基礎知識

歯周病で抜歯になった時インプラントは回復の選択肢になる?

25.04.30

「歯周病が悪化して歯を抜歯することになった……。」

歯周病は、初期の段階では歯ぐきの腫れや出血などですが、悪化すると骨を溶かしてしまい歯がグラグラします。

最悪の場合、歯が抜け落ちてしまうことや抜歯をしなければいけない場合もあります。

 

歯を失った時の治療の選択肢は大きく分けて3つありますが、そのうちのインプラントは審美性もあり、しっかり噛むことができるため、歯を失った時の治療として選ばれるようになってきました。

 

そこで今回は、歯周病で抜歯が必要になった方もインプラントが回復の選択肢になるのかについて詳しくご紹介します。

 

歯周病とは? なぜ抜歯が必要になるの?

歯周病は、汚れの中にひそんでいる細菌が毒素を出して歯ぐきや歯周組織に炎症を引き起こします。

初期の段階では、歯ぐきの腫れや歯磨きの時の出血程度ですが、進行すると歯を支えている骨を溶かしてしまいます。

そうすると、歯はグラグラして抜け落ちてしまうこともあります。

 

歯周病が重度になると

・口臭や出血が続く

・食事中に歯が動いて噛みにくい

・膿が出てくる

 

などの症状が出て生活の質にも影響を及ぼします。

 

歯を失ったまま放置するとどうなる?

歯には1本1本役割があり、噛み合わせのバランスを保っています。

大切な歯を1本失ってそのまま放置してしまうと、左右の歯がそのすき間を埋めようと少しずつ動いてきます。

そうすると、左右の歯が少しずつ傾いてしまい、噛み合わせのバランスも悪くなってしまいます。

また、失った部分をそのままにしておくと、汚れが残りやすかったり、顎の骨が減りやすかったり様々なデメリットがあります。

 

特に歯周病で骨がすでに失われている場合、放置するとさらに骨が吸収され、将来的に治療の選択肢が限られてしまうこともあります。

 

歯を失った後の治療方法

抜歯後の治療には、主に以下の3つの方法があります。

 

① ブリッジ

両隣の歯を削って連結する人工歯を装着する方法です。

左右の健康な歯を削る必要があり、支えとなる歯に負担がかかります。

大幅に歯を削る必要があるため、支えている歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。

 

② 入れ歯

保険適用することができて比較的簡単に装着でき、複数歯の欠損にも対応しています。

ただし、取り外し式のため安定感が少なく、違和感や噛む力の低下があります。

また、部分入れ歯の場合には、ほかの歯にばねをかけて入れ歯を固定するため、ばねが見えて見た目が気になる場合があります。

 

③ インプラント

人工の歯根を顎の骨に埋め込むことで、天然の歯のような機能・見た目を再現します。

周囲の歯に負担をかけず、歯を失った部分だけで治療ができて、骨の吸収を防ぐ効果も期待できます。

 

歯周病で抜歯した場合でも、インプラントはできる?

 

歯周病で抜歯をした場合でも、歯周病がきちんとコントロールできて安定していれば、インプラント治療は可能です。

ただし、歯周病は細菌による感染症のため、そのままインプラント治療をするとインプラント周囲炎のリスクになります。

そのため、スケーリングをして汚れをきちんと除去して、毎日のセルフケアをする必要があります。

 

また、歯周病で骨が減っている場合には、そのままではインプラントが安定しにくいため、骨造成の手術をして、骨の再生を促す必要があります。

インプラント前に必要な処置

歯周病の徹底的な治療(スケーリング、SRP、歯周外科)

骨の量が足りない場合は「骨造成」の手術で補う

インプラント埋入時に清潔な状態を保つための口腔管理

 

これらの治療を行って、炎症のコントロールと骨の環境が改善していればインプラントによる機能の回復は可能です。

 

歯周病経験者がインプラントを選ぶメリット

・見た目が自然

インプラントは自由診療のため、被せ物の素材を選択することができます。

そのため、セラミックの素材を選択することができ、透明感があり自然な色味で変色しない被せ物を選ぶことができます。

 

・天然歯のように噛むことができる

インプラントは人工歯根を埋入して、根の代わりの役割をするため、天然歯と構造が似ています。

また、固定式の治療のため、天然歯のようにしっかり噛むことができます。

 

・顎の骨の減少を予防できる

噛むたびに骨に刺激が伝わるため、骨吸収を抑える効果が見込めます。

 

特に噛む力が改善することで、食事や会話の安定感が向上して生活の質が上がります。

 

インプラント治療後に気をつけたいこと

 

インプラントはむし歯になることはありませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」になる可能性があります。

そのため、インプラント周囲炎の直接の原因である汚れをきちんと除去して口腔内を清潔にしておく必要があります。

 

ただし、歯を失った部分は歯磨きが苦手なことも多いため、定期的に検診を受けてクリーニングをする必要があります。

定期的にメンテナンスをしていると、レントゲンを撮影して骨やインプラントの状態を確認することができ、インプラントに不具合が出る前に未然に予防することができます。

 

また、お口の状況に合わせて、歯ブラシの当て方や歯間ブラシ、デンタルフロスの使い方をお伝えします。

 

定期的なメンテナンス(3〜6カ月ごと)

毎日の丁寧なブラッシング・清掃

歯科医師の指導に従ったセルフケア

を徹底することが、インプラントよりよい状態で長く使うためには欠かせません。

 

【まとめ】

歯周病で歯を失っても、インプラント治療をあきらめる必要はありません。

歯周病の治療をきちんと行って、正しいセルフケアでお口の中を清潔に保つことができるとインプラント治療ができる可能性があります。

また、歯周病で失った骨が多い場合には、骨造成の手術をして骨の再生を促しましょう。

インプラントは、適切な準備とケアを行えば、再びしっかり噛める生活を取り戻すことができる方法です。

まずはお口の状態をしっかり診断し、自分に合った治療法を歯科医と一緒に考えることから始めてみましょう。

「歯が抜けてしまった…でも元のように噛みたい」 そんな方の回復の選択肢として、インプラントは心強い味方になります。

当院では、数多くのインプラント治療を行っていますので、歯を失った時の治療でインプラント治療をご希望の方はお気軽にご相談ください。