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インプラントの寿命にも影響が?喫煙がインプラントにもたらすリスクとは

21.08.25

たばこに関しての健康被害は知られていますが、インプラント治療に関しても悪影響を及ぼす原因です。
インプラントは9割以上の方が10年以上使用できるというデータがあり、正しく使用すると長く使用できます。
ただ、メインテナンスや日ごろの生活習慣によっては良い状態で使用することが難しくなってしまいます。
そしてインプラントに悪影響を与える原因としてたばこがあります。
そこでインプラントの寿命にも関係がある喫煙がインプラントに与える影響についてご紹介します。

喫煙のインプラントのリスク

感染リスクが高くなる

たばこの中に含まれる成分のタールとニコチンは免疫力を大きく低下させます。
免疫機能に大きく関係する白血球はニコチンの影響で白血球の働きが低下することが分かっています。
白血球は異物が入った時に対抗する免疫の担当している細胞です。
その細胞の働きを低下させてしまうので、インプラントの外科手術を行った後にたばこによって免疫力が低下すると、細菌に対抗する働きが弱くなるので、感染リスクが高くなってしまいます。
また、免疫力が低下すると、インプラントと歯ぐきが定着しようとする時に骨と結合しにくくなることもあります。
免疫機能を低下させないためにもインプラント手術後はたばこを控えることが望ましいでしょう。

インプラントと骨が結合しにくくなる

たばこの煙の中にはニコチンが含まれていて、このニコチンが依存しやすい原因になるのですが、お口の中にも悪影響を及ぼしてしまいます。
ニコチンは血管を収縮させてしまうので、血管を細くする働きがあり血流が悪くなってしまうのです。
また、たばこに含まれる一酸化炭素はあごの骨や歯ぐきの歯周組織に酸素を行き渡らせなくなってしまい、インプラントと骨が結合しにくい状態になるのです。
歯ぐきに酸素が不足すると十分な栄養が届きにくくなるので、健康な状態を保つことが難しくなってしまいます。

唾液の分泌量の減少

たばこのニコチンによって血流が悪くなると、唾液の分泌量も減少してしまいます。
唾液にはお口の中の汚れを洗い流す働きがあるので、唾液が減るとその汚れを落とす作用が弱くなってしまい、汚れが残りやすい環境になります。
汚れは細菌が好む環境なので、汚れが着いたままになると細菌が増殖してしまい、歯ぐきが腫れたり歯周病になるリスクが高くなってしまいます。
インプラントは被せ物をしているので、虫歯になることはありませんが、汚れが着いたままになっていると歯周病と同じような症状の『インプラント周囲炎』を引き起こしてしまいます。
インプラントは天然歯に比べて、歯根膜というクッションの役割をした膜がないので細菌の影響をダイレクトに受けてしまい、インプラント周囲炎は進行が早いことが特徴です。
また、インプラント周囲炎は自覚症状が少なく、痛みなどもあまりないため、患者様自身で気づきにくいことがあります。
進行の早いインプラント周囲炎ですが、症状が進行してひどくなるとあごの骨が少なくなってしまい、インプラントの支えが足りなくなってグラグラしてくる場合や抜け落ちてしまうケースもあります。

口臭の原因になってしまう

たばこを吸っていると、歯や粘膜にたばこのヤニが付着しやすくなります。
ヤニの中にはタールという成分が含まれていて、腐ったようなにおいが発生する成分も含まれています。
この成分が歯や粘膜に付着してたばこ独特の口臭を発生させる原因になります。
粘膜の部分では、舌の表面には細かい突起があるのですがその部分にヤニが着いてにおいの原因になります。
また、舌には味覚を感じる部分があるのですが、ヤニがその働きが鈍くしてしまいます。
このため、禁煙をすると食事が美味しく感じるのです。
また、タールはベタベタしているので、汚れが着きやすく落ちにくいので、お口の中に残った汚れも口臭の原因になります。
先ほどお話した、たばこが原因の唾液の減少も関係して、汚れを落とす働きが悪くなって更にベタベタした成分に汚れが着くのでたばこによる悪循環が起きてしまうのです。
そして、口臭の原因として考えられるのは細菌の感染です。
たばこによって細菌が増殖しやすい環境になって、インプラント周囲炎になると歯周病菌が悪臭を持つガスを発生させて口臭の原因になります。

お口に対する悪影響

 歯ぐきの黒ずみ

たばこを長い間吸っていると色素沈着を起こして黒ずむことがあります。
原因としては、ニコチンで血流が悪くなってしまうことやメラニンが沈着することが考えられます。
メラニンは日焼けして肌が黒くなった時に紫外線から肌を守るために作られます。
この原理と同じように、タールやニコチンなどの有害物質から歯ぐきを守ろうとしてメラニンが生成して歯ぐきが黒ずんでしまうのです。
歯ぐきの色が黒っぽくなってしまうので見た目が気になる方が多いですし、色素沈着だけでなく、お口の環境を悪くしてインプラント周囲炎のリスクが高くなってしまいます。

 頑固な着色汚れ

たばこを日常的に吸っている方の特徴として、歯に着色汚れがびっしりと着いていることがあります。
これはタールがベタベタしていて、歯に付着してその上に着色が着いてしまうためです。
さらに、タールを含んだ着色には汚れも付きやすくその部分が歯石になることも多いのです。
歯石になると歯磨きでは落とすことができず、歯科医院での歯石除去が必要です。
歯石やべっとりした着色がついたままになっていると、その上に更に汚れが着きやすい悪循環を招いてしまうので、歯科医院のクリーニングでしっかり落としましょう。

たばこが原因で全身疾患のリスクが増える!?

たばこを吸うと全身疾患がある方にさまざまなリスクが増えてしまいます。
特に生活習慣病の『糖尿病』『心臓病』『脳梗塞』に悪影響があります。
心臓病に関してはたばこで血流が悪くなることで心臓に負担がかかってしまい心臓病のリスクを増やします。
また、脳梗塞も同様に脳の血流が悪くなると、血管が詰まりやすくなっている部分に血がたまりやすくなってしまい、脳梗塞のリスクが増えてしまいます。
糖尿病に関しては、血糖をコントロールするインスリンの働きを弱めてしまうので糖尿病で血糖のコントロールがしにくくなっている所にさらに悪化させる要因になってしまいます。
インプラントにとってたばこは骨の定着にも影響がありますし、リスクがたくさんあります。
インプラントの寿命を縮めてしまう原因にもなってしまうのです。
そのため、インプラントを良い状態で長く使い続けるためには禁煙をすることをおすすめします。