インプラントコラム
COLUMN
インプラント治療とその治療期間について
18.08.22
インプラント治療とその治療期間について。治療法と治療期間についてお答えします。
治療は、失った歯の本数や顎の骨の状態によって、様々な治療法を選ぶことができます。治療方法によって治療期間も変わってきます。
それぞれの症状に適した治療方法と期間などをご説明いたします。
一般的な治療期間や通院回数
治療では手術を2回するのが一般的です。1度目の手術で埋め入れたインプラントが、骨としっかり結合する期間を設けているため治療期間が長めになります。
2回目の手術は、上部構造を被せる手術です。1回目の手術の数か月後、インプラント体と被せ物をつなぐアバットメントという土台を装着するために短時間で終わる手術をします。
治療期間は、個人の症状や失った歯の本数・場所、顎の骨の状態で異なってきます。また、手術方法によっても治療期間は変わってきますが、目安として3~10か月ほどです。顎の骨がない場合や、インプラントを支える量に足りない場合に、骨を増やす補助手術をします。その場合は、骨が再生されるのにさらに時間がかかり、治療期間が長くなります。
通院回数は10回前後が平均で、これも個人差が大きいです。
2回法のメリットとデメリット
2回法インプラントのメリット
- 骨とインプラントがしっかり結合したことを確認できる
- 十分な結合期間があるため、細菌に感染するリスクが低い
- 多くの症例に適用できる
- 症例数や治療している歯科医院が多い
2回法インプラントのデメリット
- 手術を2回行う必要がある
- 通院や費用が増える
※2回目の手術は、アバットメントを取り付けるための手術なので、低侵襲で短時間で終わることが多いです。
インプラントが即日でできる治療法
手術を2回するのではなく、1回のみの手術で治療する方法です。
1回法の治療は、インプラント体と人工歯の土台であるアバットメントが一緒になっているタイプを使います。インプラント体を埋め入れる手術のときに、歯茎を被せずに連結部分のアバットメントだけ外に出しておく治療法です。
1回法インプラント治療の流れ
使用する種類によって異なります。
- 1ピース法
インプラント体とアバットメントが一体になったものを埋入します。
- 2ピース法
インプラントの部分にアバットメントを連結したまま、埋入します。
インプラントと骨が結合するまで1~6か月ほど待ちます。インプラント体と骨が結合して噛み合わせをチェックし、人工歯を付けます。
1回法インプラントのメリット
- 歯肉の切開が1回なので、患者の負担が少ない
- インプラント体とアバットメントの一体型なので、耐久性がある
1回法インプラントのデメリット
- 骨が薄い場合の再生手術を併用した場合、感染症の可能性が高くなる
- 被せ物が限られてくる
1回法は主に「即時荷重インプラント」と「抜歯即時インプラント」などがあります。
それぞれの治療の内容などを詳しくみていきましょう。
即時荷重インプラント
即時荷重インプラントは、手術後に土台と仮歯をすぐにつける治療法です。即時荷重インプラントはすぐに仮歯をいれるので、食事や見た目もなどに不都合を感じることはが少なくなります。
即時荷重インプラントのメリット
- 仮歯をつけることで、機能的・審美的に満足できる
- 通院回数や費用が抑えられる
即時荷重インプラントのデメリット
- インプラントの埋入と被せ物の手術を1回で行うため、手術時間が長い
- 埋め入れる骨の量や質が良いものでないと手術を受けることは難しい。
- 扱っている歯科医院の数が少ない。
抜歯即時インプラント
抜歯即時インプラントは、歯を抜歯した後すぐにインプラントを埋め入れる治療法です。抜歯して穴があいている状態の隙間などに人工の骨を埋め、インプラントを埋め入れます。
従来なら骨が安定したり、穴の傷が治ったりするまで、治療はしませんでしたが、治療技術や開発により、歯を抜いた直後に入れることができるようになりました。
歯を失った後は、時間が経つと骨が徐々に痩せていき、インプラント体を埋め入れるのに十分な量の骨がなくなることもあります。骨を増やす手術は患者の体や費用面の負担経増えていきます。
抜歯即時インプラントは歯のない時間がないので顎の骨がやせません。また、抜歯直後は治癒能力が高まっており、骨との結合も早いことがあります。
歯や歯茎の状態から、歯を抜いたほうが良かったり、抜歯が必要な状態の場合に選択肢にあがってきます。
抜歯即時インプラントのメリット
- 傷の治りが早い。
- 1回で手術がすむ
- 歯茎を切り開かなくてよい
抜歯即時インプラントのデメリット
- 抜歯の傷口から細菌が入って、結合しない可能性が高まる
- 患者の顎の骨の量が必要である
抜歯即時インプラントができないケース
- 口腔内に感染する原因となりそうな歯周病などの症状がある場合
- 顎の骨の量などが少なく、しっかりと固定しない可能性がある場合
- 他の病気などで、傷の治癒に時間がかかりそうな場合
骨を増やす手術
毎食時の咀嚼の力や噛み合わせに耐えるため、しっかりとした顎の骨の厚さや量が十分ないと、インプラント体を固定することはできません。
治療を希望する場合、CTやレントゲンなどの検査後に、顎の骨が少ない人には骨を増やす手術があります。
GBR
骨が痩せている人にインプラントを支えられる必要な量まで、骨を再生する治療です。
歯を失ってからしばらく経っていたり、歯周病が進行していたりすると、顎の骨が少なくなっていることがあります。
GBRは患者の体から骨をとってきたり、人工の骨を足したりして、骨の組織を再生させる手術方法です。4~6か月ほどで骨が再生するといわれています。
サイナスリフト
上顎の骨の量が足りない場合、上顎洞という上顎の上にある空間にインプラントが突き抜けてしまい、しっかりと固定されません。そこで、上顎洞の空間に骨を再生させる材料を入れて、骨を再生させます。
上の歯茎と骨を削って上顎洞に骨を再生させるので、骨が出来るまでに3~6か月ほどかかります。
ソケットリフト
サイナスリフトと同じように上顎の骨の量が少ない時の治療法です。抜歯した箇所から骨を再生させる材料をいれるので、傷口が小さく負担が少ないです。
通常の治療は3~10か月を必要とし、手術の回数は2回かかります。
治療の手法としては、「1回法」と「2回法」があり、違いは歯茎を切開する手術の回数で、1回法の場合、治療期間を短くすることができます。1回法を希望する場合も、患者自身の歯や顎の状態、全身疾患、感染のリスクの有無なども関係してきます。
一般的なのは骨とインプラントがしっかりと結合したことが確認できる2回法です。1回法を希望する場合には歯科医院に相談するのがよいでしょう。