インプラントコラム
COLUMN
インプラントはむし歯にはならない? 汚れが残っていると起こる可能性があるトラブルとは
24.03.31
歯を失う原因第2位のむし歯は、自覚症状が少なく、いつの間にか進行することも少なくありません。
気づいた時には進行しており、大切な歯を削ることが多いです。
インプラントは、ご自分の歯が残っているわけではないので、むし歯にはなりません。
ただし、インプラントでもトラブルが起こる可能性があります。
そこで今回は、汚れが残っていると起こる可能性があるトラブルについてご紹介します。
むし歯とインプラント
むし歯は、むし歯菌による細菌感染症で、むし歯菌が糖分を栄養にして酸を発生します。
ただ、唾液には、歯を修復する再石灰化の働きがあるので、すぐにむし歯で穴があくわけではありません。
むし歯菌が酸を発生するには、糖分が必要です。
むし歯菌がひそんでいる歯垢と頻繁に「糖分」がお口の中にある状態が続くと唾液の再石灰化の働きが追い付きません。
そうすると、むし歯が進行して歯に穴があきます。
インプラントは、歯が残っていないので、むし歯になることはありません。
ただし、汚れが残っている状態が続くと「インプラント周囲炎」になります。
インプラント周囲炎になると、さまざまなトラブルを引き起こしてしまうため、予防することが大切です。
さまざまなトラブルを引き起こすインプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎とは、歯周病菌が歯ぐきに炎症を引き起こす疾患です。
歯周病とよく似ていますが、天然歯とインプラントを比較すると、インプラントの多くは3つのパーツに分かれており、汚れが入りこみやすくなっています。
また、天然歯には歯根膜というクッションになる膜がありますが、インプラントにはありません。
そのため、ダメージを受けやすく、進行しやすい特徴があります。
インプラントをしている方が、インプラント周囲炎になると、自覚症状が少なくあっという間に進行してしまいます。
歯ぐきの炎症が起きると、顎の骨にまで広がって、インプラントを支えている顎の骨を溶かしてしまいます。
顎の骨は、インプラント体を支える大切な役割をしているため、この顎の骨が少なくなるとインプラントがグラグラしてきたり、抜け落ちてしまったりする可能性も。
インプラント周囲炎の進行状況とは?
インプラント周囲粘膜炎
インプラントの周りの粘膜に炎症が起きている状態です。
歯ぐきが腫れて、歯ブラシが当たると出血しやすくなります。
インプラントの周りに汚れが残った状態が続くと発症します。
まだ、顎の骨にまでは炎症が起きていません。
インプラント周囲炎
歯ぐきや粘膜の炎症だけでなく、顎の骨にまで炎症が広がった状態です。
歯ぐきから出血するだけでなく、膿が出る場合もあります。
症状が進行すると、歯ぐきが退縮してインプラントが見える場合もあります。
さらに、支える顎の骨が少なくなっているため、インプラントが動かく様になる場合もあります。
炎症が続くと、インプラントを支える顎の骨がさらに痩せてしまい、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
インプラントに悪影響があるだけでなく、歯周病菌が増殖しているので、血管を通じて全身をめぐります。
そのため、歯周病菌が各臓器で脳血管疾患や心臓血管疾患などを悪化させてしまいます。
また、糖尿病は歯周病菌と相互関係があることが分かっており、歯周病が安定していると、血糖値のコントロールも良くなる場合があることが分かってきました。
インプラント周囲炎は歯周病と同様にいつの間にか進行してしまう疾患です。
そのため、インプラント周囲炎にならないようにお口の中を清潔に保ちましょう。
せっかく入れたインプラントを長い期間よい状態で使い続けるためには、歯周病菌がひそんでいる汚れを除去することが大切です。
定期的に歯医者でも汚れを落とす「クリーニング」を行いますが、毎日のセルフケアが十分でないとすぐに汚れがついてしまいます。
・大切なセルフケア
毎日の丁寧なセルフケアが欠かせません。
歯ブラシだけでは汚れが残ってしまいがちなので、歯と歯の間は「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」を使って細かい汚れを落としましょう。
また、歯ぐきの逆目や汚れが取れにくい部分には、1つの毛束になっている「タフトブラシ」などを併用して汚れを落としましょう。
歯医者でもクリーニングの際にも、汚れが残っている部分を確認して、そのブラッシング方法をお伝えします。
また、デンタルケアグッズも患者さまに合った物をご提案いたしますので、どのデンタルケアグッズを使用したらよいか分からない方もお気軽にご相談ください。
・定期メンテナンス
インプラントをよい状態で保つためには、定期メンテナンスを受けることが大切です。かみ合わせや歯ぐきの状態を検査して、インプラントに不具合がないかチェックをします。
また、見るだけでなく、レントゲン撮影をして、顎の骨の状態やインプラントの状態を確認します。
インプラント周囲炎は自覚症状が少ないので、汚れが残っていないかも確認します。
汚れが残っている部分は専用の機械で除去して、お口の中を清潔に保ちます。
何かトラブルが起きてから通院するのではなく、インプラントに不具合が起きないように定期的にメンテナンスをすることで、ほかの歯の健康を保つことにもつながります。
インプラントはメリットが多いが、トラブルになると?
インプラントは、しっかり噛むことができて、治療するためにほかに歯に負担をかけることもありません。
また、セラミックの被せ物を入れると、天然歯と同様に自然な見た目を手に入れられます。
セラミックはツルツルしているため、汚れが着きにくい特徴もあります。
このようにインプラントはメリットが多く、素晴らしい治療ですが、インプラント周囲炎になると進行が早く、トラブルにつながってしまいます。
そのため、お口の中を清潔に保ってインプラントを長持ちさせましょう。
【まとめ】
インプラントはむし歯にはなりませんが、インプラントのトラブルになるインプラント周囲炎になります。
悪化すると、インプラントがグラグラしてしまうこともあるため、早期に対応することが大切です。
そのためには、定期メンテナンスを受けてお口の健康を守りましょう。
当院では、インプラント治療後も定期メンテナンスを受けていただいて長く良い状態で使い続けることができるようにサポートいたします。