基礎知識

妊娠中にインプラントはできる?妊娠中のインプラントのリスクとは

20.12.31

妊娠中は変化の多い時期ですが、外科手術もあるインプラント治療を妊娠中に行ったらどうなるか気になる方もいるのではないでしょうか。
インプラント治療は通常であれば、抜歯程度の負担で治療できるので、それほど負担が大きくはありません。
ただ、妊娠中は赤ちゃんの影響も気になる時期です。
そこで今回は妊娠中にインプラントを受ける時のリスクについて詳しくご紹介しますので参考にしてみてくださいね。

妊娠中インプラントを受ける時のリスク

1 仰向けの態勢が妊婦に与える影響

歯医者で治療をする時には、ユニットとよばれる椅子が倒れて仰向けの姿勢になります。
普段はそれほど負担になることは少ないのですが、妊娠中はおなかが大きくなって内臓を圧迫します。
長時間仰向けの姿勢になると、更にその負担が大きくなり、血管を圧迫して顔色が悪くなったり、冷や汗が出ることもあります。
また吐き気を感じることもあるので、治療時間が長くなることもある妊娠中のインプラント治療は避けた方が良いでしょう。

2 CTやレントゲン撮影の胎児への影響

CTやレントゲン治療を受ける時には微量ではありますが、放射線を浴びることになります。
インプラント治療の時には血管や神経の位置と正確な骨の量を確認しなければいけないので、レントゲン撮影は必ず必要です。
ただ、放射線の影響がある量は200mSvですが、レントゲンの一般的な被ばく量は0.06なのでほとんど影響がないといわれています。ただ、100パーセント安全とも言い切れないので、妊娠中は安心のために必要最低限しかレントゲンを撮影しないことが多いでしょう。『レントゲンが原因で影響があったかもしれない。』ということを避けるためにCTやレントゲン撮影は避けたほうが安心でしょう。レントゲンとCTを比較するとCTのほうが、少し被ばく量が多いとされていて、一般的な歯科治療でも必要がない場合には撮影しません。

3 麻酔の使用や術後の投薬

通常の歯科治療で行う麻酔薬の量の場合には、母体や胎児に影響はほとんどないといわれていますが、インプラント治療の場合には歯科治療に比べて多くの麻酔を使用します。
また、インプラントオペは歯ぐきを切開してインプラントを埋め込む手術なので、手術後の細菌感染を防ぐために、抗生物質や痛みを抑える痛み止めを服用する必要も出てきます。
妊娠中の薬は必ず影響があるわけではありませんが、リスクがゼロではないため、できるだけ控えた方が安心です。

4 長期間の通院の負担

インプラントは通常の歯科治療に比べて治療期間が長くなります。インプラントがあごの骨に定着するまで待つ期間があるので、骨が十分にある場合でも半年程度、骨が少ない場合には骨造成などを行ってから骨ができるまでの期間を待
つので半年~1年程度かかることもあります。
そのため、妊娠中にインプラント治療を始めると出産までに終わらない可能性があります。
おなかが大きくなってからの通院は大変ですし、出産後は育児でなかなか歯科医院に通院することが難しいこともあります。
妊娠中はホルモンバランスも急激に変化しますし、体調も大きく変わることが多い時期です。
インプラント治療は出産後も可能なので、妊娠中のデリケートな時期は無理をせず過ごすことをおすすめしています。

5 インプラントオペ中の出血量によっては早産引き起こすリスクがある

インプラントオペ中はインプラントをあごの骨に埋め込む外科手術なので、通常の歯科治療より出血が多いケースがあります。
妊娠中は血液中に含まれる『サイトカイン』という物質で出産開始の合図とします。
通常であれば問題がない出血の量でも、免疫を担当する細胞がサイトカインを大量に出して子宮筋を収縮して早産を誘発してしまうと考えられています。
そのため、出血量があるインプラントオペはできるだけ妊娠中を避けた方が安心でしょう。

6 つわりの時の治療の負担

妊娠初期は急激な体調の変化と少しのにおいや口の中に器具を入れただけでも気持ち悪くなることがある『つわり』の時期があります。
吐き気だけでなく、食べることもつらくなって体力が落ちてしまうこともあります。
また、歯磨き粉や歯ブラシもつらい時期があります。
インプラント治療を行う際にはお口の中を清潔に保っておかないと細菌感染のリスクが増えるためインプラント治療のトラブルを引き起こすことがあります。
の時期は治療も大変なことがありますし、インプラントで大切なお家でのケアも十分に行えない可能性があるので、つわりの時期も含めて無理をせず妊娠中の体調のケアを行ってあげることをおすすめしています。

インプラント治療中に妊娠が分かった場合

プラント治療中に妊娠が分かった場合にはまず歯科医師に妊娠した旨を報告して、産婦人科医にも『インプラント治療をしている』ことを伝えましょう。
インプラント治療がどの段階かによって今後の治療が変わってきますが、妊娠のデリケートな時期にはインプラント治療を一旦中断するケースが多いでしょう。
ただ、歯がないままだと歯が動いてしまう可能性や見た目のストレスもあるので、仮歯で対処しますので、『歯がない期間があるのでは?』という心配はありません。
その間はお口のケアを念入りに行っていただいて治療開始を待っていただきます。
妊活を行っていてインプラント治療を受ける場合は時期を計画することをおすすめし
ます。
インプラント治療は半年~1年程度かかる治療なので、開始して妊娠が分かるとレントゲンや薬の影響が気になってしまうことにもつながります。
気持ち的が不安になってしまうのはお腹の赤ちゃんにもよくありません。
そのため、インプラント中の妊娠は考慮していただくと無理なく安心して治療を受けることができます。
インプラントは準備のためにCTやレントゲンが必要になり、麻酔や薬なども使用も考えると妊娠中にインプラント治療は避けるほうが良いでしょう。
また治療中に妊娠した時にもインプラント治療を中断した方が安心なのでインプラント治療と妊活を行いたい場合にはインプラントの計画も含めてお話できますので1度ご相談ください。