インプラントコラム
COLUMN
身体に悪影響を及ぼすたばこはインプラントにもデメリットがあるの?
24.02.28
たばこには、全身にさまざまなデメリットがありますが、インプラント治療をする際にも喫煙をしていると、治療に悪影響を及ぼしてしまいます。
そこで今回は、具体的に喫煙をしていると、インプラントに与える影響について詳しくご紹介します。
インプラントと喫煙の関係
・インプラント手術の際顎の骨とインプラント体の定着が悪い
喫煙をしていると、ニコチンが血流を悪くしてしまいます。
また、一酸化炭素は酸素を十分に供給しにくくなり、免疫力が低下します。
インプラント手術をしたばかりの時は、顎の骨とインプラント体が定着する大事なタイミングですが、血流が悪く、免疫力が低下すると傷の治りも悪くなってしまうことも。
そうすると、インプラント体がきちんと顎の骨に定着しにくいケースも考えられます。
インプラントの定着が悪いと、安定して噛みにくい状態になりますし、最悪の場合抜け落ちてしまう可能性もあります。
・インプラント周囲炎の可能性が高くなる
インプラントにも歯垢の中に含まれる「歯周病菌」が原因で引き起こされる「インプラント周囲炎」があります。
歯周病によく似ており、歯磨きが不十分で歯垢が残って放置されていると、歯ぐきに炎症を引き起こしてインプラント周囲炎になることがあります。
歯周病も自覚症状が少ない疾患ですが、インプラント周囲炎も自覚症状が少なく、さらに歯の周りを支える「歯根膜」がないため、ダメージをダイレクトに受けてしまいます。
そのため、進行が早く、インプラントのトラブルにつながるため、インプラント周囲炎にならないように「予防」することが大切です。
さらに、喫煙者の方は、ニコチンの悪影響で免疫力が低下しています。
そのため、インプラント周囲炎のリスクが高く、インプラントのトラブルにつながりやすくなります。
喫煙がインプラントに与える4つのデメリット
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一酸化炭素が酸素の供給を妨げる
血液の中の「ヘモグロビン」は酸素を運ぶ大切な役割をしていますが、一酸化炭素はこのヘモグロビンと結合して、酸素を運ぶ働きが弱くなってしまいます。
そうすると、酸素の供給が妨げられて、十分な栄養が行き渡らなくなり、免疫力が低下することにつながります。
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ニコチンが血流を悪くする
たばこの中に含まれている「ニコチン」には血管を収縮する働きがあり、血流が悪くなります。
血行が悪くなると、酸素や栄養が十分に運ばれなくなり、インプラントの傷の治りに悪影響を及ぼします。
歯ぐきなどの傷口はもちろん、インプラント体と顎の骨の定着にも悪影響を及ぼすため、十分に定着しないケースがあります。
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唾液が少なくなる
ニコチンの血流を悪くする働きと一酸化炭素が酸素の供給を妨げるだけでなく、唾液の量を少なくするデメリットもあります。
唾液にはお口の中を整える効果があり、汚れなどを洗い流す「自浄作用」口の中の粘膜を「保護する作用」食べ物の消化を助ける「消化作用」などがあります。
これらの効果が減少してしまうだけでなく、唾液が少なくなったお口の中は、むし歯菌や歯周病菌が増殖しやすい環境になります。
そして、インプラントトラブルになりやすい、「インプラント周囲炎」のリスクも高くなってしまいます。
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白血球の働きが悪くなる
身体の中で、細菌と戦っているのが白血球です。
白血球が身体のバランスを整えて健康を維持する働きをしています。
しかし、ニコチンは白血球の機能を弱めてしまう働きがあります。
白血球の効果が減少している時に、細菌が増殖してしまうと、感染症になりやすくなります。
炎症を引き起こして、悪化してしまう可能性もあるので、喫煙をしている方は、傷の治りに悪影響があります。
全身に関係する喫煙の3つのデメリット
1 発がん性の物質が含まれている
たばこの中には発がん性の物質が含まれており、喫煙することで、肺に届いて血液中に流れて全身に運ばれます。
発がん性の物質が、がん抑制の遺伝子にダメージを与えるので、がんのリスクが高くなります。
男性と女性で少し確立が異なりますが、喫煙者と非喫煙者の方を比較すると、喫煙者の方が男性で1.6倍程度、女性で1.5倍程度がんのリスクが高くなります。
肺がんに関しては4倍程度も高くなるデータがあり、がんのリスクが多くなることが分かっています。
2 運動機能が低下する
喫煙をしていると、「持久力」「回復力」「瞬発力」に悪影響を及ぼします。
・持久力
たばこに含まれているニコチンや一酸化炭素が血流を悪くして酸素が十分に供給しにくくなります。
そうすると、呼吸機能の低下を招いて、持久力が低下します。
・回復力
ニコチンや一酸化炭素の影響で酸素不足の状態になり、傷が治るために大切なコラーゲンが減少します。
・瞬発力
ニコチンに依存しやすくなり、ニコチンがないと神経が興奮しにくくなってしまい、瞬発力が低下しやすくなる。
3 がん以外の疾患にもかかりやすくなる
喫煙をすることで、呼吸器系の疾患、循環器系の疾患、糖尿病、歯周病などのリスクが高くなります。
呼吸器系の疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD) たばこに含まれる有害物質を長年吸い込むことで、肺に悪影響を及ぼします。
循環器系の疾患
たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素の影響で血流が悪くなり、動脈硬化が進みやすくなるので、心疾患や脳梗塞などの循環器系の疾患が悪影響を受けます。
糖尿病
交感神経が刺激されて、血糖値が上昇しやすくなり、糖の代謝を調整する「インスリン」の働きが低下するため。
【まとめ】
インプラント治療をするためには、喫煙を控えましょう
たばこは、全身だけでなく、インプラントにも悪影響を及ぼします。
たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素などが血管を収縮して酸素を十分に運べなくなってしまいます。
また、特に肺に疾患を患いやすく、肺がんや慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクが高くなってしまいます。
インプラントの定着が悪くなってしまったり、傷の治りも悪くなってしまったりするため、インプラント治療をする時には、喫煙を控えていただいています。
インプラント治療の時はもちろん、全身にも悪影響がありますので、全身の健康のためにも禁煙をしましょう。