基礎知識

インプラントの被せ物までの重要な役割をする仮歯の役割と注意事項とは?

20.02.12

インプラントは手術した後に仮歯の入る期間があります。
インプラントが安定するまでの期間に仮歯を入れるのですが、インプラントはほかの治療に比べて仮歯の期間が長くなります。
その期間中に注意した方が良いことや仮歯はどのような役割をしているのでしょうか?
そこで今回はインプラントの仮歯について詳しくご紹介します。

インプラント治療の仮歯とは?


インプラント治療はあごの骨に人工歯根を埋め込むので、まずインプラントを埋め込む手術が必要になります。
この時、通常はインプラントがあごの骨に定着する期間を必要とするケースが多く3~6カ月程度の期間を置きます。
その期間に全く歯が無い状態はデメリットが多いので仮歯を入れます。
仮歯を入れるタイミングはそのインプラントの方法によっても異なりますが、治療方法によっては、その日のうちに仮歯まで入れることのできる『即日インプラント』もあります。

仮歯が入っている期間は骨の厚みやインプラントの本数などによって異なるので、患者さんによっても期間が違います。
どの程度仮歯の状態かは個人差があるので、歯科医に確認しましょう。

仮歯の役割

歯並びが悪くなるのを防ぐ

歯が無い期間が長くなってしまうと、歯は少しずつ動いてその間を埋めようとしてしまいます。
そのため、歯が無い方に動く場合や、倒れようとしてしまい歯並びやかみ合わせが変わってしまうことがあります。
インプラントが入っていても、その上の部分に何もない状態だと見た目も良くないですし、被せ物が入るためのスペースが少なくなってしまう場合もあります。
仮歯はスペースを確保して、歯並びを防ぐ役割を持っています。

汚れの中の細菌から守る役割

口の中は多くの細菌が存在していて、その中に虫歯菌や歯周病菌の原因になる菌も含まれています。
インプラントは外科手術を行うので、細菌による炎症を起こしてしまうと、インプラントと骨が結合するのを妨げてしまうこともあります。
また、食事をする時にはかむ刺激や熱さなどの刺激もあるので仮歯はそれらの刺激から守る役割も果たしてくれます。

1日で仮歯が入れられる即日インプラント

即日できる治療法

従来のインプラントは骨に埋め込んでから定着させるまでの期間はインプラントに負担をかけないようにすることがルールでした。
しかし、すべての歯がない状態で行う最新のインプラント治療は、インプラントと結合する前でもかんでインプラントが全く動かない条件を満たす場合に即日で仮歯まで入れることができます。

即日インプラントは今まで別々に行ってきた、『抜歯』『インプラント埋入』『仮歯の装着』のすべてがその日のうちに可能になりました。
この治療法では、抜歯と同時にインプラントを埋入してすぐに仮歯を入れるので歯がない期間がないのでストレスが少なく、治療期間が短縮され患者さんの負担が軽減されます。

治療の流れ

オペ当日

1 術前クリーニング

お口の中の状態を確認して、クリーニングをして手術の準備をします。

2 仮歯の型取り

仮歯の型取りをして、作製しすぐに取り付けられるように準備します。

3 麻酔・消毒

手術のために麻酔をして消毒します。
ケースによっては抜歯することもあります。
また、骨造成が必要な場合には骨造成を行うこともあります。

4 インプラント埋入

あごの骨にインプラントを埋入します。

5 仮歯の装着

型取りして作製しておいた仮歯を装着して手術が終了になります。

即日インプラントの特徴

・インプラントを入れたその日のうちにかむことができるのでオペ当日から柔らかいものであればかんで食事ができます。

・治療回数を少なくできるので、忙しい方でも負担が少なくなります。
 
・上あご、下あごで最小4本のインプラントで治療できるので、費用負担が少なく、身体の負担も少なくできます。

・歯がない期間がないので、周りの人にインプラント治療中ということを気づかれず、見た目も手術直後から気にならずに過ごすことができます。

・総入れ歯の方におすすめの治療で失った歯の本数分インプラント治療をする方法に比べて手術の負担を抑えることができます。

即日インプラントの注意点

インプラント手術と同時に仮歯を入れるので、当日から食事することはできますが、固定が弱い状態でかむことになります。
そのため、手術直後は柔らかめのものから食事して、硬いものは避け、細かくして食べるなど工夫が必要です。
また粘着力のあるキャラメルやソフトキャンディなども、仮歯が破損してしまったりするリスクがあるので避けた方が良いでしょう。

あごの骨に定着するまでは適度な力でかむように心がけましょう。

また、毎日のケアの歯ブラシも汚れをしっかり落とすことは大切ですが、ゴシゴシ強い力で磨くと歯ぐきを傷つける原因になる場合や仮歯が外れてしまうこともあります。
そのため、適度な力で細かく磨くようにこころがけましょう。
毎日のケア方法や歯ブラシの磨き方はお伝えして、自宅でのケアに役立てて頂きます。
インプラント手術後は柔らかめの歯ブラシを使用して歯ぐきに負担をかけないようにします。

インプラントは汚れがついたままになってしまうと、インプラント周囲炎になってしまいます。
インプラント周囲炎になって、症状がひどくなるとインプラントがぐらぐらしてしまう原因にもなるので毎日のケアをしっかりしましょう。

即日インプラントといってもインプラントをしたいといってすぐ当日に手術しましょうというわけにはいきません。
特に即日インプラントは事前の検査や治療計画が大切です。
即日インプラントでもインプラント当日に仮歯が入る様に数回の通院が必要です。

まとめ

インプラント治療で仮歯は歯並びを悪くしないためや細菌から守る大切な役割を果たしています。
また、ブリッチなどの治療に比べて、仮歯の期間も長いので仮歯の取り扱いも注意が必要です。
仮歯の注意事項を守ってその期間を快適に過ごしましょう。
また、即日インプラントは治療期間を短縮できるので、負担の少ない治療です。
メリットの多い治療なので、すべて歯がない方は治療方法の1つとして検討してみてくださいね。