インプラントコラム
COLUMN
インプラントの痛みが不安な方へ 麻酔・術後の症状・腫れの経過を解説
25.11.30
インプラント治療を検討されている方から、よくいただく質問のひとつが
「治療はどれくらい痛いのですか?」というものです。
歯ぐきを切開したり、顎の骨にインプラントを埋め込むイメージが「きっと痛いはず…」と不安に感じるのではないでしょうか。
しかし、インプラント治療では、しっかりと麻酔を行い、術後のケアも適切におこなうことで、痛みや腫れをかなり抑えることができます。
そこで今回は、治療中の麻酔の効き方、処置後に感じやすい痛みや腫れの程度、痛みが強く出やすいケース、回復を早めるためのポイントなどを解説します。
インプラント手術中の痛みは?

最初にお伝えしたいのは、インプラント手術中はしっかり麻酔を効かせているため強い痛みを感じることはほとんどないということです。
その理由は、次の2点にあります。
1 局所麻酔で痛覚をコントロールできる
インプラント手術では、通常の歯科治療と同じ局所麻酔を使用します。
むし歯の治療などにも使用されますが、量などをコントロールすることで痛覚をコントロールします。
痛みを伝える神経をしっかりブロックすることができ、処置中に感じるのは「振動」や「押されるような圧力」程度です。
2 不安が強い方には静脈内鎮静法の併用も可能
静脈内鎮静法は、鎮静薬を点滴しながらリラックスした状態で治療を受けることができます。
眠っているようなうとうとした感覚になるため、治療中の緊張を和らげる効果が期待できます。
「手術が怖い」「緊張してしまう」という方には、併用することも可能です。
局所麻酔で痛みをコントロールすることができますが、振動などを感じることもあるため、不安な方は静脈内鎮静法という選択肢があります。
手術後の痛みはどれくらい?一般的な痛みの経過

インプラントは外科処置を行うため、麻酔が切れたあとに多少の痛みが出るのは一般的な反応です。
ただし、多くの患者さんが「想像していたより痛くなかった」とお話しされます。
術後の痛みのピークは?
インプラント手術後の痛みのピークは術後6〜12時間ほどが多く、翌日〜2日目にはゆっくりと和らいでいくことが多いでしょう。
3〜4日目には生活への影響はほとんどないことが多いです。
処方された痛み止めを適切に服用すれば、日常生活に支障が出るケースはほとんどありません。
痛みが比較的軽く済む理由
最近では「フラップレス手術(切開を伴わない方法)」が普及しており、手術時間を短縮したり、歯ぐきを切開したりしないため、手術後の経過が良い傾向があります。
切開や剥離の範囲が少なくて済むことが多い。
こうした技術の進化により、インプラント手術後の痛みは年々軽減されています。
腫れはどのくらい続く?

腫れは見た目に影響するため、痛み同様に気になるポイントではないでしょうか。
腫れの程度や持続期間には個人差がありますが、一般的には次のような経過をたどることが多くなります。
腫れの主な経過
・術後1〜3日が腫れのピーク
・その後ゆっくりと落ち着き、1週間程度でほぼ目立たなくなる
・まれに内出血(青あざ)が出ることもあるが、2週間ほどで自然に消える
また、腫れの出やすさには部位による違いもあり、上顎より下顎、奥歯より前歯のほうが腫れの軽い傾向があります。
痛みや腫れが出やすいケースとは?

基本的には大きな痛みが出にくいインプラント治療ですが、次のようなケースでは、通常より痛みや腫れが出やすい傾向があります。
・インプラントを複数本埋入した場合
処置範囲が広くなるため、周囲の組織への負担が大きくなり、腫れが出やすくなります。
・骨造成(GBR・サイナスリフト)を併用した場合
骨の再生を促す処置は外科的侵襲が大きく、腫れや治癒までの時間が長くなる傾向があります。
・抜歯即時埋入を行った場合
抜歯した孔にそのままインプラントを埋入するため、術後に腫れが出やすいことがあります。
・喫煙習慣がある場合
喫煙により血流が悪くなるため、酸素や栄養が十分に運ばれにくく、治りが遅れ、炎症や痛みが強く出る可能性があります。
・糖尿病などの全身疾患がある場合
特に糖尿病は、血糖のコントロールが十分でないと、免疫力が低下しやすくなります。
そのため、治癒能力が低下しやすく、腫れや痛みが長引くことがあります。
術後の痛みや腫れを早く和らげるためのポイント

インプラント治療後の痛みや腫れは、患者さんご自身の生活習慣によっても大きく左右されます。
以下のポイントを意識することで、治癒を促し、症状を抑えやすくなります。
・患部を冷やす
頬の外側から保冷剤で冷やすことで、炎症や腫れを緩和しやすくなります。
※氷を直接肌に当てるのは避け、必ずタオルなどで包んで使用してください。
・激しい運動・長時間の入浴・飲酒を控える
血流が過度に増えると腫れが悪化することがあります。
入浴はシャワー程度にし、飲酒は数日間控えるのがおすすめです。
・傷口を指や舌で触らない
触れることで刺激になったり、細菌が入り炎症を引き起こす可能性があります。
・処方された薬を正しく服用する
痛み止め・抗生剤は、指示通りに服用することが大切です。
特に抗生剤は途中でやめると感染リスクが高まるため、必ず指示通り飲み切りましょう。
・喫煙を控える
喫煙は血流を悪くし、治癒の遅延や痛み・腫れの悪化につながります。
治療期間中は可能な限り禁煙することをおすすめします。
痛みが強い場合は早めに受診を
インプラント治療後には、軽度の痛みや腫れがみられることは珍しくありませんが、次のような症状がある場合は注意が必要です。
・強い痛みが3日以上続く
・発熱がみられる
・出血がなかなか止まらない
・膿が出る、または強い臭いがする
これらの症状がある場合、感染や治癒の遅れが生じている可能性があります。
早めに歯科医院へご連絡・受診し、適切な対応を受けましょう。
【まとめ】
麻酔の技術や手術方法の進歩により、インプラント治療は手術中の痛みがほぼなく、術後の症状も数日で落ち着くケースが大半です。
・手術中の痛み 局所麻酔がしっかり効くため感じないことが多い
・術後の痛み 1〜3日ほどで徐々に軽くなる
・腫れ 1週間ほどでほとんど目立たなくなる
複数本の埋入や骨造成の併用、全身状態によっては症状が強く出ることもありますが、多くの場合、術前の丁寧な説明と適切な術後ケアで十分にコントロールできます。
当院は多くのインプラント治療を行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。






