基礎知識

インプラント治療後のセルフケアで気をつける2つのポイント

23.02.28

せっかくインプラント治療をしたらよい状態で長持ちさせたいと思いますが、インプラントに汚れがついたままになっているとインプラント周囲炎を引き起こして、インプラントトラブルに原因になってしまいます。

 

そうならないために、毎日のセルフケアで汚れを落とすことが大切です。

そこで今回はインプラント治療後のセルフケアで気をつける つのポイントについて詳しくご紹介します。

 

【インプラントでセルフケアが大切な理由】

 

インプラントはむし歯になることはありませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」になることはあります。

インプラント周囲炎とは、インプラントを埋め込んだ周りの組織が炎症を起こすことです。

ただし、自覚症状が少なく、いつの間にか進行していることも少なくありません。

また、インプラントは天然歯と違い「歯根膜」というクッションの役割をした膜がないので、炎症が起きるとダメージをダイレクトに受けてしまい、進行が早い特徴があります。

 

せっかく治療したインプラントを長持ちさせるためにはインプラント周囲炎にならないように対策する必要があります。

インプラント周囲炎は汚れの中の細菌が炎症を引き起こすので、丁寧に汚れを落とすことが重要です。

そのため、毎日丁寧にセルフケアをしてお口の中を清潔に保つことが大切です。

また、どうしても苦手な部分や磨きにくい部分はあるので、定期的に歯科医院でインプラント周りの清掃をしましょう。

 

【インプラントのセルフケアで大切なポイント】

インプラント治療後の歯磨き粉はドラッグストアなどで販売しているものでも問題ありませんが、選ぶ際に注意が必要なのでご紹介します。

 

  • 歯磨き粉選び

・研磨剤が配合しているものはやめましょう

研磨剤入りの歯磨き粉は、歯の表面についた汚れを落としやすい効果があるので、使用している方もいると思いますが、インプラント治療後は研磨剤入りの歯磨き粉はおすすめできません

 

粒子の粗い研磨剤入りの歯磨き粉は歯の表面の汚れを落としやすい効果はありますが、歯の表面に細かい傷をつけてしまう場合があります。

そうすると、この細かい傷に汚れがつきやすくなってしまうので、天然歯の場合でも粒子の粗い歯磨き粉はおすすめしていません。

また、歯周病で歯ぐきが退縮されている方は、研磨剤入りに歯磨き粉によってしみやすくなる場合があります。

 

また、粒子の粗い研磨剤はインプラントと歯ぐきの境目に入り込んで炎症を引き起こしてしまうことがあります。

 

そのため、低研磨で研磨剤が入っていない歯磨き粉を選びましょう。

歯磨き粉の裏に配合している成分が書かれているので、「ケイ素」「炭酸カルシウム」などの研磨剤が配合している歯磨き粉は避けましょう

 

また、分かりにくい場合には歯科医院で販売しているものであれば問題ありませんし、使用しているものが心配な場合には、歯科医師や歯科衛生士に確認しましょう。

 

フッ素が配合しているものは大丈夫?

フッ素は「歯を強くする」「むし歯菌の活動を抑制する」「再石灰化の促進」など天然歯にメリットがあります。

インプラントの場合もフッ素の配合している歯磨き粉を使用していただいても大丈夫です。

 

高濃度のフッ素でインプラントの素材が腐食する可能性があるというデータがありますが、市販の歯磨き粉のフッ素濃度は950~1500ppm程度なので、使用しても問題ありません。

 

ただし、歯科医院で塗布するフッ素は濃度が高く、9000ppm程度なので、インプラントには塗布しません。

こちらは高濃度で歯科医院でなければ取り扱いがありませんので、ご安心ください。

 

  • インプラント後のデンタルグッズ選びのポイント

手術後は毛先のやわらかい歯ブラシを使用する

インプラント手術後はインプラントを埋入した部分は傷口になっています。

手術直後は、インプラント部分以外は歯磨きをしても問題ありませんが手術部位は避けていただきます。

その後、傷口を確認して、やわらかい歯ブラシで磨いても大丈夫というOKが出たら手術部位も歯ブラシをしてもらいます。

ただし、負担がかからないように歯ブラシの毛先はやわらかいものを使用していただき、傷口の経過をみながらその都度歯科医師や歯科衛生士から歯磨きについてお話がありますので、ご自宅でのセルフケアに取り入れていただきます。

 

インプラント周囲炎予防のために毛先が細い歯ブラシを使用する

インプラント周囲炎にならないようにするためには汚れをきちんと除去することが大切というお話をしましたが、特に歯ぐきとの境目の汚れをキレイに除去することが大切です。

 

そのために毛先が歯ぐきとインプラントの境目に入り込みやすい歯ブラシを使用しましょう。

歯周病予防や歯周病対策用に毛先が細くなっているものがおすすめです。

 

歯間ブラシやタフトブラシを併用する

歯ブラシだけでは毎日セルフケアをしていても60%程度しか汚れが落とせないといわれています。

残りはデンタルグッズを併用して細かい汚れを落としましょう。

ご自宅の掃除も掃除機だけでは取り切れない部分とほかの道具で補うようにお口の中も歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやタフトブラシを使いましょう。

歯間ブラシは汚れが残りやすい歯と歯の間に効果的です。

また、タフトブラシは毛束が1つだけなので、歯と歯が重なったところやインプラント周りの細かい部分の汚れを落としやすいです。

定期検診の時などに患者さまに合ったデンタルグッズの使い方やサイズなども確認できますのでお気軽にご相談ください。

 

【まとめ】

インプラントを長持ちさせるために大切なのは、お口の中を清潔にすることです。

そのためには、当たり前のことですが、毎日の歯磨きで汚れをきちんと除去しましょう。

歯並びが悪い部分や苦手な部分は汚れが残ってしまいがちですが、デンタルグッズを併用して落としましょう。

また、ご自分で落とし切れない汚れは定期的な検診のクリーニングで落としますので、決められた期間にメンテナンスを受けましょう。

いつまでもインプラントをよい状態で保つために、セルフケアとプロフェッショナルケアをしっかり行って快適に噛める生活を維持してくださいね。