インプラントコラム
COLUMN
インプラント治療と旅行 治療中の海外旅行時の注意点
25.04.30
「インプラント治療中に旅行に行っても大丈夫?」 そう疑問に思う方は少なくありません。特に長期の出張、海外旅行や留学を控えている方にとっては、治療とスケジュールの両立が心配なポイントの一つではないでしょうか。
そこで今回は、インプラント治療中の旅行、特に海外旅行を計画している方に向けて、治療の時期別の注意点や旅行前の準備、トラブルへの備えについて詳しく解説します。
インプラント治療の流れを知っておきましょう
インプラント治療は大きく分けて以下のようなステップを踏みます。
- 精密検査・治療計画の立案
- 一次手術(インプラントの埋入)
- 治癒期間(2カ月~数カ月)
- 二次手術(必要に応じて)
- 上部構造の装着(人工歯の取り付け)
- 定期的なメンテナンス
このようにインプラント治療にはある程度の期間が必要なため、旅行の時期によっては治療と重なることがあります。
では、どの時期に旅行を避けるべきなのでしょうか?
治療中に旅行を避けたいタイミング
【1】手術直後(術後1週間以内)
一次手術や二次手術の直後は、腫れや痛み、出血などが起こりやすい時期です。
飛行機の気圧変化や長時間の移動は、治癒を妨げるリスクがあります。
また、万が一感染や急な腫れが起こった際に、対応が遅れてしまう危険性もあるため、この時期は控えた方が安心でしょう。
【2】治癒期間中(骨と結合している途中)
痛みなどの自覚症状が少ないため油断しがちですが、インプラントが骨としっかり結合するまでの間は、まだ安定していない状態です。
強い衝撃や過剰な力がかかると、インプラントと骨の結合が遅れる、きちんと結合できないなどの可能性があります。
長期の旅行に関しては、安定してから旅行されることをおすすめします。
【3】人工歯の装着直後
上部構造(被せ物)を装着したばかりの時期も、咬み合わせ調整が不十分だったり、仮歯の段階だったりすることがあります。長時間の移動や食生活の変化により、不具合が出る可能性があるため、装着後すぐの旅行は避けるのが無難です。
旅行前に確認しておきたい5つのポイント
1 事前に歯科医に旅行の予定を伝える
旅行日程が決まっている場合は、早めに歯科医に相談しましょう。
手術や人工歯の装着日を前後に調整することで、より安全なスケジュールが立てられます。
旅行直前の手術や装着は、術後のトラブル対応が困難になる可能性があります。
可能であれば、旅行の2週間以上前に大きな処置を終えておくのが理想です。
インプラント治療の日程をコントロールすることで、インプラント手術や人工歯の装着がスムーズになります。
2 持ち物の準備
普段使用している歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどのケア用品を持参しましょう。
また、歯ぎしりがある方で就寝中にマウスピースをしている方は、忘れずに持っていくようにしましょう。
就寝中は非常に強い力がかかっている場合があります。
マウスピースで負担を軽減しているため、旅行中も使用してくださいね。
また、念のため、痛み止めも持参すると安心でしょう。
3 海外旅行保険の確認
海外の場合には、日本の保険が適用にならないため、クレジットカードなどに付帯している保険や必要に応じて個別に海外旅行保険に加入する必要があります。
海外旅行保険は義務ではありませんので、個人での判断が求められます。
ただし、海外旅行中に病院を受診すると、全額自己負担になるため、その点も考慮する必要があります。
海外旅行保険に入っている場合は、どの程度対応しているか範囲を確認しておくと安心です。
4 滞在先の医療機関を調べておく
長期の滞在や長期の出張の場合、滞在先の医療機関を調べておくと安心です。
日本語が対応しているかなど、確認しておくとスムーズに受診ができます。
旅行中に起こりやすいトラブルと対策
歯ぐきの腫れ・出血が起こる
インプラント手術をしていない場合には、汚れが残っていて細菌が炎症を引き起こしている可能性があります。
そのため、丁寧にブラッシングをして口腔内を清潔に保ちましょう。
インプラントの部品(アバットメント・仮歯など)がゆるむ
インプラントの部品がゆるんでいる場合でも、自己判断で調整しないようにしましょう。
汚れが入り込んで、炎症を引き起こす可能性がありますし、ねじの部分も決められたインプラント治療の器具を使用しないと、今後使用できなくなる可能性もあります。
インプラントのパーツは歯科医師が慎重に噛み合わせのバランスも含めて調整する必要があります。
誤った位置で固定されてしまうと、インプラントの負荷がかかってしまい、インプラントトラブルになる可能性があります。
そのため、インプラントの部品がゆるんでいると感じたら歯科医院で相談する必要があります。
強く噛んでしまい痛みが出る
強い痛みがあれば、応急的に痛み止めを使用しましょう。
また、噛んだ部分が落ち着くまでやわらかい物を食べるようにして負担がかからないようにしてくださいね。
上記のような状態になった場合には、帰国してから歯科医院を受診して今後どのようにするか判断を仰ぎましょう。
長期滞在・留学・海外赴任の場合
1年以上の長期滞在予定がある場合は、日本でインプラントを完了してから渡航するか、現地での治療を検討するかの判断が必要です。
日本での治療を選ぶ場合は、定期メンテナンスを日本で行うのか現地の歯科医院で行うか選ぶ必要があります。
現地でメンテナンスを行う場合には、インプラント治療に対応している歯科医院か確認し、使用しているインプラントメーカーでメンテナンスができるか確認しましょう。
もし難しい場合には、一時帰国した場合などにメンテナンスをすることも検討しましょう。
現地で治療をする場合には、日本語が対応しているか、医療のレベルや費用なども確認しておいた方が安心です。
【まとめ】
旅行を楽しみながら、インプラント治療を行うためには、スケジュールを考慮する必要があります。
治療前であれば、旅行後にインプラント手術を行うなど配慮ができます。
予定が決まっている場合には、共有してどのようにインプラント治療を進めていくか相談しましょう。
長期の場合には、日本で治療を行うか現地で行うか判断が求められます。
インプラント治療を検討している方は、旅行のスケジュールによって調整できる可能性がありますので、まずはお気軽にご相談ください。