基礎知識

永久歯が抜けた?応急処置と治療法とは

24.04.30

乳歯は、永久歯に生え変わりますが、永久歯は抜けてしまうと自然に元通りになることはありません。

大切な永久歯が強い力がかかった場合や、重度の歯周病で抜け落ちてしまうことがあります。

重度の歯周病の場合には、戻せる可能性は低いですが、外傷で抜けた歯は元に戻せる可能性があります。

永久歯が抜けた場合にできる応急処置と治療法について詳しくご紹介します。

 

永久歯が抜けた時の応急処置

清潔なガーゼで止血をする

 

外傷などで強く力がかかって歯が抜けてしまった場合には、出血していることが多いため、すぐに止血をしましょう

清潔なガーゼを噛んで止血することが理想的ですが、ガーゼがない時には、きれいなティッシュで代用してください。

正しい力で圧迫していると15分程度で出血が落ち着いてきます。

 

ガーゼやティッシュを外してもまだ出血している場合には、頬から冷やして血管が収縮するようにしましょう。

この時、血の味が気になる場合にはうがいをしても問題ありませんが、強くうがいをすると、傷口が塞がりにくくなってしまうため、軽めのうがいにしてください

 

抜けた歯を生理食塩水につける

 

抜けた歯の乾燥を防ぐために、生理食塩水に歯をつけましょう。

抜けた歯には、歯のクッションの役割をする「歯根膜」がついています。

この膜が乾燥したり取れたりすることを防ぎたいため、生理食塩水につけて保管してできるだけ早く受診をしましょう。

永久歯が抜けた時にしてはいけない3つのこと

歯を洗浄しない

歯の汚れがついている時は、流水下で汚れを取る程度は大丈夫ですが、ごしごし洗うことは避けましょう

石鹸や洗剤などでも洗わないでください。

抜けた歯には歯根膜がついていることが多く、その部分が取れてしまうと元に戻せない可能性があります。

 

歯を乾燥させない

歯は、乾燥に弱い性質がありますので、乾燥をさせないようにしましょう。

生理食塩水に入れて、できるだけ早く歯医者を受診しましょう。

 

根の部分に触らない

抜けた歯を戻す際に、細菌がついていると、細菌感染を引き起こして元に戻らない可能性があります。

根の部分は手で触らずに、清潔な「おはし」などを使いましょう。

 

歯を失ったままにするリスク

治療法について

噛み合わせのバランスが崩れる

歯を失ったままにしておくと、その部分を埋めようと左右の歯が少しずつ動きます。

そうすると、上下で噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。

噛み合わせが悪くなると、口周りの筋肉が緊張します。

筋肉はつながっているため、首こりや肩こりにつながることも。

これらを咬合関連痛といい、噛み合わせが悪いことで頭痛などを引き起こしてしまうこともあります。

 

口元の審美性が悪くなる

歯が抜けたまま放置すると、審美性が悪くなりますし、抜けていることを隠そうと口元を覆ってしまうことも。

また、噛み合わせのバランスが崩れて、しっかり噛むことができなくなるため、口周りの筋力が低下します。

歯を失った方は口元にしわが寄りやすく、老け顔に見えやすくなってしまうこともあります。

 

認知症のリスクが高くなる

しっかりと噛むことは、脳に刺激を伝えています。

歯を失うと、噛む機能が低下して、脳への刺激が弱くなってしまいます。

そのため、記憶力や認知能力が低下することが認められています。

そのため、歯を失ったままにする期間が長くなってくると、認知能力の低下から認知症にリスクが高くなると考えられています。

 

歯を失った時の治療方法

・インプラント

 

インプラントは、歯を失った部分にインプラント体を埋め込んで、その上に土台を立てて被せ物の人工歯をする治療です。

インプラント体はチタンの素材で、親和性が高く、身体に優しい素材です。

 

インプラントのメリット

  • ほかの歯に負担をかけない
  • 天然歯と同様の噛み心地を実感できる
  • 透明感があり、自然な見た目を手に入れることができる
  • 顎の骨がやせるのを防ぐ

 

インプラントのデメリット

  • ほとんどが自由診療のため、費用が高くなる
  • インプラントの手術が必要
  • 顎の骨と定着する時間があるため、治療期間が長い

 

・ブリッジ

 

歯を失った部分を補うために、左右の歯を削って橋渡しのようにして被せ物をする治療です。

ブリッジは、保険適用のブリッジもありますが、素材が決まっているため、審美性も考慮した素材の場合には、自由診療になる。

 

ブリッジのメリット

  • 固定式の治療のため、入れ歯と比較すると違和感が少ない
  • 保険診療で治療ができる(素材によっては自由診療)
  • 治療期間が短い

 

ブリッジのデメリット

・左右の歯が健康な場合でも削る必要があるため、寿命を縮めてしまう可能性がある

・左右の歯がないとブリッジが適用にならずにほかの治療方法になる

・不具合が起きた時には、作りなおしになる可能性がある

・取り外しができないため、汚れが残りやすい

 

・入れ歯

 

入れ歯は、失った歯の部分をプラスチックの樹脂や金属の素材を使用して人工歯や歯ぐきの部分を補う治療です。

入れ歯は失った歯の本数に応じて、歯が残っている場合には、「部分入れ歯」歯をすべて失っている場合には「総入れ歯」があります。

 

入れ歯も保険適用ができますが、素材によっては自由診療の物もあり、審美性も兼ね備えている素材は保険が適用になりません。

 

入れ歯のメリット

・比較的治療期間が短く治療ができる

・調整や修理が簡単にできる

・多くの歯を失った場合にも適用ができる

・保険適用ができる(素材によっては自由診療)

 

入れ歯のデメリット

・取り外し式のため、安定感が少なく、ほかの治療と比較すると噛みにくい

・保険の部分入れ歯の場合、ほかの歯に金属のばねがかかるため、見た目が目立ちやすく、負担になりやすい。

・入れ歯の取り外しに慣れる必要がある

・入れ歯の範囲が広い場合には、違和感が大きくなりやすい

 

【まとめ】

永久歯が抜けてしまった場合には、生理食塩水に浸してできるだけ早く歯医者に受診をしましょう。

外傷などで歯が抜けた場合で、歯の保存状態がよいと元に戻せる可能性があります。

 

また、歯を失った時の治療は3つの治療があり、「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」があります。それぞれ特徴がありますので、患者さまのお口の中の状況とご希望を考慮してよりよい治療法をご提案いたします。