基礎知識

インプラントで精密検査をするの?治療計画に大切なCTスキャナーとは

21.01.28

インプラント手術を行う時には事前にシュミュレーションをしてどの位置にどの角度でインプラントを埋め込むか検討していきます。
歯科では平面のレントゲンを撮影することが多いのですが、骨の状態を細部まで確認するにはCTスキャナーが最適です。
そこで今回はインプラント手術にはかかせないCTスキャナーについて詳しくご紹介します。

歯科用CTスキャナーって何?


 

CTは、コンピューターの断層撮影のことで、撮影をしたい部分を3次元的に細かく撮影していく方法です。
 3次元になると、立体的にあごの骨を見ることができるので、『骨の厚み』『骨密度』『神経の位置』を確認して精密に治療計画をたてることができます。
そして、上あごの上顎洞や下の下顎管の神経をしっかり確認できるので、インプラントを埋入するために安全な位置を確保できて、インプラントのトラブルを回避できます。
普段、虫歯の治療などで撮影するパノラマレントゲンは、2次元的に確認できて、大きさなどはある程度把握できますが、骨の厚みや奥行きまではきちんと確認できません。
しかし、3次元的なCTスキャナーを撮影することでインプラントに必要な位置の情報を正確に得ることができるので、インプラントを埋入の精度がかなり上がるようになりました。

 歯科用CTのメリット

より正確で確実なインプラント手術ができる

インプラント治療前にCT撮影をすることで、あごの骨の厚みや高さを確認してイン
プラント手術の前にどの位置に埋入するか位置を決めることができます。
治療前にシュミュレーションをすることで、インプラント手術の時に余計な時間を
使うことなく、スムーズにインプラント手術を行うことができます。
さらに、インプラントのシュミュレーションソフトを使用することでどの位置にイ
ンプラントを埋入するのが理想的か確認するとより正確です。

院内で撮影ができる場合は提携病院に行く必要がない

以前はCTを導入している歯科医院は少なかったのですが、インプラント治療を行う
歯科医院が増えてきて、歯科医院でCT撮影できるようになってきました。
提携病院で撮影する場合には、予約が取りにくく時間がかかることや費用が高くな
ることもあり2万円程度かかることもがあります。
歯科医院で撮影する場合には、精密検査の費用の中に含まれていることが多いので
事前に確認しておくと安心ですね。

説明の時にわかりやすい

 

治療計画のお話をする時には、どのような治療をするか患者様にお伝えするので、歯科
のパノラマレントゲンで、平面で見るより、3次元的で立体的に見えるCTの方が分かりや
すくイメージしやすいです。
今後どのような治療を行うのか、あごの骨の状態はどのようになっているかを把握する
ことは大切で、CTを見ることでより理解しやすくなります。

医科用CTより放射線量が少ない

医科用CTに比べると歯科用のCTはかなり被ばく量が少なくなっています。
医科用のCTでも頭部の撮影をするとおよそ2ミリシーベルト程度で年間の自然放射線
の被ばく量と同程度です。
ただ歯科のCTの場合には機械によっても少し差がありますが、医科のCTに比べて10
分の1以下の放射線量で撮影ができます。
また、歯科用のCTの場合には、あご周りを中心に撮影ができるので、歯の治療のための
情報を細かく把握ができます。

CTを活用してより精密に行うためには?

CTでシュミュレーションをして診断した画像をもとに、さらに精密にインプラントを行う
ためにはマウスピースの形をした『サージカルガイド』を使用するとより精度が上がります。
サージカルガイドとはインプラントの角度や位置をより正確に再現するために、シュミュレーションをしたものをもとにマウスピースを作製して、ドリル位置を決定してインプラント手術をアシストするものです。
インプラント手術中もガイドの通りにドリルを行うので、迷うことなく埋入をすることができ、インプラント手術の時間を大幅に短縮できます。

サージカルガイドの長所は?

ドリルする位置をすでに決めているので、骨の状態を確認する必要がなく、歯ぐきを切
開しない『フラップレスインプラント』を行うことができます。
歯ぐきを切開・縫合をしないので、痛みを最小限に抑えることができて治療時間も短縮できます。
治療計画で立てたシュミュレーション通りにインプラント手術が可能で、あごの神経を回避してインプラント手術ができるので、安心です。

そのほかの精密検査の内容とは?

口腔内写真の撮影

現状のお口の状態を撮影して確認していきます。
汚れが着いている部分があった場合には、患者様と一緒に確認してその落とし方や
磨き方も一緒にチェックしていきます。

歯周病の検査

歯周病の検査はレントゲンも確認しながら骨の状態も見て、歯ぐきの深さや出血の
程度、歯が動揺しないかをチェックしていきます。
インプラントを行う部分以外でも歯周病が進行していると、歯周病菌が増殖しやす
く、インプラント手術後も悪影響を与えることがあります。
そのため、特に歯を失う原因が歯周病だった場合には歯ぐきの周りに汚れが着いて
いることが多く、汚れをしっかりと落とす習慣をつけることが大切です。

必要があれば血液検査

インプラントは外科手術を行うので、全身疾患がある場合にはその疾患が安定して
いることが条件になります。
例えば、糖尿病であれば血糖がコントロールできている状態で、脳梗塞などは一定
期間、時間が経過していることなどがあります。
また、骨粗しょう症の方はビスフォスフォート系の薬を服用していると、抜歯や外
科手術を行った時に骨が壊死する可能性があるので治療が難しい場合があります。
服用していた時期やお薬の種類によっては治療が可能と判断されることもあるので1
度ご相談くださいね。
持病がある方は血液検査を行ってインプラント手術を行っても問題ないか確認して
いくと安心です。

インプラント手術を行うには事前の精密検査をしっかりと行ってシュミュレーションをすることが大切です。
その際にはCTスキャナーで撮影した3次元的な画像をもとに行うことで、より精度の要治療計画を立てることができます。
インプラントの治療計画は建物の設計図のような役割なので、その計画が手術の成功にかかってきます。
そのため、インプラント治療にはCT撮影はかかせないものになってきています。