インプラントコラム
COLUMN
歯を失う原因1位の歯周病は悪化すると全身疾患にも影響があるの?
24.01.31
歯周病は30代以降では、多くの方が患っている身近な疾患ですが、悪化すると歯を失う原因第1位のこわい疾患です。
また、自覚症状が少なく、痛みに気づいて受診した時にはかなり悪化していることも少なくありません。
初期の段階では、歯ぐきの腫れや出血ですが、進行するとあごの骨を溶かしてしまい、歯がグラグラすることもあります。
そんな歯周病ですが、悪化すると全身疾患にも悪影響がありますので、今回は歯周病が悪化すると全身疾患にも影響を及ぼすことについて詳しくご紹介します。
歯周病はどんな疾患?
歯周病は、お口の中に残った歯垢の中に含まれる「歯周病菌」が炎症を引き起こす細菌感染症です。
歯周病が繁殖すると、腫れや出血が発生します。
また、歯垢が残ったままの状態が続くと、固い歯石に変わります。
歯石はザラザラして歯垢がつきやすく、歯周ポケットが深くなる原因につながります。
また、歯ぐきの境目に歯石が着いていると、歯垢がたまりやすくなって歯周病が悪化しやすくなります。
歯周病が進行すると、口臭や膿を引き起こして、悪化するとあごの骨を溶かしてしまいます。
そうすると、歯を支える骨が減少して歯がグラグラしたり、最悪の場合抜け落ちてしまったりすることも。
歯周病は自覚症状が少ないので、早めに治療をしたり、予防したりすることが大切です。
歯周病と全身疾患の関係とは?
歯周病は歯周病菌が原因の疾患ですが、お口の中だけでなく、全身に悪影響を及ぼすことが分かっています。
歯周病が悪化すると、血液を通じて歯周病菌が全身をめぐり、全身疾患を悪化させる場合があります。
・糖尿病と歯周病の関係
糖尿病は血糖をコントロールする「インスリン」の働きが不足して高血糖の状態が続きます。
この状態が続くと、血管を傷つけてしまい、さまざまな合併症を引き起こします。
歯周病が悪化すると、血液を介して炎症性の物質が運ばれて、インスリンの働きを妨害します。
その結果、高血糖の状態になってしまい、糖尿病が悪化するのです。
また、糖尿病が悪化すると、高血糖になり、歯ぐきの炎症も強くなります。
歯周病と糖尿病は相互関係があると考えられており、歯周病が悪化すると糖尿病も悪化します。
反対に歯周病が改善すると、糖尿病の血糖コントロールがよくなることが分かっています。
・心疾患と歯周病の関係
歯周病が悪化すると、血液を通して心臓に達します。
そうすると、歯周病により血液がドロドロになって血栓を作りやすくなります。
その結果、心筋梗塞や狭心症のおそれがあります。
また、心臓の弁や膜に炎症を引き起こして、心不全のリスクが高くなるのです。
歯周病菌は、お口以外の心臓や血管でも悪影響を及ぼします。
・誤嚥性肺炎と歯周病の関係
誤嚥とは、食べ物が食道ではなく、肺や気管に入ってしまうことをいいます。
高齢になると、飲み込む力が弱くなってしまい、誤嚥を引き起こしやすくなります。
誤嚥性肺炎は、誤って気管に入った唾液などに含まれる細菌などが肺に感染して起こる疾患です。
そのため、歯周病が悪化して、お口の中に歯周病菌が増えている状態だと、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
誤嚥性肺炎は、お口の中の清掃状態が悪く、歯周病を患っているとかかりやすいので、お口の中を清潔に保つことが大切です。
・低体重児出産と歯周病
低体重児の出産は、妊娠37週以下で2500g以下です。
妊娠中に歯周病を発症していると、歯ぐきが炎症して炎症性物質を出します。
その炎症性物質が血液を介して、子宮を収縮させて早産や低体重児出産の原因になります。
妊婦の方は、ホルモンバランスが大きく変わり、歯周病になりやすい環境になります。
また、つわりなどの影響で歯磨きが充分に行えない場合もあります。
歯周病が悪化すると、早産になりやすく、妊娠中はホルモンバランスの乱れから歯周病になりやすいです。
そのため、赤ちゃんのためにも、妊娠中からお口の中のケアをしておくことが大切になります。
体調の変化などで、ケアが難しい場合もありますので、様子をみながらケアをしていきましょう。
セルフケアだけでは難しい部分などは、定期的な検診でお口の中をクリーニングしていきます。
また、自宅でのセルフケア方法をお伝えしますので、正しいブラッシングの仕方も確認しましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんにはむし歯菌はいません。
保護者の方と同じスプーンを使ったりするとむし歯菌が感染する場合があります。
同じ食器を使わない配慮も必要ですが、お口の中を清潔にしてむし歯菌を減少することがお子さまのむし歯予防にもつながります。
・歯周病とメタボリックシンドローム
高血圧・高血糖・高脂血症などの生活習慣病の総称をメタボリックシンドロームといいます。
肥満や運動不足などが原因で内臓に脂肪が蓄積すると、炎症性物質がつくられます。
その炎症性物質が血液に作用して動脈硬化を引き起こすため、「脳梗塞」「心臓病」「糖尿病」などの疾患を引き起こします。
さらに歯周病が悪化して、血液を介して歯周病菌によって炎症性物質がつくるとさらに上記の疾患のリスクが高まります。
脳梗塞や心臓病は、命の危険もある疾患です。
いつまでも健康な生活を維持するために生活習慣の改善と歯周病の予防をしましょう。
メタボリックシンドロームの予防
・食生活
野菜中心のバランスのよい食事をする
適度な量やカロリーを摂取する
しっかり噛んで食べる
間食を控える
・運動
適度な運動を定期的にする
ウォーキングや階段を使うなど、無理なく普段から取り入れられる運動を行うことが大切です。
歯周病の予防
歯周病は、歯垢の中にひそんでいる歯周病が歯ぐきに炎症を引き起こします。
そのため、お口の中に歯垢をためないことが大切です。
毎日のセルフケアで汚れを落としてお口の中を清潔に保ちましょう。
歯ブラシだけでは、苦手な部分に汚れが残ってしまいがちなので、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して細かい汚れを落としましょう。
汚れが残っていないか定期検診のクリーニングで確認することも大切です。
歯周病になっていないかもチェックができます。
【まとめ】
歯周病は大切な歯を失う原因の第1位です。
さらに全身の疾患に悪影響を及ぼしてしまいます。
そのため、定期的に検診をして予防をしましょう。
もし、歯周病が悪化して歯を失った場合には、インプラント治療が選択肢になります。
当院では、インプラント治療も行っていますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。