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あごの骨が減ってもインプラントできる?あごの骨を再生するGBR法とは

22.01.16

「あごの骨が少ないからインプラント治療が難しいと断られてしまった。」
そんな方でも骨の量を増やす治療をするとインプラント治療が可能な場合があります。
歯を失った時にしっかりかむことができて、見た目も自然なインプラント治療を希望される方が増えてきています。
ただ、インプラントはあごの骨を支えにするので、骨の量が少ないとインプラントトラブルにつながることがあります。
そんな時に骨の再生を促して骨の量を増やすGBR法があります。
そこで今回はGBR法がどのような治療なのか詳しく解説させていただきます。

骨が少ないとインプラントができない理由とは?

インプラントはあごの骨に「インプラント体」を埋め込んでその上に土台を立てて被せ物をする治療法です。
インプラントは歯の根の部分の役割をするので、あごの骨が十分にないとしっかり支えることができません。
ただ、歯周病は歯を失う原因の第1位ですが、歯周病が進行して歯を失った方はあごの骨が少なくなっている方が多いです。
骨が少ないままインプラント治療を行うと、インプラントが突き抜けてしまうリスクやインプラントがグラグラしてしっかりかめないということが考えられます。
そのため、骨が少ないままではインプラントのトラブルにつながるので、インプラント手術を行うことはできませんでした。
現在は骨を再生する「骨再生療法」を行うことでインプラント治療ができるようになってきました。

インプラント手術の時のあごの骨の大切さ

あごの骨は個人差がありますが、加齢や歯周病が進行すると少しずつ減ってしまいます。
そして、減少したあごの骨は自然に再生することはないので、あごの骨が減らないように対策をすることが大切です。
あごの骨は歯を支える重要な役割をしており、減ってしまうと歯の支えが不足してグラついてしっかりかむことができません。
同様にインプラントもあごの骨を支えにするので、しっかりと固定するためにはあごの骨に厚みと高さがあることが大切です。
長い期間インプラントを良い状態で保つために、しっかりとインプラントを支えることができるあごの骨が十分にあることがインプラント成功のカギを握っているのです。

GBR法とは?

GBR法とは、骨再生誘導法と呼ばれ、歯周病などで骨が減少して骨の幅や高さを増やしたい時に行う治療法です。
インプラント治療は骨の厚みや高さが必要なので、骨が少なくてインプラント治療が難しい時にGBR法を行います。
治療方法は、骨の吸収が進んで骨が少なくなっている部分に「骨充填剤」や細かく粉砕した「自家骨」を入れて、人工の膜(メンブレン)で覆います。
骨が少なくなった部分は骨ができる「骨芽細胞」より骨にならない「繊維芽細胞」が増えやすい特徴があります。
そこで、骨の形成を邪魔する繊維芽細胞を遮断するためにメンブレンで覆って、骨芽細胞が育って骨ができるようにします。
GBR法はインプラント手術と一緒に行う方法と、GBR法を行って骨が十分にできてからインプラント手術を行う方法があります。
インプラントと同時にGBR法ができるケースは骨を増やす量が少ない場合に行われます。

GBR法のメリットとは?

GBR法を行って骨の再生を促すことで、長い期間入れ歯を使用していて骨が減った方や重度の歯周病で骨が少なくなった方でもインプラント治療を行うことができるようになりました。
骨の量が不足すると、インプラントが安定しにくく、ぐらつきなどのトラブルにつながります。
しかし、骨の量を増やすことができると、理想的な位置にインプラントを埋入が可能なのでインプラントの安定性が向上します。

GBR法のデメリットとは?

インプラントとは別に手術が必要な場合には、骨が再生するまでの3~6カ月程度の期間を待つ必要があります。
また、自分のあごの骨を使用する場合には、骨を必要な分採取する手術を行う必要があります。

GBR法の流れ

STEP1 自家骨を採取します

自分のあごの骨を使用する場合には、あらかじめ骨を採取する手術を行います。そして、GBR法を行うために採取した骨を細かく砕いておきます。

STEP2 インプラントを埋入します

歯ぐきを切開してあごの骨にインプラントを埋入します。十分に骨の厚みや高さがある場合にはインプラントがきちんと隠れますが、GBR法が適応になる時には骨が少なくなっていることが多いので、インプラントを埋入しても一部が出ている状態になります。

STEP3 骨充填剤か自分の骨を入れて人工膜で覆います

骨が足りない部分に骨充填剤か砕いた自分のあごの骨を入れて人工膜で覆います。人工膜で覆うことで、骨の形成を邪魔する繊維芽細胞が入り込まないようにして骨の再生を促します。
人工膜には取り出すタイプと吸収されるタイプがあり、骨の再生量が少ないと吸収する人工膜で対応が可能です。
骨の再生量が多い場合には、非吸収性の人工膜を使用するのでインプラントが固定したあとに取り出す必要があります。

STEP4 歯ぐきの縫合

人工膜でしっかり覆って歯ぐきを縫合します。
骨の再生は個人差がありますが、半年~1年程度かかるので、インプラントが定着するまでの期間を待ちます。
インプラントの定着を待つ期間は、インプラントに強い力がかからないように手術部分を安静に保つ必要があります。

STEP5 被せ物の装着

インプラントの定着が確認できたら、被せ物を作製します。
歯ぐきを切開して、インプラントと被せ物をつなぐねじの部分のアバットメントを装着します。
非吸収性の人工膜の場合にはこの時に取り出します。歯ぐきが治癒したら、型取りをして被せ物を装着します。

まとめ

インプラントはあごの骨を支えにするので、骨の量が少ないとインプラントがぐらつくトラブルになることがあり、インプラントが出来ないことがありました。
ただ、GBR法という骨再生療法を行って骨を増やすことでインプラント治療ができる場合があります。
あごの骨が少なく、インプラント治療を諦めて入れ歯にしていた方でも骨再生療法を行うことでインプラント治療ができる可能性がありますので、お気軽にご相談ください。