インプラントコラム
COLUMN
インプラントが動いた?考えられる原因と対処法とは
22.06.26
インプラントは失った歯の機能を回復する治療として、入れ歯やブリッチに比べメリットも多く、自分の歯のような使い心地を再現できるといわれています。
インプラントは取り外し式の入れ歯とは違い、あごの骨に固定されるため、動くことはありません。
ただし、人工歯のトラブルやインプラント周囲炎になるなどの理由で揺れてしまうこともあります。
今回は、インプラントが動いてしまう原因とその対処法について詳しく解説いたします。
【インプラントが動く・グラグラする原因とは?】
1 被せ物を着けるねじが緩んでいる
実際には、インプラントが動いているのではなく、その上に被せている「人工歯」が動いている可能性があります。
インプラントは、歯の根の変わりになる部分の「インプラント体」、歯の変わりをする「人工歯」それらを結合する「アバットメント」の3つのパーツで構成されています。
インプラント体とアバットメントはねじで固定しているので、歯ぎしりや食いしばりなどの強い力がかかると緩むことがあります。
また、人工歯とアバットメントの接着方法は「接着材」と「ねじ」で固定する2種類があり、接着材がはがれたり、ねじが緩んでいたりすると動く原因になることが考えられます。
定期メンテナンスの時に確認して、動く範囲が被せ物のつなぐ部分の可動域の範囲でかみ合わせに問題がない場合にはそのまま様子を見ることもあります。
ねじが緩んだ場合には、ねじを締めなおすことで揺れが改善します。
2 インプラントとあごの骨が上手く定着していない
インプラントを埋め込んだ直後からインプラントが動いてしまうことがあります。
これは「インプラントを入れる角度が合っていない」「骨が足りずにインプラントがきちんと埋められない」などの理由が考えられます。
また、手術時にインプラントを埋め込む際にドリルで穴を開けるのですが、注水が上手くいかないと摩擦によって骨が火傷したようなダメージを受けてしまうことがあります。
そうすると、あごの骨との定着が上手くいかず動くことがあります。
ただ、インプラントとあごの骨が定着するまでには、平均で3~6カ月程度の期間がかかるため、インプラント手術が終わったばかりの時は小さな揺れは許容範囲として考えられることもあります。
3 インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、汚れがついたままになっていると起こる歯周病に似た感染症のことです。
考えられる原因として手術後の場合には、衛生環境がよくなく、手術の時に細菌感染した可能性があります。
また、被せ物をして時間が経過している場合には、セルフケアが不十分なこと、定期メンテナンスを行っていないことが原因で発症してしまったことが考えられます。
考えられる原因
〈毎日のケアが不足している〉
手術後しばらく時間が経過している場合には、歯磨きなどのケアが不十分で、汚れが残ってしまい、歯周病菌が増殖したことが原因です。
歯と歯ぐきの境目を中心に丁寧に磨き、残りやすい歯と歯の汚れはデンタルフロスや歯間ブラシなどのデンタルグッズを併用すると細かい汚れが落としやすくなります。
〈定期メンテナンスを行っていない〉
インプラント治療の後のメンテナンスは毎日の歯磨きなどでケアすることが大切ですが、それだけでは不十分なことがあります。
足りない部分は歯科医院で定期メンテナンスを受けてクリーニングやブラッシング指導を受けることでお口の中をキレイにして、正しい歯磨きの仕方もチェックすることができます。
また、定期メンテナンスでは、インプラント周囲炎だけでなくインプラントのかみ合わせや不具合がないかを確認できるため、もし何かあった場合でも早期に対処することが可能です。
4 歯ぎしりや食いしばりが強い
天然の歯は「歯根膜」というクッションの膜があり、噛んだ時の衝撃を緩和する役目があります。
一方インプラントは、骨と直接結合させるため、噛んだ時にダイレクトに力が伝わり、強い力だと負担になってしまいます。
日頃から強い歯ぎしりや食いしばりがある方は、インプラントに強い力がかかってしまい、インプラントが動く原因になってしまうことがあります。
自分でやめることができればよいのですが、歯ぎしりや食いしばりは無意識に行っていることが多いので、定期検診で確認しましょう。
対策として、マウスピースを作製して歯を保護する方法があります。
また、強い力がかかりやすいので、特に定期的にインプラントに負担がかかっていないか確認することが大切です。
5 かみ合わせのバランスが悪い
インプラントはあごの骨に定着すると、基本的に動くことがありません。
しかし、天然歯は少しではありますが、動くことがあります。
そのため、かみ合わせの調整がきちんと行われていないと噛んだ時に天然歯が動き、インプラントに大きな力がかかり、すり減りや破損の原因になることがあります。
このことを解決するためには、少し噛んだ状態で被せ物を調整するのではなく、しっかり噛んだ状態でかみ合わせを合わせていくことが大切です。
噛み合わせは自分では気づくことが難しいため定期的にメンテナンスを受けましょう。
【インプラントが動いた時はどうする?】
インプラントのトラブルはご自分では対処できないため、すぐにかかりつけの歯科医院に相談しましょう。
この時、「いつごろから動きはあるか?」「口をぶつけたなど強い力がかかっていないか」などの情報を伝えていただくとスムーズな診断につながります。
被せ物やねじの緩みであればすぐに解決しますが、インプラント自体が動いているのであれば何らかのトラブルが起きている可能性があります。
見た目だけでなく、レントゲンやCT撮影をしてインプラントの状態を確認します。
【まとめ】
インプラントの動きにはいくつか原因が考えられますが、定期メンテナンスを受けることで早めに確認ができて、対処することができます。
また、インプラントを含めたほかの部分の確認をすることでお口の健康の維持が期待できます。
インプラントが動いた時はご自分では対処ができないため、すぐに歯科医院にご相談ください。