基礎知識

インプラント治療はどんな手順で進められるの?

19.01.28

インプラント治療の手順を知っておこう!

インプラント治療の手順を知ろう

治療は短くても3ヶ月以上、長くなると半年から1年以上もの期間を要します。なぜそれほど時間がかかるのかをご理解いただくために、まずは治療がどのような手順を経て進められるかをご紹介していきましょう。

治療の大まかな手順

治療の手順

はじめに、治療の開始からインプラントがお口の中に入るまでの大まかな流れにつてご紹介していきます。

Step1:カウンセリング

治療を始める前にカウンセリングをおこない、患者様の現在の症状やお悩み、また治療に対するご要望やご予算などをお聞きしていきます。また治療では外科的な処置が必要となるため、患者様の健康状態やお薬の服用などについても確認していきます。
くわえてカウンセリングではインプラントのメリットとデメリット、治療の流れなどを丁寧にご説明していきます。治療についてご不明な点、ご不安な点などがあったら、何でも気兼ねなく担当医にご相談ください。

Step2:術前検査・診査

インプラント治療に必要な種々の検査(虫歯・歯周病検査/レントゲン診査/CT検査 等)をおこないます。治療で最も重要となるのが、インプラント埋入部位の骨量です。「インプラントを支えられるだけの十分な骨が残っているか」「安全にインプラント治療をおこなえるか」などを、この段階で慎重に診査していきます。

Step3:治療計画の立案・インフォームドコンセント

Step2の診断結果を元に、どのように治療をすすめていくか治療計画を立案し、患者様にその内容をご説明していきます。患者様に十分ご理解、ご納得いただけたら治療の開始です。

Step4:虫歯・歯周病の治療

治療をおこなう部位以外に虫歯や歯周病がある場合、そのままにしておくとインプラント治療の成功率を低下させてしまいます。したがってまずはそちらの治療を優先的におこなっていきます。

Step5:インプラント手術(一次手術・二次手術)

インプラントは「フィクスチャ―(人工歯根)」と「アバットメント」「上部構造(人工歯)」の3つで構成されます。治療ではまずフィクスチャ―を顎の骨の中に埋め込む手術をおこないます。オペは通常、「一次手術」と「二次手術」の2回にわけておこなわれます。

Step6:上部構造(人工歯)の作製・装着

二次手術後に歯ぐきの傷口が落ち着いたら、歯型を取って「上部構造(人工歯)」の作製に取りかかります。完成した上部構造を装着したら、インプラント治療の一通りの流れが終了です。

Step7:メンテナンス

インプラントは装着後も定期的なメンテナンスが必要です。インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病と同じような病態の「インプラント歯周炎」を引き起こすと、インプラントの早期脱落の原因になってしまいます。そのためお口の状態に応じて1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月ごとの定期メンテナンスをおこないながら、インプラントの長期安定を図っていきます。

インプラント手術の手順

次に上記の「Step5」で挙げた、インプラント手術の手順について詳しくご紹介していきます。

インプラント手術の手順

一次手術

一次手術では術前の治療計画を元に、顎の骨の中にフィクスチャ―を埋入していきます。手術部位には十分な麻酔をおこないますので、治療中に痛みを感じることはほとんどありません。
具体的な手順としては麻酔後、治療部位の歯ぐきを切開し、インプラント専用のドリルでフィクスチャ―を埋入する部位の骨を削っていきます。そこへフィクスチャ―埋入したら開いた歯ぐきを一旦閉じ、フィクスチャ―と骨が接合するのを待ちます(3~6ヶ月程度)。

二次手術

一次手術で埋入したフィクスチャ―が骨の中で定着したのを確認できたら、上部にアバットメントと仮歯を装着する二次手術をおこないます。手術といっても大がかりなものでなく、埋入部位に麻酔をかけ、ほんの少し歯ぐきを切開するだけで外科処置は終了です。その後、アバットメントと仮歯を装着し、歯ぐきの傷が治るまで様子をみます。

手術を「1回」ですませる治療法もある

インプラント手術には上記のように手術を2回にわけておこなう「2回法」と、すべての工程を1回ですませる「1回法」があります。

患者様にとってメリットが大きいと感じるのは、何かと負担のかかる手術を1回で終わらせられる「1回法」だと思います。ただ開いた傷口を一旦閉じる「2回法」は、フィクスチャ―と骨との接合期間における感染リスクを軽減でき、術後が安定しやすいというメリットがあります。

どちらの術式を選択するかは、患者様のお口の状態やご希望、また歯科医の治療の考え方によって異なります。自身にはどの治療法が適しているのか、まずは担当医とよく相談してみましょう。

骨量が少ないケースでは「骨造成術」が必要

骨造成述

先にも述べたように、インプラント治療ではフィクスチャ―を埋入する部位の骨が十分に残っているかが治療の成否をわけます。もし骨量が十分でないまま手術をおこなえば、インプラントが早期脱落する恐れがあるばかりか、術中に思わぬトラブルを招きかねません。

そこで術前診査において「骨量が十分でない」と判断されたケースでは、手術とは別に、骨の増量を図る「骨造成術」が必要となります。骨造成術のタイミングとしては、一次手術の前におこなうか、もしくは一次手術と同時におこなう場合もあります。

骨造成術をおこなうと、骨の再生や定着を待つ期間がさらに必要となるため、通常のインプラント治療よりも治療期間は長くなります(4~6ヶ月程度)。

治療前に一通りの手順を確認しておきましょう

デメリット

各手順に要する時間は、患者様の骨の状態やインプラントの本数などによって大きく異なります。ただどのようなケースであっても、インプラント治療は他の治療よりも治療終了までに長い期間を要してしまうのは確かです。

もし治療期間中に「今何をしているのか」「あとどのくらいかかるのか」と不安を感じたら、遠慮せずにその都度担当歯科医に問い合わせましょう。また治療をはじめる前に大まかな治療の流れや手順を把握しておくと、インプラント治療をより安心に、スムーズに進めることができます。