基礎知識

インプラントに大切なかみ合わせとは?ずれないための対処法

22.10.24

インプラント治療をしてしっかり噛めるようになったら、できるだけよい状態で長持ちさせたいと思います。

インプラントが成功して長持ちさせるためには、かみ合わせが大切です。

これは、インプラントを埋入してからも重要ですが、インプラントを入れる前にかみ合わせを整えてから治療を開始することもインプラントの成功につながっているのです。

そこで今回はインプラントに大切なかみ合わせとずれないための対処法について詳しくご紹介します。

 

【インプラント前にかみ合わせを確認】

 

かみ合わせのずれはお口の中だけでなく、身体全体にさまざまな不調を招きます。

歯を1本失うだけでも、かみ合わせは少しずつずれて、正しいかみ合わせではなくなってしまいます。

そうすると、あごの位置までずれてしまうことも。

 

そのまま、ずれたことを考慮せずにインプラントを埋入すると、「噛む」ことはできるようになりますが、正しいかみ合わせにならず、さまざまな部分に悪影響を及ぼします。

 

あごが疲れる・あごが開きにくいなどの顎関節に関する症状や口周りの筋肉が緊張することで頭痛・肩こりなどの症状が出ることもあります。

 

【かみ合わせにずれがある場合は?】

 

かみ合わせにずれがあると、口周りに負担がかかり、顎関節や咀嚼筋などの筋肉、首の周辺の筋肉が緊張していることが多いです。

この症状を緩和するための治療として「ソフトスプリント」といわれるマウスピースを使用します。

 

ソフトスプリントとは、やわらかいマウスピースで上下の歯の間にワンクッションおいて、かみ合わせないことによって、負担がかかっている顎関節や口周りの筋肉などの緊張のリラクゼーションをはかるものです。

 

この方法と並行して、マッサージなどで緊張をほぐして、再度あごのかみ合わせを確認していきます。

かみ合わせが正しい位置にきてからインプラント治療スタートです。

 

【インプラント手術でずれると…?】

 

インプラント手術をしてせっかくかめるようになっても、インプラントの位置や方向が悪いとしっかり噛めないだけでなく、最悪の場合インプラントを撤去しなければならないことも。

正しい位置に埋入できないとグラグラする・根の部分が見えてくるなどの症状が出ます。

無理な位置に埋入されていると、あごの骨に負担がかかり炎症を引き起こします。

そうすると、インプラントは天然歯に比べて、「歯根膜」というクッションに役割をする部分がありません。

そのため、炎症のダメージを受けやすく、インプラント周囲炎になってしまいます。

 

インプラント周囲炎は進行すると、あごの骨が徐々に減ってしまい、インプラントを支えている部分がどんどん減少してしまいます。

そのままでは、インプラントでしっかり噛むことができないため、噛み合わせの調整を行いますが、それでも噛むことが難しい場合には、せっかく埋入したインプラントを撤去する必要があります。

 

【インプラントの撤去とは?】

 

1度入れたインプラントを撤去することは簡単なことではありません

グラグラ動いていたとしても、あごの骨と結合している部分もあります。

その部分にできるだけ負担をかけないように、あごの骨を削って少しずつインプラントを取り出します。

また、再度インプラントを埋入する際には、あごの骨を増やす骨造成の手術を行って、骨が再生してから再インプラントをすることもあります。

ただし、インプラントを埋入するよりも再手術が負担は大きく、インプラントの定着率も下がってしまいます。

 

できるだけこのような状況にならないために「インプラント手術前の精密検査と治療シュミュレーション」が重要になります。

治療計画では、歯科用CTで撮影した立体的なデータをもとにして、コンピューター上で最適なインプラントの埋入位置や角度を決定していきます。

 

この時、位置や角度が決定したら、「サージカルガイド」を作り、インプラント位置と角度を正確に行うことができるようにします。

 

【サージカルガイドとは?】

 

インプラントは位置と角度が大切です。

そのため、手術前にシュミュレーションした治療計画通りにインプラントを埋入することがインプラント成功のカギになります。

 

インプラントの位置と角度をより的確に埋入するためには「サージカルガイド」が重要な役割をしてくれます。

サージカルガイドはシュミュレーションを元にインプラントのドリルをする位置をガイドするマウスピースの形の装置です。

この装置を使用すると、

・歯ぐきの切開を最小限に抑えることができる

・インプラント手術時間を短縮できる

・フリーハンドで行うより精度が高く、インプラントの角度や位置に埋入することが可能

になります。

 

サージカルガイドを利用することで、インプラントの失敗を大幅に減らすことができます。

インプラントを長持ちさせるために位置や角度も研究されています。

当院では患者さまにより長い期間インプラントを使用していただけるように、治療計画で角度や位置を決定しています。

 

【大切な治療計画】

 

インプラントを理想的な位置や角度に埋入するためには、手術前の治療計画が大切です。

そのために、歯型の型取り・レントゲン撮影・CT撮影・口腔内写真・デジタルによるシミュレーションを行います。治療計画の内容はインプラント手術を行う前に患者さまに必ずご説明し、納得していただいてからインプラント治療を開始しています。

 

画像などを利用しながら、ご説明しますが、分かりにくいことがありましたらお気軽にご相談ください。

不安や疑問をすべて解消してからインプラント治療を行いましょう。

 

【まとめ】

インプラント手術を行う際のインプラントの位置や角度は重要です。

ただし、事前にシュミュレーションしてサージカルガイドを使用することで、インプラントの失敗を大幅に防ぐことができます。

患者さまによりよい環境でインプラントを使用していただけるよう、当院では事前の治療計画の立案に力を入れています。

この治療計画を元に手術が決まるため、大切なステップです。

インプラント手術の前に入念な準備をしてインプラント手術を行いますので、インプラントをご希望の方はお気軽にご相談ください。