたりする可能性もあります。
傷口が落ち着くまでは硬いものや刺激物は控えたり反対側で噛むなど、工夫して食事をす
るように心掛けてください。

まとめ


インプラントを埋め込む手術は大抵午前中から手術がおこなわれることが多いのですが
、「午後は仕事に戻れる」と考えるのではなく、仕事はお休みしてできるだけ安静に過ご
しましょう。無理をして負担をかけると、傷口の治り具合やインプラントの安定を阻害し
てしまいます。治療に際しお仕事をどう再開するかについては職種によっても異なると思
いますので、術後の注意点を受ける際に、ご心配な方はぜひ遠慮なくご相談ください。