インプラントコラム
COLUMN
嘔吐反射の負担を減らしてインプラント治療ができる?嘔吐反射の対策とは
21.03.24
歯科治療をしたくても、おえっと吐き気がして受けられないことはありませんか?
普段の治療は大丈夫でも、型取りをする時に気持ちが悪くなってしまう患者様もいらっしゃいます。
ひどくなると口の中に物を入れるだけでえづいてしまうこともあるので、歯科治療を行いたくても受けられないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は嘔吐反射とその対策について詳しくご紹介します。
嘔吐反射とは?
嘔吐と聞くと吐いてしまうイメージが多いかもしれませんが、歯科での嘔吐反射とは歯科の治療をする時や歯磨きの時などに『おえっ』と強い吐き気がする症状のことをさします。
嘔吐反射が出やすいのが型取りをする時の材料が入った時や歯科のレントゲン撮影の時ですが、嘔吐反射がひどい方は『口の中に器具が入るのも気持ち悪い』『型取りの材料を見ただけでも吐き気がする』といったこともあります。
嘔吐反射は身体を守る反応として起こるのですが、歯科の場合には以前行った歯科治療の不安や恐怖心が関係していることが多く、心理的な面が関係しているといわれています。
心理的な嘔吐反射の対策は気持ちを落ち着かせてリラックスした状態で行うと嘔吐反射を抑えることができます。
ご自身でできる対策としては
・できるだけ寝た状態ではなく、起きた体勢で治療をする。
・レントゲンや型取りの時はゆっくり鼻で呼吸して、少しあごを引く。
・治療以外のことを考える。
などがあります。
リラックスしてほかのことを考えやすくするためにヘッドフォンで音楽を聴きながら治療する方法もあります。
嘔吐反射が強い方は入れ歯がつらい?
歯を失った時の治療の選択肢に入れ歯がありますが、嘔吐反射が強い方は入れ歯を作製する型取りができずにそのままになってしまうことがあります。
歯を失ってしまうと左右の歯が倒れてしまう場合や、かみ合わせの歯が少しずつ伸びてしまうのでお口の中のバランスが崩れてしまいます。
また、型取りができて入れ歯を使用する時には、寝る時にはずして洗浄するので、毎日取り外しをする必要があります。
嘔吐反射がある方は入れ歯を入れる時にえづいてしまうケースもあるので、入れ歯を使用することがストレスになってしまいす。
そのような場合には入れ歯治療ではなく、固定式のインプラントをおすすめします。
インプラントは入れ歯と違い取り外すことがないので、嘔吐反射のある方でも無理なく使用ができます。
また、インプラントの手術であれば、静脈内鎮静法の麻酔を使用してリラックスした状態で治療を受けていただくことも可能です。
静脈内鎮静法とは?
静脈内鎮静法は、静脈に麻酔を点滴する鎮静方法です。
通常、インプラント治療は局所麻酔をすると、ほとんど痛みは感じることはありません。
ただ、不安や恐怖心を取り除くことはできないので、患者様によってはストレスを感じてしまうこともあります。
静脈内鎮静法を行うと、全身麻酔と違って意識は残っているので、『うとうとした眠ったような状態』『ほろ酔いのような感覚』になると表現されることが多いです。
意識が無くならない程度に麻酔をかけるので、恐怖心や不安を感じずに『いつの間にか手術が終わっていた』『寝ている間に終わっていた』と感じる方が多いようです。
静脈内鎮静法は多くの患者様に使用されていて、安全性の高い方法ですが鎮静法について広い知識と経験を持った麻酔の医師の立ち合いのもと、全身管理を行います。
そして、何かおこった時のために、トラブルに対処ができる設備も必要になります。
全身麻酔との比較
静脈内鎮静法のほかには全身麻酔もありますが、全身麻酔の場合には意識もなくなり、入院の必要があります。
また自発呼吸もできなくなるので、呼吸も管理する必要があります。
静脈内鎮静法は麻酔が切れるまで、院内で休んでもらいますが、その日のうちに日帰りで帰宅することができて、患者様の負担も少ない方法です。
静脈内鎮静法の流れ
1 はじめに静脈に点滴の針をさします。
点滴の針は細いものを使用するので、痛みをゼロすることは難しいのですが、注射が苦手な患者様も負担が少ないです。
点滴をする場所は基本的には腕ですが、腕に点滴がしにくい場合には手に行うこともあります。
2 スムーズに点滴ができると鎮静剤を入れていきます。
鎮静剤の量は患者様の様子をみながら少しずつ入れていきます。
鎮静剤の量によって完全に眠った状態か少し話ができる状態になるか選択することができて、不安感の程度によって量を調整していきます。
3 局所麻酔を行います
静脈内鎮静法が効いてきたことを確認してから、インプラント部分に局所麻酔を行います。
お口の部分の麻酔効果はないので局所麻酔をして痛みがないようにコントロールしていきます。
静脈内鎮静法を行う際にはモニターで心拍や脈拍を確認して患者様の体調管理を行います。
細かな体調の変化をインプラント中も確認してトラブルがおきないように対応しています。
静脈内鎮静法の注意点
静脈内鎮静法を行った後は歯科医院で少し休んでから帰宅していただきますが、ふらつきなどがあることも考えられるので、帰宅する際には車の運転は控えていただきます。
また体調を管理するために、口紅やマニュキュアを取って、体調の変化が分かるようにします。
インプラント治療も行っているので、当日は自宅で安静にしていただきます。
静脈内鎮静法を行ってリラックスした状態でインプラント治療を受けることは、体調の管理も行うので持病のある方でも安全に治療を進めることができます。
また、嘔吐反射のある方は特に眠ったような状態になる静脈内鎮静法を行うことで嘔吐反射の心配もなくなります。
嘔吐反射がある方は歯科に対して不安感があることが多く、不安や緊張に配慮できるインプラント治療を行えるようにカウンセリングから患者様の希望を聞いて治療計画を立てます。
気になることや心配なことはこのカウンセリングの段階で相談して解決してからインプラントを開始していきます。
インプラント治療がしたくても嘔吐反射が気になる方はできるだけ対策をしてインプラント治療ができるようにしていきますので、お気軽にご相談ください