インプラントコラム
COLUMN
インプラントが原因で金属アレルギーを発症することがあるの?
22.07.27
インプラントが原因で金属アレルギーを発症することがあるの?
保険で使用される銀歯は金属アレルギーの可能性があることが分かっています。
そうすると「インプラントは金属アレルギーがあるの?」
と心配になる方もいるのではないでしょうか。
インプラントはあごの骨に埋め込む手術を行うため、心配なことや不安なことは解消してから治療を受けることが大切です。
今回はインプラントが原因で金属アレルギーを発症することはあるかについて詳しく解説していきます。
【金属アレルギーのメカニズムとは?】
ネックレスやピアスなどの金属が原因で皮膚がかぶれる症状は広く知られていると思います。
歯科では保険の中で使用される「銀歯」の詰め物や被せ物で金属アレルギーを引き起こす可能性があります。
この銀歯は、金銀パラジウム合金という素材でできており、長期間使用することで劣化をして、金属成分が溶け出します。
そうすると、その成分が蓄積してその方の許容量がいっぱいになった時アレルギー症状が発症することがあります。
〈金属アレルギーの2つの分類〉
- 接触性皮膚炎
金属アレルギーとして一般的に認識されるアクセサリーなどによる皮膚のかぶれです。
触れた部分がアレルギー反応を示すため、その部分の皮膚が赤く腫れたり、ただれたりします。
即時型アレルギーとも呼ばれ、金属の接触をやめると症状は治まります。
- 全身型金属アレルギー
金属がイオン化して、血中に取り込まれ、身体の離れた部分にもアレルギー症状が出てきます。
遅延型アレルギーとも呼ばれます。
【金属アレルギーの原因となりやすい金属とは?】
コバルト・ニッケル・パラジウム・水銀などは金属アレルギーの原因となる可能性があり、日本の歯科の保険診療で使用される素材にも含まれているものがあります。
金銀パラジウム合金
保険診療の「銀歯」の被せ物や詰め物に使用される金属で、パラジウムは金属アレルギーのリスクが高いとされています。
銀合金
主に神経の治療をした後に保険治療で作製する「土台」で使用される金属です。
やわらかく錆びる可能性があり、歯ぐきの境目を黒くすることもあります。
【もし金属アレルギーになった時の症状とは?】
- お口の症状
金属アレルギーを発症した時のアレルギー症状は個人差がありますが、代表的な症状は患部の近くが赤く腫れることです。
また、お口の中が白い線状の腫れができることもあります。
自覚症状は個人差がありますが、アレルギー症状がある多くの方に痛みやかゆみなどの違和感を覚えることが多いでしょう。
2 手足の発疹や赤み
全身型の金属アレルギーで発症しても、何がアレルギーか特定されるまでに時間がかかることが多いです。
手足に発疹や赤みが出て、かゆみも伴うことが多いでしょう。
【インプラントは金属アレルギーを発症することがある?】
金属アレルギーは今までアレルギー症状がなくてもある日突然発症することがあります。
そのため、金属アレルギーのリスクの少ない素材を選択しておくと安心です。
インプラント治療をする時に気になるのは安全性ではないでしょうか。
インプラントに使用される素材についてご紹介していきます。
・インプラントに使用されるには「チタン」
インプラントに使用されているチタンですが、整形外科では「人工関節」脳神経外科では「頭蓋骨の代用」心臓疾患では「ペースメーカー」に使われており、身体とのなじみも良く安全性の高い素材です。
また、金属アレルギーといってもすべての金属にアレルギー症状が出るわけでなく、一定の金属にアレルギー反応を起こすことが多いのです。
そのため、金属アレルギーの発症リスクの少ないチタンのインプラントであれば、金属アレルギーの可能性は低いと考えられています。
・被せ物も金属アレルギーの心配が少ない素材が選択できる
インプラントは歯ぐきの中に埋め込む「インプラント体」歯の部分の役割をする「被せ物」その2つをつなぐ土台の役割をする「アバットメント」の3つにパーツから構成されています。
被せ物の素材も自由に選択することができ、インプラントの場合には「ジルコニア」や「オールセラミック」などの金属を使わない素材を使用することで金属アレルギーの心配がありません。
また、ジルコニアやオールセラミックは白さと機能性を兼ね備えた素材で時間が経過しても変色をしないため、審美的にも優れた素材です。
【インプラント治療の際に金属アレルギーが心配な方ができる2つのポイント】
インプラント治療のカウンセリングの際に金属アレルギーが心配なことを伝えておくと、金属アレルギーに対する対策を取ることが可能です。
ポイント1 パッチテストを受ける
金属アレルギーを発症していなくても、ほかにアレルギー体質があるなど金属アレルギーが心配な方はインプラント治療を受ける前にその旨を伝えましょう。
そうすると、インプラント治療を開始する前に皮膚科などで「パッチテスト」を行い、金属アレルギーの心配がないか確認することができます。
歯科で使用されるチタン・金銀パラジウム・銀合金などの素材を調べておくと安心です。
ポイント2 金属を使用しない被せ物の素材の提案を確認する
インプラントは自費治療のため、被せ物の素材を自由に選択することが可能です。
ただ、被せ物の素材のメリット・デメリットは分からないことが多く、きちんと説明を受けずにその素材を選択したということも少なくありません。
一般的にインプラントの被せ物は奥歯であれば強度の高い「ジルコニア」前歯であれば審美性が高い「オールセラミック」が使用されることが多いですが、費用やメリット・デメリットを含めて金属を使用しない被せ物の提案をしてもらうことができます。
【まとめ】
インプラントの多くは「チタン」という安全性の高い素材を使用しているため、多くの方が治療して問題なく使用しています。
ただ、ほかのアレルギー症状がある方や心配な方は皮膚科で「パッチテスト」をしておくと安心です。
そのほかにも金属アレルギーの心配がない被せ物を提案することもできますので、カウンセリング時にお伝えください。
当院では、患者様の不安や疑問をすべて解消して納得していただいてから、インプラント治療を開始しています。