持病のある方は準備が必要?高血圧の方のインプラント治療とは

22.03.30

持病のある方は準備が必要?高血圧の方のインプラント治療とは
インプラントは多くの歯科医院で治療を受けることができるようになり、治療の選択肢として選ばれることが多くなってきましたが、高血圧などの持病がある方は気をつけるポイントがいくつかあります。
そこで今回は高血圧の方がインプラント治療を受ける上で気をつけることについて詳しくご紹介しますので、参考にしてみてください。

高血圧症とは?


一般的に高血圧とは、血圧が正常の範囲よりも高くなる疾患で、最高血圧が140mmhg以上、最低血圧が90mmhgとされています。

高血圧でも患者さまによって程度の違いがありますし、中には重度の高血圧症の方もいらっしゃいます。
その時は、必要に応じてかかりつけの担当医と連携を取ってインプラント治療ができるか確認することがあります。
高血圧症の症状によっては、担当医の判断でインプラント治療ができない可能性もあります。

インプラント治療は普段の生活よりも、緊張や不安になることが多く、いつもの数値より血圧の上昇する可能性が考えられます。
このようなケースも含めて、インプラント治療が可能か治療計画を立てることになりますし、もし難しい場合には入れ歯などのほかの治療の提案をすることになります。

高血圧の人でもインプラントできるの?


高血圧の方でもインプラント治療が可能なことが多いですが、事前の対応や準備が必要になります。
まず、高血圧症の方がインプラント治療をするには、血圧がコントロールされていることが大切です。

また、インプラント手術の時には血圧の上昇が見込まれるので、リラックスできるように「静脈内鎮静法」という麻酔法を用いる場合や血圧をコントロールする薬を飲んでから治療を行うこともあります。

高血圧症の方におすすめの麻酔法


静脈に麻酔液を点滴しながら行う麻酔方法を「静脈内鎮静法」といいます。
少しずつ眠くなってうとうとしてきますが、全身麻酔のように全く意識がなくなるわけではありません。
会話や意思を伝えることができます。感じ方には個人差がありますが、お酒を飲んだ時のほろ酔いに似ていると感じる方が多いようです。

対象になる方


・持病のある方
・歯科治療に対して不安や緊張が強い方
・治療で強い嘔吐反射がある方

対象にならない方


・優先して治療が必要な持病がある方
・口が小さい、太り過ぎているなどで呼吸の管理が難しい方
・使用する点滴薬に対してアレルギーがある方

どんな問題が起こる可能性があるの?


実際に高血圧の患者さまがインプラント治療をすると、どのような問題が起こるのでしょうか。
まず、血液をさらさらにするお薬を服用していると、出血が止まりにくいため、インプラント手術後に止血がうまくいかない可能性があります。
また、手術中に緊張などで、血圧が上がって一定以上の血圧になることで、ふらつきや気分が悪くなることがあります。

高血圧症で注意が必要な方


コントロールの難しい高血圧症方

最高血圧が160mmhg以上、最低血圧が95mmhg以上の方は要注意とされています。
インプラント治療などの外科手術をする際には、モニターで血圧を管理する必要があります。
最高血圧180mmhg以上、最低血圧が110mmhg以上の方は危険な状態です。
外科手術のストレスに耐えられない可能性があり、外科処置は避けなければいけません。

血圧がさらに上がり、最高血圧200mmhg以上、最低血圧120mmhg以上だと非常に危険な状態です。
この状態は外科手術に関わらず、歯科治療ができません。
もし、治療中にこのような状態になった場合は、血圧が下がる処置をして血圧が下がるまで待たなければいけません。

インプラント治療時の高血圧症の方の3つの注意点

    1. 1 治療中の血圧の上昇

インプラント手術によるストレスは血圧の上昇につながるため、治療の時の麻酔も血圧が上がる原因の1つになります。
痛みが最小限になるように、麻酔の針は極細のものを使用して、麻酔の針の痛みが出にくいように表面麻酔の薬を塗って対策しています。
そして、インプラント手術の際には急な血圧上昇に注意しなければいけないため「血圧モニター」を使用して血圧の状況を把握しながら血圧上昇に対応していきます。

    1. 2 投薬の組み合わせ

インプラントの治療に対して鎮静剤や抗生物質を処方されることがあります。
ただし、高血圧症の薬と組み合わせることで、高血圧症の薬の効果が弱まり腎臓に影響が出ることがあります。
そのため、インプラント手術前に服用している薬を歯科医師と相談して薬の組み合わせに注意する必要があります。

      1. 3 歯肉の腫れ

高血圧症の薬のなかで、カルシウム拮抗薬というものがありますが、副作用で歯ぐきが腫れがあります。
歯ぐきが腫れると、歯ブラシが当たりにくくなり、毎日のセルフケアが不十分になりやすくなってしまいます。
そのため、インプラント治療後は、定期的なメインテナンスを行ってお口の中を清潔保ちにましょう。

どんな歯科医院を選べば良いの?


今まで説明したように、高血圧の方はインプラントのリスクが高くなります。
そのため、インプラント手術をする時には設備が充実した歯科医院を選ぶと安心ですし、
もし、問題が生じた場合でもすぐに対処ができることが大切です。

たとえば、心拍数や血圧をリアルタイムで測定するモニターや静脈内鎮静法の時には、インプラント手術を行う歯科医とは別に麻酔科医が患者さまの状態を管理しながらインプラント手術を行います。

これらの対応は、インプラント治療をしているすべての歯科医院で行っているわけではないので、事前にどのような対応をしているか調べておくと安心です。

【まとめ】


高血圧の方でもインプラント治療が可能な場合が多いですが、事前に準備をして対処が必要です。
かかりつけの医師と連携を取りながら、血圧のコントロールができていることが大切です。
また、処方されている高血圧の薬と組み合わせを検討しなければいけないことがあるので、事前の相談が必要です。

高血圧症の方はインプラント手術だけでなく、その後のメインテナンスにも影響してくるので継続的に血圧のコントロールをすることが大切です。

当院はモニターでの血圧のコントロールや静脈内鎮静法にも対応しておりますので、高血圧症でインプラント治療をお悩みな方はぜひ1度ご相談ください。