基礎知識

インプラントは奥歯だけでなく、前歯の治療もできるの?

24.02.28

「インプラント治療は奥歯だけ?」

歯を失う場所は、比較的奥歯が多くなります。

これは、歯を失う原因第1位の歯周病が関係しています。

 

ただし、前歯は歯をぶつけて折れたりする可能性がありますので、その場合には、失った部分を補う治療が必要です。

そこで今回は、インプラントは奥歯だけでなく、前歯も治療ができるかについてご紹介します。

 

歯を失う原因のTOP3とは?

 

 

先ほども少しお話しましたが、歯を失う原因の第1位は歯周病です。

第2位はむし歯で第3位は歯が割れた、折れたことが原因で歯を失っています。

 

第1位 歯周病

 

歯周病は歯垢の中にひそんでいる歯周病菌が原因で歯ぐきに炎症を引き起こす疾患です。

初期の段階では、歯ブラシの時に出血する、歯ぐきが腫れる程度の症状ですが、進行すると顎の骨を溶かしてしまいます

そうすると、歯を支えている部分が少なくなってしまうため、歯がグラグラして、最悪の場合抜け落ちてしまうことも。

 

歯周病は、比較的汚れが残りやすい奥歯が進行することが多い疾患です。

 

第2位 むし歯

 

むし歯は、むし歯菌が糖分をエサに酸を発生して、歯を溶かす疾患です。

むし歯菌も歯垢の中にひそんでおり、お口の中に糖分が合って、汚れが残っていると発生しやすくなります。

 

唾液には、歯を修復する「再石灰化」を促進する働きがありますが、糖分が頻繁にある状態が続くと再石灰化が追い付かず、むし歯になります。

 

むし歯も初期の段階では自覚症状が少ないため、進行してから気づくことが多い疾患です。

気づいた時には、神経の近くまで進行しており、神経を抜かなければいけないことも。

 

むし歯は、削って治療することはできても、元通りに戻すことはできません

歯は削れば削るほど、もろくなってしまい、歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。

 

年齢の若い方が比較的、歯周病よりむし歯で歯を失うことが多いでしょう。

 

第3位 歯が割れた、折れた

 

「ケガや事故などで強くぶつけた。」

「強い歯ぎしりで歯が割れた。」

などの原因で、歯を失ってしまうことがあります。

 

ただし、多くは神経の処置をしていて、歯がもろくなっている場合に割れたり折れたりするケースです。

歯が割れたり、折れたりする範囲が広いと、一時的に修復ができたとしても長く持たないことが多くなります

 

歯が折れたなどのケースでは、事故や転倒などで強くぶつけたケースが多いので、前歯の可能性も高くなります。

 

奥歯に比べて難易度が上がる前歯のインプラント

 

 

前歯も顎の骨の状況によっては、インプラント手術をすることができます。

ただし、難易度が上がり、難しい傾向になるため、高い技術力が求められます。

前歯のインプラントの難易度が上がる点をご紹介します。

 

   下顎より、上顎の骨が薄い傾向になる

 

インプラント治療をする際には、顎の骨に「インプラント体」を埋め込んで、その上に土台を立てて、被せ物をする治療です。

そのため、顎の骨が少ないと、インプラント体を支える土台が足りずに安定しにくくなってしまいます。

 

上顎は鼻などがあるため、下の顎に比べて顎の骨が薄く、日本人は顎の骨が薄い傾向になるため、難易度が上がります。

また、顎の骨が薄い部分に無理にインプラントをすると、インプラントの脱落は貫通のおそれがあります。

 

   歯ぐきが下がる可能性がある

 

顎の骨が薄いと歯ぐきが下がる原因になりやすく、インプラント体の上に被せ物をしても、歯が長く見えてしまうことがあります。

ただ、顎の骨を増やす骨造成法を行った上でインプラントができる場合もあります。

患者さまのお口の状態によって異なるため、インプラントがご希望の方はお気軽にご相談ください。

 

 前歯は特に審美性が重要なため

 

インプラントに限らず被せ物の治療でも、前歯は審美性が重要な場所です。

笑った時に見える部分のため、インプラントの角度も大切になります。

これは、形や向きが関係してくるため、機能性に加えて審美性も考慮する必要があるため、難しい治療になります。

 

インプラント以外の治療の選択肢

 

インプラント失敗の症例

 

・ブリッジ

ブリッジは、左右の歯を削って、橋渡しのようにして被せ物をする治療です。

保険適用で固定式の被せ物を入れることができますが、土台になる歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。

 

また、保険の中で作製する被せ物は、内側が金属で被せ物の表面にプラスチックが配合されている素材です。

金属イオンが少しずつ溶け出して、歯ぐきの境目が黒ずむ可能性があります。

また、被せ物の表面にプラスチックが配合されていることで、経年変化で少しずつ黄ばんでしまう可能性があります。

 

その点、保険適用外にはなりますが、セラミックの被せ物の場合には、金属を一切使用しないので、歯ぐきが黒ずむこともなく、被せ物が変色することもありません。

ただし、費用は3本分の費用になります。

 

・部分入れ歯

歯を失った部分を補うために、歯ぐきの部分の床と人工歯をばねで固定します。

取り外し式なので、天然歯より噛む力が大幅に弱くなります。

また、固定式のインプラントやブリッジと比較すると、安定感が弱い特徴があります。

 

保険の範囲で治療する場合には、ばねが見えるので、見た目が気になってしまう場合もあります。

また、就寝の際には、取り外しで清掃する必要がありますし、定期的に洗浄剤で消毒する必要もあります。

 

どの治療にもメリット・デメリットがあるので、比較してご自分に合った治療を選ぶことが大切です。

それぞれの治療をご説明して、患者さまのご希望に合わせてよりよい治療法をご提案いたします。

 

【まとめ】

前歯のインプラント治療は、奥歯のインプラント治療と比較すると、難易度が上がるため患者さまの顎の骨の状況などを検討して治療可否が決定します。

また、特に審美性も求められる部分なので、埋入する角度や向きなども重要です。

 

インプラント治療以外には、ブリッジ、入れ歯の治療の選択肢がありますので、それぞれ比較をした上で治療方法を決めることをおすすめします。

当院では、治療前に治療の選択肢をご提案して、患者さまに納得していただいてから治療をスタートしますので、ご安心ください。