インプラントに将来のリスクはあるの?インプラントのリスクを防ぐためには

22.09.30

インプラント手術を考えている方は、将来のリスクが気になる方もいるのではないでしょうか。

インプラントは、9割程度の方が10年経過しても使用できているデータがありますが、全くトラブルがないわけではありません。

お口の環境とケアによって、寿命が長くなることも逆に短くなってしまうこともあります。

 

そこで今回は、インプラントの将来のリスクとリスクを軽減するために行っていることについて詳しく解説いたします。

 

インプラント周囲炎の可能性

インプラントトラブルで一番多いのが、インプラントの周囲が細菌感染して炎症を引き起こす「インプラント周囲炎」です。

インプラント周囲炎の原因はお口の中に残った歯垢(プラーク)をエネルギーにして、歯周病菌が増殖して、毒素を出し、炎症を引き起こす病気です。

 

初期の段階ではほとんど自覚症状がありませんが、いつの間にか進行して、悪化すると顎の骨を溶かしてしまい、せっかく治療したインプラントがグラグラして抜け落ちてしまうことも。

インプラント周囲炎は歯周病に似ていますが、インプラント周囲炎の方が、進行が早いことが特徴です。

これは、インプラントと天然歯の構造に違いがあり、インプラントは天然歯にある「歯根膜」というクッションの役割をする膜がありません。

そのため、歯周病菌の細菌感染のダメージをダイレクトに受けてしまい、進行が早くなります。

 

そのため、インプラント周囲炎を予防するためには、毎日の正しいセルフケアと定期的なクリーニングが大切です。

毎日しっかり歯磨きをしていても、汚れが残ってしまうことが多いため、歯科医院で定期的なクリーニングをしてお口を清潔に保ちましょう。

定期検診の際には、クリーニングだけでなく、「インプラントの状態」「ほかの部分に不具合がないか」を確認することができるため、お口の健康を保つことにもつながります。

 

見た目の問題が起こる

インプラントを埋入した部分だけでなく、加齢や歯周病などが原因で少しずつ顎の骨が減ってしまうことがあります。

そうすると、歯ぐきも退縮してしまい、インプラントが長く見えたり、被せ物との境目が見えてしまったりすることがあります。

 

歯ぐきの退縮は「加齢」や「強い力で歯磨きをする」ことでも起こりますが、インプラント周囲炎や歯周病が原因のこともあります。

 

そうすると、インプラント周囲炎や歯周病は汚れが原因なので、きちんとケアすることが重要です。

インプラント周囲炎と同様に、毎日の正しいケアをして、定期検診をしっかり受けましょう。

強い力で磨きすぎていることもありますので、定期検診で歯磨きの仕方についても確認すると安心です。

 

インプラントと骨が上手く結合しない

骨粗鬆症や加齢が原因で、骨の密度が減少すると、インプラントと顎の骨は定着しにくくなります。また、インプラントを埋入する際の注水がうまくいかず、摩擦が強すぎて骨が火傷したようになる場合もうまく結合しません。

そのほかには、インプラント手術後に細菌感染をすると顎の骨とインプラントが結合しないことがあります。

 

骨の火傷は手術中の注水を十分行うことで防ぐことができるため、手術する歯科医師の技術力が求められます。

 

インプラントのリスクを上げる3つの原因とは

  • 喫煙

喫煙はインプラントのリスクを上げる原因になります。

たばこを吸うと、血管が収縮して血流が悪くなり、酸素や栄養分が減少します。

これらが減少すると、インプラントと結合しにくくなったり、インプラント手術後の傷の治りが悪くなったりすることがあります。

 

喫煙はインプラントだけでなく、全身の健康に悪影響を及ぼします。

インプラントを長持ちさせるためにも、禁煙することをおすすめしています。

 

  • 糖尿病

糖尿病によって血糖値が高くなると、免疫力が低下するため、傷の治りが悪くなります。

また、高血糖の状態では、免疫細胞の活動が低下してしまうため、細菌感染もしやすくなってしまいます

そのため、糖尿病で血糖のコントロールができていない重度の糖尿病の場合にはインプラント手術自体が難しい場合があります。

 

糖尿病の持病がある方は、あらかじめ歯科医院で相談しましょう。

 

  • 顎の骨の高さや厚みの不足

インプラントは顎の骨に埋め込んで歯の根の役割をするため、顎の骨が充分にないと支える部分が足りなくなってしまいます

顎の骨の高さや厚みが不足したまま、インプラント手術をすると、インプラントが上手く安定せずグラグラしたり、抜け落ちてしまったりする可能性もあります。

 

そうならないように、顎の骨の高さや厚みが足りない場合には、「骨再生療法」をしてからインプラント手術を行います。

 

 

インプラントリスクのために当院が行っていること

  • 歯科用CTで撮影をして立体的な診断

 

当院では歯科用CTを使い、平面的なレントゲン画像では確認しにくい「神経の位置」「血管の位置」も把握して治療計画を立てています。

また、骨の厚み・高さ・密度などを考慮して、理想的な位置・角度に埋入位置をデジタルでシュミュレーションすることで、インプラント手術時を精密に行うことができます。

 

  • インプラント手術前に口内環境を整える

インプラント手術の前に口内を清潔にし、虫歯や歯周病の治療を行っておくことに力を入れています。

特に、インプラント埋入後はお口の中を清潔に保つことが大切です。

歯科医院での定期的な検診も欠かせませんが、毎日のセルフケアで汚れを落とすことが重要になってきます。

当院では、インプラント手術してからだけでなく、インプラント手術前から毎日のセルフケアができるよう、ブラッシングやデンタルフロスの使い方をお伝えし、毎日のケアに役立てていただきます。

また、虫歯や歯周病の治療が終わっていないと細菌が増殖しやすく、インプラントにも悪影響があるため、インプラント手術前にお口の環境を整えることも大切にしています。

 

まとめ

インプラント治療後もリスクはありますが、できる限りリスクが低くなるよう、お口の中を清潔にして細菌感染を防ぎましょう。

当院でも、定期的な検診の際にお口の中に残った汚れを落として、口内環境を保てるようにサポートさせていただきます。

また、治療計画の時に歯科用CTを使用して精密な診断を行っております。

インプラント治療のリスク以外にも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。