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インプラントできる?骨粗鬆症の方がインプラント治療をする時に気をつけること

21.11.28

インプラント治療を行う時に持病があると、配慮が必要な場合があります。
骨粗鬆症は骨がもろくなる病気ですが、あごの骨の量を増やす手術や、定着を待つ期間を長くすることでインプラント治療は可能になります。
ただ、骨粗鬆症の薬の中にはインプラント治療をする時に服用すると細菌感染しやすいものもあり注意が必要です。
そこで今回は骨粗鬆症の方がインプラントする時に気をつけることについて詳しく解説させていただきます。

骨粗鬆症とは?

骨粗鬆症とは、骨の質が低下することでもろくなり、骨の密度が低くなる病気です。
骨のサイクルは骨の細胞が破壊されて再生されることを繰り返しますが、骨粗鬆症の場合には、細胞が破壊されることの方が多くなり、骨の再生が追いつかなくなってしまいます。
また、女性は50代頃からホルモンの分泌が低下して、骨の再生が弱くなっていきます。
そのため、更年期の女性の方が骨粗鬆症にかかりやすく、割合も多くなります。

骨粗鬆症でインプラントに注意が必要な場合とは?

骨粗鬆症の方で注意が必要な場合は、治療薬として「ビスホスホネート製剤」を服用しているケースです。
ビスホスホネート製剤の特徴として、骨の代謝を抑制して骨の破壊を抑えることができます。
そうすると、カルシウムの流出を防いで骨を硬くする効果があります。
ただし、骨を破壊する働きを抑制すると、新しい骨の再生や歯周組織を作る役割も抑えてしまいます。
これらには、感染予防の役割もあるのでこの働きを抑えてしまうと、細菌感染のリスクが高くなります。
細菌感染が起こる直接の原因は汚れが着いていることなので、お口の中を清潔に保っておくことが大切です。
そのため、ビスホスホネート製剤を服用している方がインプラント手術などの外科手術をすると、細菌感染で骨が治りにくくなり、骨が壊死する可能性があります。
これらの理由から、ビスホスホネート製剤は骨粗鬆症の治療薬として優秀ですが、この薬を服用している方はインプラント治療が難しくなっています。

骨粗鬆症でもインプラントは可能?

骨粗鬆症の人でもインプラント治療をすることは可能です。
骨粗鬆症の薬を飲む前にインプラントの外科手術を行う方法や、ビスホスホネート製剤以外の治療薬を選ぶことも選択できます。
また、ビスホスホネート製剤を服用している時には、主治医と相談して一定期間服用を止めて外科処置をすることもあります。

骨粗鬆症の人がインプラントする時に気をつけたいこと

骨粗鬆症の人が歯周病で歯を失った場合、短期間で歯の周りの骨の破壊が進んで骨が少なくなっている方が多いです。
そのため、あごの骨の骨量を増やす手術が必要なケースが増えてきますが、治療は可能です。

定着を待つ期間を長くする

骨粗鬆症は骨の密度が減っていることが多く、通常より骨が定着するのを待つ期間を長くすることでインプラントの成功率が上がります。
骨の量などで個人差はあるのですが、通常はインプラントの定着を待つ期間に3~6カ月程度必要です。
骨粗鬆症の場合には、骨の密度が少なくなっていることが多いので、その2倍程度の期間を待つと安心です。

インプラント周囲炎にならないためのケア

また、骨粗鬆症の人がインプラント周囲炎になると骨に影響が大きく進行しやすいです。
歯を支えている骨がもろいので、インプラント周囲炎で炎症が起きると骨が減りやすくインプラントの支えが足りなくなってしまいます。
そうするとインプラントがグラグラして動き、最悪の場合抜け落ちてしまうこともあります。
そうならないために、毎日のセルフケアの歯磨きで汚れをきちんと落とすことが大切です。
歯ぐきの境目の汚れを細かく落として、歯と歯の間の汚れはフロスや歯間ブラシを併用して落としましょう。
また、毎日のセルフケアだけでは落とし切れない汚れは定期健診のクリーニングで汚れを除去しましょう。
定期健診はクリーニングだけでなく、インプラントの状態も確認してねじに緩みがないか、かみ合わせが強くなっていないか、被せ物の不具合がないかも細かくチェックしていきます。
インプラントに不具合が起きる前にチェックすることでインプラントを良い状態で長く使用できます。

インプラント治療の3つのメリット

1 周りの歯にダメージを与えない

歯を失った時の治療の選択肢としてブリッチがありますが、左右の歯を削って土台にして橋渡しにするので、左右の歯の寿命を縮めることがあります。
また、部分入れ歯の場合には、支えになる歯にばねをかけるのでその歯に負担がかかってしまいます。
インプラント治療はほかの歯に負担をかけずに単独で治療ができるので、周りの歯の寿命を長くすることができます。

2 あごの骨が減ることを防ぐ

ブリッチや部分入れ歯にすると、根の部分が無いのであごの骨に刺激が伝わりません。
歯は食事をする度に、あごの骨が咬む刺激を受けています。あごの骨に刺激が無くなると、少しずつあごの骨が減少してしまいます。インプラントはあごの骨にインプラント体を埋め込むので、食事する度に刺激が伝わり、あごの骨が減少することを予防ができます。

3 自然な見た目

インプラントは部分入れ歯のように金属のばねがかかって見た目が気になることやブリッチで銀歯になることがありません。
また、セラミックを選択できるので、自然な色味で天然歯になじんで自然な見た目を手に入れることができます。

インプラント治療のデメリット

歯周病の説明

1 ほかの治療に比べて費用が高い

インプラントは基本的に自費治療なので、ほかの治療より費用がかかります。
ただ、クレジットカードで分割払いができたり、医療用ローンを使用することができて費用の負担を軽減することができます。

2 治療期間が長い

お口の状態によりますが、インプラントがあごの骨に定着するまでに3~6カ月程度期間を待つ必要があります。
定着を待つ期間、毎週通う必要はありませんが治療前に治療期間を確認しておくと予定を立てやすいですね。

まとめ

インプラント治療の歯科医院の選び方

骨粗鬆症の持病がある場合でもインプラント治療が可能な場合が多いです。
ただし、服用している薬がビスホスホネート製剤の場合には治療が難しいことがあるので、薬を服用している場合には歯科医師にご相談ください。
骨粗鬆症の方は担当医と連携を取りながら慎重に対応して、インプラントの相談をさせていただきます。