基礎知識

インプラントのネジがゆるむことはあるの?“その原因と対策とは

25.07.29

インプラント治療は、失った歯を補うための治療法として広く知られています。

審美的にも自然で、天然歯のようにしっかりと噛める機能性の高さから、「第2の永久歯」とも呼ばれることもあります。

しかし、メリットの多いインプラントでもまれにトラブルが発生することがあります。

その一つが、インプラントのネジがゆるんでしまう「スクリュー・ルーズニング」です。

そこで今回は、インプラントのねじがゆるんでしまうのはどのような状態か、なぜ起こるのか、その場合の対処法や予防対策について、お話させていただきます。

 

インプラントのねじがゆるむ状態とは?

インプラント治療は、見た目も自然で天然歯のような噛み心地を実感でき、快適な生活が期待できる治療法です。

しかし、インプラントも人工物のため、まれにトラブルが起こることがあります。

そのひとつが、「インプラントのねじがゆるむ状態」です。

 

ねじがゆるむとは?

多くのインプラントは「インプラント体」と「アバットメント(インプラントとの連結部分)」、「上部構造(被せ物)」の3つのパーツで構成されています。

インプラント体と被せ物をつなぎ合わせているのが「アバットメント」です。

スクリュー・ルーズニングとは、アバットメント部分が何らかの原因でゆるんでしまう状態です。

この部分がゆるむことで、上部構造がグラついたりする不具合が生じる場合があります。

 

インプラントのねじがゆるむ主な原因は?

インプラントのねじがゆるんでしまう原因は、ひとつだけではありません。

いくつかの原因があり、治療直後だけでなく、数ヶ月〜数年後にトラブルが生じることもあります。

それでは、代表的な原因をお話させていただきます。

 

・インプラント治療時のねじの締め方が不十分だった

インプラントを装着する際には、適切な力加減でねじを締める必要があります。

もしこの締める力が弱すぎた場合、時間の経過とともにねじが自然にゆるんでしまう可能性があります。

しかし、締める力が強すぎても金属にゆがみが生じる可能性があるため、適切な力での締め付けが大切です。

 

・歯ぎしりやくいしばりなどで噛み合わせの力が強すぎる

無意識に歯ぎしり・くいしばりの癖がある方は、インプラントに大きな力がかかりやすくなります。

これらのくせがある場合には、日常的に大きな力がかかっていることが多く、ねじに負担が蓄積してゆるみの原因となる場合があります

特に寝ている時の歯ぎしりは、自覚がないまま天然歯の何倍もの力が加わることもあります。

 

・被せ物の形態のバランスが悪い

インプラントの上に装着する被せ物の形態のバランスが悪い場合、インプラント体に負担がかかってしまう場合があります。

基本的に被せ物の形態は、インプラント体に負担がかからないように噛み合わせのバランスも調整して行いますが、まれに被せ物の形態のバランスの悪さからねじのゆるみにつながる場合があります。

 

・インプラント体と骨の結合が不十分

インプラントの手術に、注水が不十分で骨がオーバーヒートしてしまった場合や適切な位置や角度で埋入できなかった際にインプラント体と骨の結合が不十分な場合があります。

その場合、インプラント自体がゆれてしまう場合があります。

 

・インプラント周囲炎

インプラント治療が終わっても、毎日のセルフケアが十分でないとインプラント周りの歯ぐきが炎症を引き起こして「インプラント周囲炎」になる可能性があります。

インプラント周囲炎が進行すると、歯ぐきだけでなく顎の骨にまで影響を及ぼして減少し、インプラント体がグラグラ揺れてしまう場合があります。

 

インプラント周囲炎の大きな要因は、歯ぐきの境目にひそんでいる細菌で歯周病に似た症状ですが、インプラントの場合「歯根膜」という緩衝する部分が無いため、進行が早い特徴があります。

 

インプラントのねじがゆるんだままだとどうなる?

ねじがゆるんだまま放置していると、インプラント体や被せ物に下記のような不具合が起きる可能性があります。

 

・噛み合わせの不具合が起きる

・インプラント部分やねじ部分の破折

・被せ物が外れる

・インプラント周囲炎の悪化

 

そのため、ねじのゆるみが気になったらすぐに歯科医院に相談することが大切です。

 

インプラントのねじのゆるみの対策とは

 

・アバットメントのゆるみが原因の場合

アバットメントがゆるんでいる場合には、正しい力加減でねじを締めなおす必要があります。

また、アバットメントが劣化していて、ねじがゆるんでいる場合にはパーツを交換する場合もあります。

 

・噛み合わせのアンバランスが原因の場合

噛み合わせの調整は、定期的なメンテナンスの時にも行われますが、噛み合わせのバランスが悪い場合には被せ物の調整を行うことがあります。

強く当たっている部分を調整することで、インプラントへの負担を軽減できます。

 

また、歯ぎしりや食いしばりで負担がかかっている場合には、無意識で行っていることも少なくないため、「マウスピース」を製作して使用しましょう。

寝ている時にマウスピースを使用することで、インプラントへの負担を軽減できる場合があります。

また、日中に食いしばりがあると自覚がある場合には、日中の使用をお願いする場合もあります。

 

インプラントとの結合が不十分の場合

 

インプラントと骨の結合が十分でない場合には、再手術が検討されます。

インプラントが適切な角度や位置に埋入できるように、インプラント手術を行います。

また、オーバーヒートがないように、注水もしっかり行うことが大切です。

 

インプラント周囲炎が原因の場合

インプラント周囲炎を予防するためには、毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスによるクリーニングを行うことが重要です。

毎日歯磨きをしていても苦手な部分などに汚れが残ってしまうことがあるため、歯科医院でも汚れをクリーニングして口内環境を整えます。

 

【まとめ】

インプラントのねじがゆるむ原因はいくつか考えられますが、その原因に対応する対処法を行うことが大切です。

そのためには、定期的にメンテナンスを受診して何か起きる前に対処できるような環境作りをしましょう。

当院では、多くのインプラント治療を行っておりますので、インプラントをご希望の方はお気軽にご相談ください。

 

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