基礎知識

出っ歯治療ができる?矯正にも適応できるインプラントとは

20.12.20

歯科用のインプラントは歯を失った部分にインプラントを埋め込んで、その部分に被せ物をするインプラント治療が一般的ですが、そのほかにも形や用途が違いますが、矯正治療でインプラントを応用することもあります。
そんな矯正の中で出っ歯を治療する時にインプラント矯正が行われることがあります。そこで今回はインプラント矯正について詳しくご紹介します。

出っ歯とは?

出っ歯
出っ歯とは下の前歯より上の前歯が大きく出ている状態をいいます。
〈出っ歯の原因〉
・生まれつきの遺伝
骨格や歯並びは遺伝するので、親が出っ歯のケースには子供も同じ様に出っ歯になりやす
い傾向にあります。
・くせなどの生活習慣
 口呼吸
 口を開けたまま呼吸をする習慣がついていると、口元や舌を支える筋肉が弱くなってし
まって舌が歯を押してしまいます。
 舌が歯を押していると、出っ歯や歯並びが悪い原因になることがあります。
 そのほかにも口呼吸は口が乾燥してしまい、細菌が増殖して虫歯や歯周病のリスクを高
くするので早めにやめましょう。
 指しゃぶり
 習慣的に指しゃぶりで前歯を押すくせがついていると出っ歯になりやすくなります。
 一つの目安として3歳以降も続けていると影響が出てくるといわれています。
 唇をかむくせ
 唇をかんでいると、前歯に力がかかります。
 数回では出っ歯になることはありませんが、習慣的に唇をかむと少しずつ前歯が出る原
因になることがあります。

出っ歯の矯正方法

マルチブラケット法

矯正で一般的に広く治療されている方法で、歯の表面に『ブラケット』という装置をつけてワイヤーで固定する方法です。
以前は銀色のブラケットを使用することが多かったのですが、見た目が目立ってしまうデメリットがありました。
現在は透明のブラケットやワイヤーも出ているので、見た目も分かりにくく、矯正中の見た目のストレスを軽減できます。

マウスピース法

透明のマウスピースをはめて歯を動かす方法です。2週間程度同じマウスピースをはめて、歯が動いてくると新しいマウスピースに変えます。
取り外し式で食事も歯磨きも今まで通り行うことができます。
ただ、自己管理が必要なので、決められた時間マウスピースをはめないと治療計画通りの期間に歯並びが整わないことがあります。また、マルチブラケットに比べて大きく乱れている歯並びは適応ができないこともあります。

抜歯

出っ歯はあごのスペースに比べて歯が大きくて歯並びが悪くなっていることが多く、矯正するにはまずスペースを確保することが必要です。このスペースを確保して出た歯を後ろに引っ込めることで歯並びを整えることができます。
従来の矯正方法では、スペースを確保する為には上下で4本の歯を抜歯してスペースをつくります。
抜歯する場所ですが、ブラケット装置を支えにするために奥歯を使用するので、奥歯を動かすことができず、前から4~5番目の歯を抜歯します。

インプラント矯正

・矯正のインプラント インプラントアンカー
インプラント矯正はインプラントスクリューやマイクロインプラントとよばれるチタン製のねじを歯ぐきに埋め込みます。
この部分を支えとして歯を動かしていく治療方法です。
今までのブラケット装置の場合には、固定元が奥歯で歯を引っ張る方法やヘッドギアなどの取り外しの装置をつける必要がありました。
インプラントアンカーは外科手術をする必要がありますが、ねじを埋めるだけなのでそれほど時間もかからず負担は少ないです。
そのうえ、固定元を好きな所にできるので、歯を動かしたい場所にインプラントを埋め込むことでスムーズに歯を動かすことができます。
また、インプラントはずっと必要なものではないので、治療が終わって、歯並びが整うとインプラントのねじは取り除きます。
インプラント矯正はインプラントを埋め込んで終わりではありません。ブラケット矯正を行ってインプラント部分とゴムを使用してワイヤーを引っ張ります。このゴムを引っ張る力を利用して歯を動かしていくのです。

インプラント矯正のメリット

切開がいらない

 

歯を失った時の歯科用インプラントは一般的に切開をしてインプラントを埋め込む方法
が多いですが、矯正用インプラントは歯ぐきを切開する必要がありません。
 切開した傷が治るまでの期間がないので、負担が少ないインプラントです。

しっかりとした固定元になる

 

従来のブラケット装置は奥歯を固定元として歯と歯で引っ張りますが、前歯に比べると
少ないですが、固定元の奥歯も力がかかると少し動いてしまいます。
 その点インプラント矯正の場合には、奥歯のように動くこともなくしっかりとした固定
元になり、歯を動かすことができます。

抜歯をせずに矯正できる可能性が増える

 

奥歯を固定元としているブラケット矯正は奥歯より後ろに動かすことが難しかったので
すが、インプラント矯正は奥歯より後ろに歯を動かすことが可能になりました。
 そのため、奥歯より後ろに歯を動かして抜歯をせずに歯並びを整えることができるケー
スが増えました。

外科手術が必要なケースもインプラント矯正でできることも

 

前歯がかみ合わない開咬や歯ぐきが出ているケースは骨を切るなどの大がかりな外科手
術が必要な場合もありました。
 インプラント矯正で自由に歯を動かせることによって大がかりな手術ではなくインプラ
ント矯正で対応できることもあります。

インプラント矯正のデメリット

あごの成長が終わってから適応

インプラント矯正はあごの成長中は骨に悪影響を及ぼす恐れがあるのであごの成長が終
わった段階でインプラント矯正が適応になります。

外科手術が必要になる

インプラントのねじを埋め込む手術が必要なので外科手術が必要になります。
 埋め込むねじの本数によって時間は変わりますが、早いケースだと20分程度で終わる手
術です。

インプラント矯正は従来のブラケット装置をより速い期間で治療でき、スペースも確保し
やすくなります。
そして、今までは難しかった奥歯の後ろへ歯を動かせることで抜歯の可能性も少なくなります。
インプラントも歯科用インプラントだけなく、矯正用のインプラントもあります。
歯科の治療も新しいものがたくさん出てきていますので、矯正用インプラントが気になった方はお気軽にご相談くださいね。