基礎知識

インプラント治療が始まる前に知っておいた方が良いことはあるの?

24.12.27

インプラント治療は歯を失った時の治療の1つで、メリットも多いため、多くの方に選択されるようになってきました。

ただし、どの治療にもメリット・デメリットがあり、納得した上で治療をすることが大切です。

また、治療の流れやインプラントの被せ物が入った後の通院など、治療前に知っておくことで治療のイメージがしやすく、ギャップも少なくなります。

 

そこで今回は、インプラント治療が始まる前に知っておいた方が良い事についてご紹介します。

 

知っておきたい1 インプラントのメリット・デメリット

 

インプラントのメリット

メリット1 天然歯のようにしっかり噛むことができる

インプラントは、ブリッジや入れ歯と比較すると、顎の骨にインプラント体を埋め込みその上に被せ物をするため、天然歯と構造が似ていて、天然歯のような噛み心地を実感できます。

 

メリット2 ほかの歯に負担をかけずに治療が可能

インプラントは、歯を失った部分単独で治療をすることができます。

 

メリット3 自然な見た目を手に入れることができる

インプラントは、被せ物にセラミックを選択できるため、変色や歯茎の境目が黒ずむこともありません。

また、部分入れ歯のように金属のばねをかけることも無いため、審美性に優れています。

 

インプラントのデメリット

 

デメリット1 ほとんどが自由診療のため、費用が高い

インプラントは、顎の骨の3分の1を事故で失うなど一部の場合に保険が適用になりますが、歯周病やむし歯で歯を失った場合は対象になりません。

歯を失う原因の多くが歯周病やむし歯のため、ほとんどの場合が自由診療で費用が高くなります。

ただし、医療費控除の対象になりますので、申告をすると支払った税金の一部が還付され、費用の負担を軽減できます。

 

デメリット2 外科手術が必要になる

インプラントは外科手術が必要になりますが、本数や顎の骨が十分ある状態では30分程度で手術が終わる場合もあります。

 

デメリット3 定期的にメンテナンスをする必要がある

インプラントを良い状態で維持するためには、不具合が起きる前に確認することが大切です。

顎の骨の中にインプラント体が埋め込まれているため、レントゲン撮影をしてインプラント周辺の状況を確認することが大切です。

また、汚れが残っていると炎症を引き起こし、インプラント周囲炎の可能性が高くなるため、セルフケアも十分に行う必要があります。

 

知っておきたい2 インプラント治療の流れ

 

STEP1  カウンセリング

カウンセリングでは、今のお口の中のお悩みや歯を失っていた期間などを伺います。

また、ブリッジや入れ歯にしていた方は、その治療でお悩みがあればご相談させていただきます。

カウンセリングの際にインプラントの概要や治療の流れをお伝えしますし、疑問や不安なことをお話ください。

治療がスタートする前に気になることは解決してから、治療を行います。

 

STEP2 精密検査

顎の骨の状態や歯茎の状態、ほかの歯のむし歯や歯周病の有無などを確認します。

レントゲン撮影だけでなく、立体的にお口の状態を確認できるCT撮影も行います。

顎の骨を立体的に確認することで厚みや高さなども知ることができ、神経や血管の位置も把握できます。

 

STEP3 治療計画のご説明・治療の決定

精密検査の結果を元にインプラント治療ができるか診断します。

また、治療費用の概要や骨造成の手術が必要かなどもお話します。

治療計画を聞いていただいた上で、治療を検討していただきます。

 

STEP4 インプラント手術

インプラント手術は、顎の骨にインプラント体を埋め込んで歯茎の中で定着を待つ2回法とインプラント手術当日に土台や仮歯まで行う1回法があります。

患者様の顎の骨の状態や口腔内の状況によって決定します。

インプラントを埋入した後は、顎の骨とインプラントが定着するまで待機する期間が2~4か月程度あります。

顎の骨が足りなく、骨造成の治療が必要なケースはもう少し期間が長くなる場合もあります。

 

STEP5 型取り

インプラント体と顎の骨が定着したのを確認してから、型取りになります。

型取りをして、被せ物を作製していきます。

 

STEP6 被せ物をつける

被せ物が完成したら、噛み合わせを調整して被せ物をつけます。

インプラント治療は、噛み合わせが強いとインプラントに負担がかかってしまいます。

強い力がかかり過ぎないように調整をします。

日常的に歯ぎしりや食いしばりがある方は、マウスピースを作製して被せ物やインプラントを保護することもあります。

 

知っておきたい3 事前の健康状態の確認

 

インプラント治療は外科手術も行うため、持病が安定していることが大切です。

脳血管疾患や心臓病の場合、血栓ができにくくなるお薬や血液がサラサラになるお薬を服用していることがあるため、注意が必要です。

 

また、糖尿病は、血糖のコントロールが難しくなると血管に負担がかかり、外科手術した後の傷の治りが悪かったり、インプラントと顎の骨の定着に影響を及ぼしたりすることがあります。

感染症のリスクも上がってしまうため、血糖がコントロールできている状態が望ましいです。

 

知っておきたい4 喫煙の影響

 

喫煙をすると、たばこに含まれているニコチンやタールが血管を収縮して酸素が行き届きにくいため、インプラントと顎の骨の結合が悪くなることがあります。

免疫力も低下するため、手術後の傷の治りも悪い傾向があります。

 

また、喫煙をしていると、口の中が乾燥しやすくなり、細菌が繁殖しやすくなります。

そうすると、インプラントのトラブルの中で多いインプラント周囲炎のリスクが高くなります。

インプラント周囲炎は歯周病に似た疾患で、インプラントの周りの組織に炎症を引き起こします。

 

ただし、インプラントは天然歯と異なり、歯根膜という衝撃をやわらげる膜がありません。

そのため、ダメージをダイレクトに受けてしまうため、進行が早い特徴があります。

進行すると、インプラントを支えている顎の骨を溶かしてしまい、インプラントがグラグラしてしまうこともあるため、注意が必要な疾患です。

 

そのインプラント周囲炎のリスクを高めてしまうため、インプラント手術をする場合にはタバコを控える必要があります。

 

【まとめ】

インプラント治療を始める前に、メリット・デメリット、治療の流れを知っておくとスムーズに治療が進むでしょう。

インプラント治療を検討している場合には、気になることや疑問などもカウンセリングでお話できるため、お気軽にご相談ください。