基礎知識

歯牙移植が可能な条件とは

23.01.29

歯を失った時にどんな治療にしたらよいの?

と悩まれる方もいるのではないでしょうか。

歯を失った時の治療は保険適応できる「ブリッジ」「入れ歯」自費治療の「インプラント」「歯牙移植」があります。

それぞれ特徴があり、患者さまのご希望に合わせてご提案しています。

今回は歯を失った時の治療法とその中で歯牙移植が可能な条件について詳しくご紹介します。

 

【歯を失った時の治療法】

インプラント治療の歯科医院の選び方

  • ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削り、その部分を支えにして橋渡しのように被せ物をして歯を補う治療です。

失った歯が1~2本の場合に選択することができ、それ以上失った歯があると適応ができません。

ブリッジは取り外し式ではなく、固定式なので安定感があります。

 

〈メリット〉

・インプラントと比較した場合治療期間が短い

・両隣の歯を固定して被せ物をするので、安定感がある

・自費のセラミックにした場合、透明感があって自然な白い歯を手に入れることができる

 

インプラントは顎の骨にインプラント体が定着するまでの期間3~6カ月待つ必要があります。

その後、歯ぐきが治癒してから型取りするなど治療期間がかかるので、ブリッジの方が治療期間は短くなります。

また固定式のため、入れ歯のようにずれることがなく、安定して食事を噛むことができます。

自費の被せ物の場合には、セラミックを選択できるので、透明感があり自然な白い歯にできます。

 

〈デメリット〉

・被せ物をしている歯が失った歯の分の負担を補うので、支えになっている歯の寿命を縮めてしまう可能性がある。

・ブリッジと歯ぐきの間に食べ物が詰まりやすく、お口の中が不衛生になりやすい。

・被せ物をするために両隣の歯を削らなくてはいけない

・保険の場合には、奥歯の場合銀歯になり、前歯の場合には歯科用プラスチックの素材なので、時間の経過で黄ばんだように変色する

 

ブリッジは失った歯を補うために両隣の歯を削らなくてはいけないので、両隣の歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。

また、ブリッジの形態は食べ物が挟まった時に取れやすいように少し間があいています。

そのため、汚れが取れやすいのですが、汚れが詰まりやすいこともあり、丁寧にケアをしないと不衛生になりやすいです。

 

 

  • 入れ歯

部分入れ歯は、歯を失った部分に人工樹脂に人工歯を連結してばねをかけて失った部分を補います。

全て歯を失った総入れ歯の場合は、粘膜を支えにして入れ歯を装着します。

ブリッジでは対応ができない3本以上歯を失った場合でも入れ歯にすることができます。

 

〈メリット〉

入れ歯にはさまざまな種類があるので、症状に合わせて製作が可能

・保険が適応できる入れ歯もあるので、比較的費用を抑えることができる

・歯を失った数が何本でも入れ歯を製作できる

 

入れ歯は保険だけでなく、自費の入れ歯も含めると、「シリコンの入れ歯」「粘膜の部分を金属」などさまざまな素材から選ぶことができます。そのため、粘膜のフィットしやすい・温度を感じやすく薄いなど患者さまのご希望に合わせた入れ歯を製作できます。

また、保険の入れ歯は歯科用プラスチックですが、費用を抑えることが可能です。

そして、失った本数に関係なく入れ歯治療を選択できます。

 

 

〈デメリット〉

・粘膜で維持するので、慣れるまで違和感がある

・保険の入れ歯は、食べ物の熱が伝わりにくく、本来の味を感じにくい

・入れ歯がズレたり外れたりする場合がある

 

固定式ではなく、粘膜で維持して使用するので慣れるまで違和感があり、インプラントやブリッジに比べると噛む力が劣ります。

また、保険の入れ歯の場合、歯科用プラスチックなので、厚みがあり食べ物の熱が伝わりにくく、本来の味が楽しめない場合があります。

そのほかには、固定式ではないので、安定感が少なくずれたり外れたりする場合があります。

 

  • インプラント

インプラントは顎の骨にインプラント体を埋め込み、歯の根の役割をして、その上に被せ物をする治療です。

固定式の被せ物を装着ができ、ほかの歯に負担をかけることなく単独で治療ができます。

また、セラミックの素材を選択できるので、透明感があり、自然な見た目の歯を手に入れることができます。

 

〈メリット〉

・ほかの歯に負担をかけない

天然歯のようなかみ心地を実感できる

・見た目の違和感がない

・審美性が高い

 

入れ歯のようにばねをかけたり、ブリッジのように歯を削ったりする必要がないので、ほかの歯に負担をかけず、見た目の違和感もありせん。

また、天然歯と構造が似ているので、天然歯のようなかみ心地を実感できます。

 

〈デメリット〉

・インプラント体を埋め込むための手術が必要

治療期間が長い

・顎の骨が少ないと骨再生療法などの手術が必要

・ほかの治療に比べて費用が高い

 

本数が少ないと親知らずの抜歯程度の負担といわれていますが、インプラント体を埋め込むための手術が必要になります。

また、ほとんどが保険適応にならないので、費用が高くなります。

 

  • 歯牙移植

歯牙移植とは、かみ合わせに機能していない歯を移植する治療法です。

 

〈メリット〉

歯根膜がある

・手術の負担が少ない

・矯正治療も可能

・インプラントに比べて費用を抑えることができる

 

インプラントにはない歯のクッションになる「歯根膜」があるので、よりご自分の歯に近い感覚で噛むことができます。

また、インプラントは移動することができませんが、歯牙移植の場合には矯正治療も可能です。

また、手術の負担も少なく、インプラントに比べて費用を抑えることができます。

 

〈デメリット〉

・40才以上の方は、成功率が下がる

治療の難易度が高い

むし歯のリスクが残る

・一定の条件を満たす必要がある

 

一定の条件を満たす必要があり、40才以上の方は成功率が下がってしまいます。

また、ご自分の歯と同じようにむし歯のリスクはあります。

 

【歯牙移植の3つの条件】

  • 移植する場所に歯のサイズが合っていること
  • 歯の根の形が複雑でないこと
  • できるだけ健康でかみ合わせに関係ない歯があること

 

歯のサイズが合っていることが重要で、「移植する歯の根」と「移植する歯」が歯を失った場所にあっていることが条件になります。

歯の根は人によって1~5本の根があります。

根の形も先で曲がっているものや真っすぐのものなど個性があります。

歯牙移植に適しているのは「真っすぐ生えている」「歯の根が1~2本」の歯です。

また、むし歯でもろくなった歯や歯周病で歯根膜が減っている歯ではなく、健康な歯の方が成功率は上がります。

そして、かみ合わせに関係ない歯は、親知らずが多く、歯牙移植の適応になることが多いです。

 

【まとめ】

歯を失った時の治療法は4つあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。ご自分の希望とお口の状況を検討してぴったり合った治療を選んでくださいね。

その中で歯牙移植は、条件が当てはまれば天然歯と同じような環境で噛むことができ、費用も抑えることができます。

当院では全ての治療に対応していますので、歯を失った時に治療で迷った場合にはお気軽にご相談ください。