基礎知識

インプラントで歯並びは変わる?矯正治療との違いとは

24.08.31

インプラント治療でつける被せ物はセラミックが選択できるため、審美的に優れています。

数本のインプラントを入れた場合、見た目がキレイになったと思うこともあるでしょう。

ただし、インプラント治療は歯を失った部分の治療を目的にしているため、歯並びを改善するわけではありません。

そこで今回は、インプラントと矯正治療に違いについてご紹介します。

 

インプラント治療とは

インプラント治療は、歯を失った部分に人工歯根の「インプラント体」を埋め込み、その上に土台になる「アバットメント」をつけて、人工歯の「被せ物」をする治療です。

 

ほかの歯に負担をかけることが無い、天然歯のような噛み心地を実感できる、セラミックを選択できるため、審美性が高いなど多くのメリットがあります。

 

しかし、多くのインプラント治療をしても歯並びやかみ合わせを改善することは出来ません。

歯並びが変わるには、上下の歯が全てない場合に適用になる「オールオンフォー」の場合には全ての歯を被せ物にするため、歯並びやかみ合わせの改善が見込めます。

オールオンフォーは片顎のすべての歯が無い場合に、4~6本のインプラントを埋入して片顎のすべての歯を支える治療です。

 

この場合にのみ歯並びも含めて改善することが可能ですが、一般的なインプラント治療は歯を失った部分を補う治療のため、歯並びは改善できません。

 

インプラントの目的

インプラントの目的は、失った歯の部分の審美的な回復も目的にしていますが、噛む機能を回復するための治療です。

インプラント治療で選択できるセラミックは、審美性も高いため、歯並びも改善したいと思う方もいるかもしれません。

 

ただし、インプラントは、歯を失った部分にのみ適用になるため、健康な歯はインプラント治療の適用にはならず、審美目的の場合には矯正治療が必要です。

 

歯並びを改善するためには矯正治療

歯並びを改善するためには、矯正治療が必要です。

以前は、歯の表側に矯正装置をつけるワイヤー矯正が広く行われていましたが、歯の裏側に装置をつける「裏側矯正」や透明のマウスピースを使用する「マウスピース矯正」も行われています。

 

患者さまの歯並びによっては適用にならない場合もありますが、患者さまのご希望と歯並びの状況を考慮して矯正治療の種類を選択できるようになってきています。

 

また、以前は金属のワイヤー矯正が主流でしたが、白や透明のブラケットやワイヤーを選択できるようになり、装置の見た目も分かりにくくなりました。

裏側矯正の場合には、装置がほとんど見えないですし、マウスピース矯正も透明の薄いマウスピースを使用するため、目立ちにくい矯正方法です。

 

このように矯正中の見た目も分かりにくく、患者さまの見た目のストレスも軽減されやすくなっています。

 

歯並びが悪いことで起きるデメリット

・むし歯や歯周病のリスクが増える

歯並びが凸凹している部分には汚れが残りやすく、歯ブラシも当たりにくくなってしまいます。

その部分に汚れが残ったままになっていると、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。

また、歯並びが改善していないと、一度治療した部分にも汚れが残りやすく再治療の可能性が高くなります。

 

・見た目がコンプレックスになりやすい

出っ歯や受け口など見た目が特徴的な場合には、口元をからかわれることもあり、見た目がコンプレックスになってしまうこともあります。

話す時に口を覆ってしまったり、話すことに消極的になってしまったりすることもあります。

 

・滑舌に影響する

歯並びが悪いと、空気が抜けやすく、サ行やタ行、ラ行などの発音がしにくい場合があります。

また、歯並びの悪さから口呼吸になっていると、舌の位置も下がってしまい舌の筋力も低下します。

そうすると、滑舌が悪くなってしまうことがあります。

 

・顎に負担がかかる

歯並びが悪いと、噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。

そうすると、一部の歯や顎に負担がかかってしまいます。

そのまま放置すると、顎関節症になってしまうことも。

口が開きにくい、顎から音が鳴る、口を開けると痛いなどの症状がある場合には、一度歯医者で相談しましょう。

 

インプラントと矯正治療はどちらを先に治療したらよいの?

インプラント治療と矯正治療を希望している場合には、矯正治療を優先してすることになります。

矯正治療によって歯を動かすことができますが、インプラント治療をした部分は動かすことができないためです。

 

インプラントは噛み合わせのバランスも大切なので、矯正治療で正しい噛み合わせになった状態でインプラント治療をした方がインプラントにも負担がかかりにくくなります。

 

前歯や気になる一部分だけを矯正治療する部分矯正に場合には、インプラントをする位置に影響がない場合もありますが、インプラントと矯正をしたいことを伝えて連携を取りながら矯正を行いましょう。

 

インプラントが入っている場合でも矯正治療はできる?

インプラント治療をすでに行っている場合でも矯正治療を希望している場合には、矯正治療を行うことは可能ですが、通常に矯正の治療計画より精密に治療計画を立てる必要があります。

特に、複数のインプラントが埋入されている場合には、インプラントや顎の骨に負担がかからないように治療計画を立てる必要があります。

 

インプラントの本数やお口の状態によっては矯正治療が難しいケースもあります。

歯を失った原因が歯周病の場合、顎の骨が減少している可能性があります。

矯正で適切な力をかけて歯を少しずつ動かしますが、顎の骨が少ない状態では負担になってしまう可能性もあります。

矯正の精密検査を受けた上でインプラントの治療と矯正治療ができるか診断します。

 

【まとめ】

インプラントの目的は失った歯の機能を回復することで、矯正治療の目的は歯並びやかみ合わせを改善することです。

それぞれ目的が違うため、どちらを希望しているか一度検討してみてくださいね。

インプラント治療と矯正治療の両方希望している場合には、一般的には矯正治療を優先しますが、お口の状況によっては異なる場合もあります。

歯科医師と相談した上で患者さまに合った治療計画を立てますので、お気軽にご相談ください。