インプラントコラム
COLUMN
インプラント治療を行なう前は口腔環境チェックが必要不可欠!
20.01.27
インプラント治療を行なう前には口腔環境チェックを行い、インプラント治療に適応できる環境内であるのかどうか、チェックする必要があります。「口腔内チェックはどんなことをするの?」「何か検査が必要?」と疑問の声も聞こえてきます。そこで今回は、口腔内チェックとはどのような内容であるのか、詳しくご紹介して参ります。
口腔内チェックはなぜ必要?
インプラント治療は、歯肉を切開し歯を支える役割のある歯槽骨に直接ドリルで穴を開ける外科手術が必要となるために、リスクが伴います。そのため、患者さまのお口の中にインプラントを問題なく埋め込むことができるのか判断するために、口腔内チェックをおこなう必要があります。
口腔内チェックを行わない、またはいい加減な口腔内チェックであった場合には、いざインプラント治療を行なったとしても、インプラントを埋め込むことができないなど手術中にトラブルが起きてしまったり、インプラントが歯槽骨と結合することができなかったりと、様々な問題が生じてしまう恐れがあります。
口腔内チェックの内容は?
様々なトラブルを回避するために行う口腔内チェックとは、どのような内容なのでしょうか。一般的な口腔内チェックは以下の項目をチェックしていきます。
1) 歯肉の状態
インプラント治療は歯肉の状態によっては行うことができません。
歯肉に軽い炎症があった場合には、その炎症と原因が改善されてからの治療となり、歯周病であった場合には、インプラントを支える役割を担う予定の歯肉や歯槽骨が吸収され、例えインプラントを歯槽骨に埋め込んだとしても歯周病が進行していき、最終的にはインプラントが抜け落ちてしまう恐れもあります。
そのため、歯周病であった場合には歯周病治療を行ない、改善のめどが立つまではインプラント治療はおこなえません。
2) 歯槽骨の状態
上記でもご紹介したように、歯槽骨の状態によってはインプラント治療が行えないケースもあり、歯槽骨の状態を確認するために、レントゲン撮影やCT撮影を行います。
一昔前までは、歯槽骨の幅や高さが足りないとインプラントを埋め込むことが難しく、治療を諦めなければならないケースも多く見受けられましたが、現在は以下の治療を行うことで、インプラント治療を受けることが可能となります。
骨造成手術
インプラントを埋め込む十分な歯槽骨の量が望めない場合に適応される骨造成手術は、骨補填材、人工骨、患者さま自身の骨(自家骨)などを活用し、歯槽の量が足りない部位に骨を造成する治療法です。
歯槽骨の状態に合わせ、以下の骨造成手術が適応されます。
サイナスリフト
上顎洞挙上術ともよばれるこの方法は、上顎のみに適応される骨造成手術です。サイナスリフトは大きな外科手術が必要となるラテラルアプローチ法と、傷を最小限に押さえ患者さまの負担を軽減することが可能なクレスタルアプローチ法(ソケットリフト)に分類されます。
GBR
骨を多く増やすことができるGBRは、手術時に大きく歯肉を剥離する必要があるために感染リスクが高く、術後腫れることの多い治療法の1つとなります。
スプリットクレフト
歯槽提分割術とも呼ばれ、歯槽骨を二分割して幅を確保する骨造成手術の1つです。術後はれる場合もありますが、数日で治まります。
ソケットプリザベーション
歯が折れて抜歯が必要となった際に適用となる治療法であり、抜歯することで失う歯槽骨の量を補うために、抜歯後にできた穴(抜歯窩)にCGF、AFGと呼ばれる患者さまの血液から作製された完全自己由来のフィブリンゲルと補填材を詰め、骨の形成を促す方法です。
3) 粘膜の状態
頬の内側や、舌の下などの粘膜に疾患がないか確認を致します。
4) 舌の状態
舌に疾患が無いか確認を行います。
5) 虫歯の有無
虫歯があった場合には、虫歯の治療を行なってからインプラント治療を開始します。
6) 唾液量の状態
唾液の分泌量が極端に少ない場合には、歯周病や虫歯になる要因になるために、唾液の分泌量が極端に少ない場合には、唾液の分泌を促すセルフマッサージなどの指導を行います。
その他チェックする項目は?
インプラント治療を行うためには、口腔内チェックの他に身体の健康チェックも行う必要があります。
1) 血液検査
血液検査を行い、全身疾患の有無や血液感染する恐れのある肝炎やAIDSなどに感染していないか、確認を行います。
2) 全身疾患の有無
患者さまの持病をお伺いし、インプラント治療を行えるか確認します。以下が、インプラント治療が禁忌されている疾患となります。
・血液疾患
・糖尿病
・心疾患
・高血圧
・脳疾患
・循環器系疾患
・腎臓病
・肝臓病
・骨粗しょう症
3) 金属アレルギーの有無
インプラントの多くはチタンと呼ばれる金属で形成されているため、金属アレルギーの有無を確認致します。
金属アレルギーの場合には、どの金属にアレルギー反応があるかが、ポイントとなり、チタンアレルギーではない場合は、インプラント治療を行える場合もあります。
チタンは金属の中で唯一人骨と結合する性質を持つ金属であり、親和性に非常に優れていますが、チタンアレルギーであった場合には、インプラント治療を受けることができません。
4) 喫煙の有無
喫煙している場合には、インプラント治療を成功させることが難しくなっていくため、喫煙している場合には、インプラント治療はおすすめできません。
タバコに含まれるニコチンは、毛細血管を収縮させてしまう作用があるために、インプラントを歯槽骨に埋め込んだとしても、インプラントと歯槽骨の結合に時間がかかってしまったり、傷の治りにも影響を与えてしまったりするため、喫煙している場合はインプラント治療を控える、または禁煙をおすすめする歯科医院も少なくありません。
まとめ
以上、今回はインプラント治療を行うために行われる、口腔内チェックなどについて、詳しくご紹介して参りました。口腔内チェックはインプラント治療を成功させるためには欠かせないものであり、重要なポイントとなります。インプラント治療をお考えの場合には、お気軽にご相談下さい。