インプラントコラム
COLUMN
インプラントがあごの骨に定着するために大切な生体親和性とは
23.10.31
インプラントは、あごの骨にインプラント体を埋め込んで、歯の根の役割をしてその上に被せ物をする治療です。
そのため、インプラントはあごの骨としっかり結合することが大切です。
ほかの歯に負担をかけることなく、安定性もあるため、歯を失ってもしっかり噛める「第3の永久歯」ともいわれています。
そこで今回は、インプラントの構造と骨を結合するために大切な生体親和性についてお話させていただきます。
インプラントの構造
インプラントの多くは、3つのパーツに分かれています。
歯の根の代わりをする「インプラント体」と歯の代わりをする「被せ物」、そして2つのパーツをつなぐ土台の役割をする「アバットメント」です。
骨の状態によって個人差がありますが、インプラント体があごの骨に定着するまでに、3~6ヶ月程度時間がかかります。
条件によってはもう少し早くなる場合がありますし、骨が足りなく、骨造成の手術を併用した場合にはもう少し長くなる場合もあります。
インプラント体
インプラント体は、人工歯根とも呼ばれ、あごの骨に埋め込むため、歯ぐきの中で見えない部分です。
多くのインプラント体は、身体になじみやすい「チタン」の素材でできています。
インプラント体の直径や長さは、患者さまのあごの骨の状態やお口の環境によって選択します。
アバットメント
アバットメントは、インプラント体の上に取り付けえて、被せ物とインプラント体をつなぐ土台のパーツです。
このアバットメントはお口の状況に応じて、被せ物の高さや角度を変える役割をします。
被せ物(人工歯)
人工歯は、失った歯の部分の代わりになる「被せ物」の役割をします。
歯ぐきの上に見えている部分なので、周りの歯となじむ審美性も大切です。
インプラント治療する方の多くが「セラミック」を選択しており、透明感が高く、周りの歯となじむ素材です。
また、経年変化で変色することもないため、黄ばんだようになることもありません。
インプラントに大切な生体親和性とは
人工の歯や人工関節などが、身体とのなじみがよいことを生体親和性がよいといいます。
身体の拒絶反応が少ない材質を親和性が高いといわれます。
身体の中に埋め込まれる歯科インプラントや人工関節などは、長期間身体の中で機能し続ける必要があるため、生体親和性はよい素材であることが大切です
生体親和性に欠けてしまうと、結合しにくくなり、炎症を引き起こしてしまう可能性もあるためです。
インプラントで使われるチタンって何?
体内に埋め込まれる素材はさまざまな条件があります。
アレルギー反応や発がん性がないこと、体内で劣化しない素材であること、身体に毒性がないことなどがあげられます。
チタンは金属アレルギーの可能性が低い素材であり、骨と結合して、長期間その状態を保持することができるため、歯科では歯の代わりの歯科用インプラントとして広く治療されています。
チタンは人工関節やペースメーカーにも使用されている素材で、軽く、強く、さびにくいという特徴を持っており、生体親和性のよい素材です。
インプラントにも種類があるの?
インプラントは骨と結合しやすいようにいくつかの種類があります。
形状が「スクリュータイプ」と「シリンダータイプ」に分かれます。
患者さまのお口の状態に合わせて、どのインプラント体がよいか選択します。
・スクリュータイプ
ねじのような形をしているインプラント体です。
その中でも先端が細くなっているタイプと、太さが均一のタイプに分かれます。
ねじを入れるように埋め込んでいき、表面積が広いのであごの骨に安定しやすく、初期固定がよい特徴もあります。
さらに、噛む力も分散させやすいため、メリットが多く、インプラント体の形状として人気があります。
・シリンダータイプ
円筒の形をしたインプラント体で、表面はなめらかです。
ハンマーでたたいてあごの骨に埋め込むため、埋入は簡単ですが、スクリュータイプに比べて初期固定が得にくいデメリットがあります。
インプラント体の表面加工の種類
インプラントにも各種メーカーがあり、世界では100種類以上の会社からインプラント体が出ています。
日本でも主流のメーカーは30種類程度あるといわれ、多くのインプラントメーカーがあります。
その中で、表面の加工もいくつか特徴があります。
HAコーティング
HAはハイドロキシアパタイトの略で、歯や骨を構成する主な成分です。
エナメル質の約90%以上、象牙質の約70%がハイドロキシアパタイトから形成されているため、歯にとって大切な成分です。
そのため、チタンの表面をハイドロキシアパタイトでコーティングしたインプラント体をHAインプラントと呼んでいます。
HAインプラントは、チタンとあごの骨が直接結合するのではなく、ハイドロキシアパタイトが介在するため、一般的なインプラントとは少し違う特徴があります。
ブラスト処理
ブラスト処理とは、インプラント体の表面をザラザラした状態に加工することであごの骨と結合力を高めます。
インプラントの材質は、あごの骨と結合しやすいように表面に加工されているものが多いいです。
酸処理
酸処置は、ブラスト処理をしたあとは、あごの骨に結合しやすいメリットがあるのですが、ごみなどがつきやすいデメリットもあります。
そのため、汚れをきれいに落とすために酸処理を加えて、インプラント体をきれいに保ちます。
このようにインプラントとあごの骨が結合しやすいようにさまざまな工夫がされています。
また、インプラント体はチタンを使用しているため、生体親和性がよく、多くの方に選ばれている素材です。
【まとめ】
あごの骨と結合しやすいように、インプラント体は安全性の高いチタンを使用しており、あごの骨に結合しやすい形状や表面処理が施されています。
そのため、インプラントは毎日セルフケアでお口の中の汚れをきれいにして、定期的にメンテナンスをしていると、長い期間よい状態で保つことができる治療です。
歯を失った時の選択肢の中で、ほかの歯に負担をかけない、しっかり噛める、審美性が高いなど満足度の高い治療です。
インプラントをご検討中の方はカウンセリングでご相談できますので、お気軽にお問合せください。