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少なくなった骨を再生できる?骨の再生療法とは

21.05.16

歯を失った時の選択肢としてインプラントが普及してきました。
ただ、インプラント治療をするためにはあごの骨が十分にあることが大切です。
それではあごの骨が少なくなっている場合にはどうしたら良いのでしょうか?
そこで今回は骨が少ない方でもインプラント治療を可能にする骨の再生療法について詳しくご紹介します。

 インプラント手術する時の骨の重要性

 

あごの骨は加齢や歯周病が進行すると徐々に少なくなってしまいます。
 1度減少した骨は、自然に元通りになることはないので、できるだけ骨が減少しないように予防することが大切です。
天然の歯はあごの骨が減ってしまうと歯を支える部分が少なくなってしまうので、徐々にグラグラする場合やひどくなると歯が抜けてしまうこともあります。
インプラントの手術は、歯が無くなった部分に人工歯根を埋め込んで、その部分を土台にして被せ物をしてかむ機能を回復する治療です。
そのため、あごの骨の厚みや高さが十分にあるとインプラントをしっかり支えることができるので、骨がしっかりあることは大切です。
骨が少なく、インプラントを支える部分が少なくなってしまうとインプラントが骨を突き抜けてしまうことや炎症を起こす可能性があり、トラブルの原因になることがあります。
そのため、インプラントを行うためには、あごの骨が十分にあることが条件になります。

 骨が少なくなるとインプラントできないの?

骨が減ってしまうと、インプラントをしっかり支えることができないのでインプラントが安定せず、トラブルの原因になる可能性が高くなります。
そのため、以前は骨が少ないとインプラント手術ができませんでした。
現在は骨の再生する骨再生療法の治療が普及しているので、骨が少なくなった方でも骨造成の治療をするとインプラント手術ができるようになってきました。
骨造成の治療は骨を移植するなどいくつか種類があり、骨が再生するように促してインプラント手術を可能にする治療です。

骨造成手術とは?

インプラントのカギを握るあごの骨ですが、歯を失ってから長い期間ブリッチや入れ歯にしてインプラント治療を希望される方の場合には、歯が抜けた部分のあごの骨が少なくなっているケースが多くなります。
これは、ブリッチは左右の歯で橋渡しをするので、歯が無い部分はあごの骨に刺激が伝わらず少しずつ骨が減少してしまうためです。
入れ歯に関しても同様にあごの骨には刺激が伝わらないので、長期間使用していると徐々に骨が減ってしまうことが多いです。
そうすると、インプラントをするための骨が不足してインプラント手術が難しくなってしまいます。
骨造成手術は、骨の再生を促す治療で自分の骨を少し採取して足りない部分に移植する方法や人工的な材料を使用して再生を促す方法もあります。
また、骨造成の手術には人工的な材料を用いて行う比較的負担の少ないものから大がかりなものまでいくつかあります。

 サイナスリフトとは?

 上あごの部分が5ミリ以下の時に適応されることが多い治療法です。
 サイナスリフトは歯ぐきの頬側の部分を切開して、空洞を直接持ち上げて持ち上げたス
ペースに骨充填剤を入れて骨が再生されるように促す治療法です。

STEP1 
歯ぐきを切開して、空洞部分を直接持ち上げてスペースができた部分に骨充填剤を入れ
ていきます。

STEP2
切開した歯ぐきと骨を元に戻します。

STEP3
骨が安定したのを数カ月待ってからインプラントを埋入します。

ソケットリフトとは?


 

上のあごの部分の骨が3~5ミリ以上の場合に適応されることが多い治療法です。
 上のあごの部分には『上顎洞』と呼ばれる空洞があります。
 この上顎洞と呼ばれる空洞部分を押し上げて骨充填剤を入れて骨が再生されるように促
す方法です。 

STEP1
空洞の境目にある膜を傷つけないようにドリルであごの骨に穴をあけていきます。
STEP2
あごの骨に穴をあけた部分から専用の器具を使用して膜を押し上げて、その部分に骨充
填材を入れていきます。
STEP3
安定するまで数カ月待って人工骨が自分の骨に変わった時にインプラントを埋入します。

サイナスリフトとソケットリフトの違いとは?

サイナスリフトとソケットリフトの違いは骨の高さによっても治療法が異なりますが、どの部分からアプローチするかという点が異なります。
ソケットリフトの方がインプラントと同時に行えるケースもあり、身体の負担が少なくなります。

 GBR法

即時荷重インプラント

GBR法もあごの骨の高さや厚みが足りない時に行う治療法です。
インプラントを埋入した露出面に『人工的な骨の変わりになる材料』や『自分の骨』を骨が足りない部分に置いていきます。
その上から人工膜で覆い、ピンで固定して骨が再生するまで4~6カ月程度待ちます。
インプラントとしっかり固定したのを確認してから、人工歯をつけていきます。

STEP1 
インプラントを埋入していきます。
骨が十分にある場合にはインプラントが骨の中におさまりますが、骨の再生療法が必要な方はあごの骨が少なくなっているのでインプラントが露出してしまいます。
その部分を補うために骨の再生を促します。

STEP2 
骨が足りない部分に骨充填剤を入れていきます。
人工的なものを使用することもありますし、自分の骨を使用する場合にはほかの部分から採取して骨を入れていきます。

骨充填剤を入れていくと、骨を形成する骨芽細胞が増えて骨が再生するのを促します。

STEP3
人工的な膜のメンブレンで覆います。
メンブレンにも種類があり、自然に吸収するタイプと骨が再生すると取り出す必要があるものがあります。

自然に吸収するタイプは比較的骨の減少が少ない時に使用して、取り出す必要があるタイプは骨をたくさん必要とする場合に使用します。

STEP4
骨が再生したのを確認して、被せものをつけていきます。

インプラント手術をするためには、骨が十分にあることが大切なので、骨が減らないように歯周病が進行しないためにしっかり汚れを落とすことは大切ですね。
あごの骨が減ってしまった場合でも、骨の再生療法で骨を再生してインプラントが可能になることもありますので、骨が少ないとインプラント治療を断られた場合でも1度ご相談くださいね。