インプラントコラム
COLUMN
インプラント術後管理とは?トラブルへの対処やチェックのポイント
19.02.04
インプラント術後はどうやって管理するの??
インプラント手術では、歯茎の切開が必要です。そのため、細菌感染や腫れ、出血など様々なリスクを伴います。インプラント術後は、トラブルを防ぐために術後管理が徹底されます。歯科医院では、どのような方針で術後管理するのでしょうか。ここでは、インプラント術後管理でのチェックやトラブルへの対処法について解説します。
1回法と2回法で術後の管理が異なる
インプラントの手術には、1回法と2回法があります。それぞれ、術後の流れや管理の方法が異なるため確認しておきましょう。
1回法
インプラントは、インプラント体と支台、義歯で構成されています。1回法では、インプラント体と支台が1つになっているインプラントを使用します。1回の手術で済み、術後すぐに仮歯を被せ、3ヶ月以上経過観察します。インプラントと骨が結合するまで待ち、その間に他の歯のケアを済ませます。手術が1回で済むため身体への負担が少ないことがメリットで、感染のリスクが2回法よりも高いことがデメリットです。
2回法
主流なのは2回法です。歯茎を切開して骨を露出させ、ドリルで穴を開けます。そして、インプラントを埋め込み、歯茎を縫合します。7~10日後に抜糸して、3ヶ月以上経過観察します。その間、感染などのトラブルが起きていないか確認するために、定期的な通院が必要です。また、経過観察の間に周囲の歯をケアします。2回目の手術をしても問題ない状態になれば、次はインプラント体と支台を繋げる手術を行います。歯茎を切開して、インプラント体と支台を繋げ、歯茎を縫合して完了です。そして、術後の痛みや腫れなどをもう一度乗り越えることになります。
インプラント術後の創部や患者の状態のチェック
インプラント術後は、トラブルが起きていないか十分に確認が必要です。しっかりチェックしているかどうか患者が知ることは難しいですが、どういった部分をチェックしたか歯科医師に確認するといいでしょう。術後には、次のような部分をチェックされます。
縫合部が緩んでいないか
インプラント手術では、歯茎を切開したり骨に穴を開けたりするため、どうしても出血します。縫合しても出血が止まらない場合は圧迫して止血を試みますが、それでも止血できない場合は、再度縫合が必要です。
異常な腫れや出血などが起きていないか
上顎にインプラント手術を行った場合は、鼻からの出血や鼻づまりがないかチェックします。下顎の場合は、舌側の歯肉や口底部が腫れていないかチェックが必要です。もし、縫合したところの粘膜の下に血液が溜まっていれば、器具を使って脱血させておきます。
神経に異常が起きていないか
インプラント体を埋め込む深さや角度に問題があると、神経に触れて損傷する恐れがあります。そのため、手術後に知覚異常がないかチェックされます。手術前と比べて感覚に問題がある場合は医師に伝えましょう。問題がある場合は、薬剤の投与などを行いますが、改善しない場合はインプラント体を取り除くことを検討します。そのうえで、神経の損傷に対応できる病院が紹介されます。
術後の投薬による感染症予防
インプラント手術後の汗腺を防ぐために、抗菌薬を3~4日投与します。また、骨造成術などを受けた場合には、さらに長く抗菌薬を使用する可能性があります。その他、糖尿病やステロイド服用などがある患者の場合も抗菌薬の投与を延長することがあります。
術後感染などのトラブルを防ぐための自宅での注意点
インプラント手術の術後管理は、歯科医師の質で良し悪しが決まります。しかし、良い歯科医師によるインプラント手術を受けても、患者が自宅で術後感染を起こすような行動をとると、トラブルのリスクが上がります。そのため、患者としてもインプラント手術を受けたところ管理して、必要があれば歯科医師に相談することが大切です。それでは、自宅で管理すべきことと注意点についてみていきましょう。
創部を舌や指で触らない
抗菌薬の投与など適切な術後管理を受けていても、患部を舌や指で触ると、雑菌が入って感染症が起こる恐れがあります。創部が気になるのは仕方ありませんが、感染を防ぐためにも触らないようにしましょう。
抜糸までは歯ブラシを当てない
インプラントを清潔に保つことは大切ですが、歯ブラシには雑菌がついている可能性があるため、インプラントとその周りには当てないようにしましょう。傷口が閉じて抜糸してから磨いてください。
強くうがいをしない
術後2日は、強くうがいをしないことが大切です。傷口に負担がかかるため、傷の治りが遅れて結果的に感染のリスクが上がります。速やかに傷口を閉じることができるように、適度にうがいをしましょう。その際には、生理食塩水でうがいをして、口の中の汚れをしっかり洗い流すことが重要です。
少しでも異常を感じたら歯科医師に相談する
術後感染を放置すると、症状が進行します。そのため、鎮痛剤を飲んでも全く痛みが治まらない、5日以上も痛みが続くなどした場合は、できるだけ早く歯科医師に相談することが大切です。歯科医師は、患者の自宅での様子や創部の変化を見ることができないため、患者が異常を察知して、早めに歯科医師に報告する必要があります。
まとめ
インプラント術後管理は、感染などのトラブルを防ぐために、高い質で行わなければなりません。歯科医師の指示に従って行動しましょう。また、インプラント手術の経験が豊富な歯科医師に相談することが大切です。ただ、インプラント術後管理の質が高くても、自宅での管理が不十分だと感染などが起こる恐れがあります。抜糸までは歯ブラシでインプラントとその周りを磨かない、指や舌でインプラントを触らないなど、注意点を守りましょう。