基礎知識

インプラントは歯を何本失ってもできるの?

23.12.30

お口の中の状況は様々なので、1本だけ歯を失っている方もいれば、今入れ歯を使用していて、数本歯を失っている方もいるのではないでしょうか。

インプラントは、顎の骨にインプラント体を埋め込むため、数本歯を失っていても治療ができますが、顎の骨の状態やインプラントの設計方法が変わってきますので、技術力を必要とします。

そこで今回は、歯を数本失った場合のインプラントについてもご紹介します。

 

1本だけインプラントをする場合

 

 

1本だけインプラントにする場合には、歯を失った部分にインプラント体を埋め込んで、その上に土台を立てます。

そして、その上に被せ物をする治療です。

左右の歯もあるので、インプラントの角度などは歯を失った部分に合わせて行うため、決定しやすい特徴があります。

 

また、1本だけ歯を失っている場合には、それほど顎の骨が減少しているケースが少ないので、そのままインプラントをできる可能性が高くなります。

インプラントの本数に関係なく、インプラント手術をする前には、レントゲンやCT撮影などの精密検査をして、顎の骨の状態やお口の状態を把握します。

 

その上で、インプラントをどの位置に埋め込んで、噛み合わせのバランスを取るかなどを事前にシュミュレーションをします。

インプラント手術の際には、シュミュレーションに沿って、インプラントの埋入をするため、この精密検査や治療計画が大切です。

 

3本歯を失っている場合

 

 

3本歯を失っている場合には、顎の骨の状態などにもよりますが、2本インプラントを埋入して、そのインプラントを土台にして橋渡しをする「インプラントブリッジ」の形をすることが多くなります。

ブリッジと名前がついていますが、一般的なブリッジは左右の健康な歯を削る必要があり、2本で3本分の歯を支えますので、支えとなる歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。

 

歯はできるだけ削らない方が、寿命は長くなりやすいため、健康な歯を削ってしまうことはデメリットになります。

一方、インプラントブリッジの場合には、健康な歯を削る必要がなく、ほかの歯に負担をかけることはありません

 

ただし、3本分の失った部分を2本のインプラントで補うため、治療の難易度は上がります。

角度や埋入位置などをきちんと設計した上でインプラント手術を行う必要があります。

 

全て歯を失っている場合

 

 

・オールオンフォー

全て歯を失っている方はオールオンフォーという選択肢があります。

上下それぞれ、4~6本のインプラントで、角度をつけて埋入するため、12本程度の人工歯を補う治療です。

そのため、1本につき1本インプラントを埋め込むより、費用や手術の負担を軽減することができます。

 

また、顎の骨が薄い方でも、顎の骨が十分ある位置を選んでインプラントを埋入することができるケースがあり、顎の骨を増やす手術をする必要が軽減されます。

 

ただし、全ての歯を失っている方、また今残っている歯の不具合があり残すことが難しい方が対象です。

インプラントと天然歯を混合してブリッチを製作することができないためです。

理由としては、天然歯にはクッション性がある「歯根膜」がありますが、インプラントにはこの歯根膜がありません。

そのため、同様にブリッチを製作すると、かかる負荷が変わってしまうため、負担になってしまうためです。

 

また、インプラントを1本埋め込むより、角度や埋入位置など、検討する部分が多くなり、高い技術力と経験が必要です。

そのため、オールオンフォーを行っている歯科医院が限られています。

 

そして、糖尿病などの免疫力が低下する持病がある場合には、傷口の治りが悪くなる可能性があるので、きちんと持病をコントロールできていることが条件になります。

そのほか、心臓病や脳血管疾患などを患ったばかりの方など、ご相談した上で手術が難しい場合もあります。

患者さまにできる限り負担が無いように、主治医と連携を取って手術を進めていきますので、その点はご安心ください。

 

 

・インプラントオーバーデンチャー

固定式ではありませんが、2本程度のインプラントを埋め込んで入れ歯を支える「インプラントオーバーデンチャー」という選択肢もあります。

インプラントを埋入した部分にマグネットなどを固定して、支えにするため、従来の入れ歯に比べて安定感が良くなります。

また、インプラントの埋入本数も減らすことができるため、患者さまの費用や手術の負担を軽減できます。

 

固定するタイプのインプラントに比べると、取り外してお手入れなどをする必要がありますが、「噛む力」は従来に入れ歯に比べてかなり改善します。

 

患者さまの顎の骨の状態や、ご希望に合わせてさまざまなご提案をしていますので、まずは、カウンセリングでご相談ください。

 

さまざまなインプラントの治療法

 

 

お口の状況は一人一人異なるので、その状況に合わせてインプラント手術の治療計画を立案します。

例えば、顎の骨が少ない患者さまの場合には、顎の骨造成する手術をして、インプラントを支える土台が安定するようにします。

 

また、複数本インプラントを埋入する場合などには、精密にインプラントを埋入するために、マウスピース型のガイドを作製することもあります。

このガイドは、事前にインプラントの位置や角度を決定した治療計画を元に作成するので、そのガイドに従ってドリルをすると、治療計画通りにインプラントを埋め込むことができるものです。

このガイドを使用すると、従来のインプラント手術より、手術時間を短縮することができ、患者さまの負担も軽減できます。

このように、患者さまのお口の状態に合わせてインプラント治療をご提案できます。

 

【まとめ】

インプラントは1本だけでなく、複数本埋め込むことも可能です。

また、全く歯がない方もオールオンフォーというインプラントを4~6本で12本程度の人工歯を支える治療をすることもできます。

当院では数多くのインプラント手術を行っておりますので、歯を失ってお困りの方、入れ歯が合わなくてつらい方などお気軽にご相談ください。

患者さまのお口の状態にあわせて、よりよいご提案ができるように、さまざまな治療を行っています。