基礎知識

聞くに聞けない?!インプラント費用の相場はどのくらい?

19.11.05

近年インプラント治療を取扱う歯科医院も増え、歯を失った際の治療法の選択肢であるブリッジや入れ歯に加え、「インプラント治療」を考える人も少なくありません。しかし、インプラント治療を検討する際の判断材料である費用が不透明なケースも多く、「費用は適当であるのか」、「インプラント治療の相場はどのくらいの金額なのか」疑問や不安を抱く患者さまも少なくありません。そこで今回は、インプラント治療における費用の相場などについてご紹介して参ります。

インプラント治療は保険診療適応されない?

 

風邪をひく、怪我をしたなどの理由から医療機関で診察や治療を受ける場合、それら治療費に健康保険が適応されるように、歯科医院でも歯科領域に生じる疾患に対する治療に対し、健康保険が適応されます。虫歯、歯周病などの一般的な疾患は健康保険が適応され、患者さまが実際に負担する費用は全額の数割程度に抑えられます。

しかし、インプラント治療においては健康保険の対象となる条件が定められ、以下の場合に限りインプラント治療に健康保険が適応されます。

【インプラント治療における、健康保険適応条件】


▼生まれつき顎の骨が1/3以上が連続して無い
▼上顎の骨が1/3以上が連続して無い、鼻腔や副鼻腔へ繋がっている
▼下顎の骨が1/3以上が連続して無い、また疾患により切除が望ましい場合

更には、治療を受ける医療機関の条件が定められています。
▼20床以上の入院用ベッドがある病院の歯科や歯科口腔外科
▼医療機器や医薬品を安全管理できる体制が整っている病院
▼当直体制が完備されている病院
▼上記条件に当てはまる歯科または口腔外科において、5年以上の勤務経験、インプラント治療の経験が3年以上ある歯科医師が2名以上常勤勤務している

これら条件を満たさないインプラント治療の場合は、健康保険は適応されず、自費診療となります。

インプラント費用の相場を知ろう


では、健康保険が適応されない場合のインプラント費用の相場はどのくらいなのでしょうか。インプラント治療はどちらかと言えば高価なイメージをお持ちの人も多いのではないでしょうか。しかし近年では「激安インプラント」なる安価な価格設定を謳うインプラント治療が注目されていますが、トラブルの声が聞こえることからも、適正価格や相場を把握することも重要となっています。

インプラント費用はなぜ高価なの?


では、インプラント治療はなぜ高価な治療費が必要になるのでしょうか。1つ1つ解説していきましょう。

▼清潔な環境設備

まず、インプラント治療は虫歯や歯周病の治療法とは異なり外科手術が必要な治療であり、体内に人工物であるインプラントを埋め込むことからも、治療を行う場合には環境を整え、院内感染対策を徹底しなくてはなりません。

インプラント治療を行うためには、手術室、専用ユニットはもちろんのこと、空調や環境下を整え飛沫感染を防ぐ必要があります。更には患者さま毎にメス、バキューム、インプラント治療専用機器などの衛生管理、グローブ(手袋)、エプロンなどのディスポーザブル使用の徹底を行い、院内感染を防ぐ為の対策を行う場合には、通常の治療より更にコストが必要となります。

コストカットを目的にインプラント治療に相応しい環境下を用意することなく治療を行った場合には、インプラントと歯槽骨の結合が期待できない状態となるだけではなく、感染症を発症する可能性も否定できないために、環境が整った歯科医院を選択する必要があります。

▼信頼のあるインプラントメーカー

近年では様々なインプラントメーカーが誕生し、日本では認可されていない海外製のインプラントの輸入や、安価なインプラントを取扱う歯科医院も増え注目されています。しかし、認可されていない輸入インプラントや安価なインプラントを取扱うメーカーは、いざ修繕が必要となった時に、インプラント事業の撤退や倒産している、またはアフターフォローが充実していないケースも多く見受けられるために注意が必要です。

体内に埋め込む医療機器であるインプラントは、信頼と実績のあるメーカーのインプラントを使用することが重要であり、それらインプラントメーカーは日々、製品の改良・改善を繰り返し患者さまにとってより良いインプラントを提供してくれることからも、コストが必要となります。

▼インプラントに装着する補綴物

せっかく人工歯根であるインプラントを埋め込む治療を行っても、上部構造の人工歯(補綴物)がお粗末なものであったら意味がありません。

審美性や機能性を兼ね備えた、セラミックやジルコニアといった天然歯と見比べても見分けることが困難な程に完成度の高い人工歯を装着することが望ましく、安価な人工歯を装着した場合には、審美性に劣るだけではなく、耐久性や機能性にも劣り、修理や新たに作り直さなければならない状況になりかねず、末永くインプラントを維持するためにも、適切とされる人工歯を装着する必要があり、コストが必要となります。

インプラント費用の相場と内訳は?


以下がインプラント市場における相場の金額と内訳となります。

▼インプラント1本の相場金額・・・30万~50万円
 【内訳】
   ・精密検査1万5千円~5万円
   ・手術10万円~30万円
   ・人工歯10万円~15万円
・定期メインテナンス1回5千円~1万円

インプラントは治療が完了した後も、定期的にメインテナンスを行うことが望ましく、インプラント手術費用の他に、定期的にメインテナンス費用や必要に応じて修繕費が必要となることも、把握しておきましょう。

まとめ


今回は、インプラント費用の相場や、内訳、高価となる理由などについて、詳しくご紹介して参りました。近年インプラントは安価なものから海外輸入製品まで、様々なものが存在しますが、インプラント治療を成功させ、末永く維持するためには、インプラント費用はなぜ高価になる傾向があるのかを把握し、信頼のおけるインプラントメーカーを取扱う確かな技術を持った歯科医師のもと、インプラント治療を行うことをおすすめ致します。